短編・【たらくるめい】誰かが20万人突破するまで運動し続ける配信【オフコラボ】
たらくるめい、オフコラボ
このお話が第3部開始前の最後の短編になると思います。
ここまでたら姉の出番が少なかったので、今回は彼女の活躍(?)を多めにしてみました。
今回の短編では、マシュマロ配信や新衣装お披露目配信なんかのVtuberらしい配信のお話をいっぱい書けて楽しかったです!
では、どうぞ最後までお楽しみください!
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「よし、配信の準備はOK! 2人も準備は大丈夫かな~?」
「俺は問題ないっすよ。いつでもいけます」
「わ、私も大丈夫です! 自信はないけど……精一杯、頑張ります!」
某日、【CRE8】本社内の配信スタジオにて集結した零、有栖、そして沙織の3人は、目前にまで迫った配信に対しての確認を行っていた。
全員が動きやすい服装になり、準備運動を済ませ、スポーツドリンクの入った水筒を複数本用意して……そんな、明らかに普通の配信とは違う準備を行っている3人であるが、この準備にはしっかりとした理由がある。
スタジオを使ったオフコラボ配信であるという時点で特殊なのだが、本日はそこに加えてフィットネスゲーム配信ということと、耐久配信という2つの要素も加わっているのだ。
題して、『【たらくるめい】誰かが20万人突破するまで運動し続ける配信【オフコラボ】』。そのタイトル通り、チャンネル登録者数が20万人を突破する寸前である3人が、その記念も兼ねて企画したものである。
最もチャンネル登録者数が少ない有栖でも20万人までは残り1万人を切っており、3人もこの配信がそこまで苦しい戦いになるとは思っていない。
ただ、仲良くなった面子でわいわい騒ぎながら、お互いの記念すべき瞬間を祝おうという気持ちの部分が大半を占めているが故に企画された配信だ。
「だ、大丈夫かな……? 私、ほとんど運動しないから、2人の足引っ張っちゃうかも……」
「平気だって。交代でプレイしていくわけだし、疲れたらすぐに交代出来る状況なわけだしさ。無理せず、厳しくなったらすぐに言ってよ」
「3D配信じゃあないから、リスナーさんたちは私たちの声と表情でこの配信を楽しむわけだしさ~。有栖ちゃんみたいなへとへとなリアクションを見せてくれる方が、きっとみんなも喜んでくれるさ~!」
自身の運動能力を不安視している有栖を励ます零と沙織。
この2人に関してはそこそこ運動に自信があるようで、有栖1人程度なら十分にフォロー出来ると考えているようだ。
実際、唯一の男性である零も中学高校と体育の成績は5以外を取ったことなどなかったし、沙織もまたアイドル時代に厳しいレッスンで培った体力がある。
むしろこの2人だけだと、逆に視聴者たちが期待しているリアクションは見せられないかもしれないという不安があるので、有栖の存在は割と本気で重要なのだ。
「もう少しで配信が始まる時間だね~。ゲームの設定とかきちんと確認しておかないと」
「そうっすね。スタッフさんに任せっきりってのも悪いっすし……」
そう、沙織の言葉に同意しながら、彼女の方を見やる零。
スポーツウェアの上にパーカーを羽織った彼女の姿は、実に健康的で雰囲気にマッチしているわけだが……と、そこで零からの視線に気が付いた沙織は、小さく笑うと彼にこう問いかけた。
「やっぱり、首の傷が気になっちゃう? あんまり見てていい気分になるものじゃあないもんね~」
「あ、いえ……別にそんなことはないっすよ。ただ、喜屋武さんの方は大丈夫なのかな、って……」
「ん~? ……本当はちょっと怖いけどね。でも、2人はもう私の事情を全部知ってるわけだし……いつまでもこの傷を隠し続けるのは、2人に対して私が向き合ってない感じがして嫌だからさ~。これを機会にちょっとずつ乗り越えていくよ。過去も、痛みも、ね……」
そう言いながら、痛々しい首の傷を手で擦った沙織が笑う。
自身の夢を奪った憎たらしい傷に対する恨み言ではなく、新たな夢を得る切っ掛けとなった証としてその跡の存在を受け止めるに至った彼女は、零と有栖への信頼を滲ませる声で自分自身の決意を口にしてみせる。
沙織がそんな風に傷や自分たちのことを思ってくれるようになったことを喜びつつ、自分たちの存在が彼女の心の励ましになっていればいいなと思う零と有栖は、20万人突破という1つの区切りを祝い合うための配信に対して、俄然やる気を燃え上がらせていった。
「よっし! そんじゃ始めますか! イージーモードだけど、初めての耐久配信には丁度いいでしょ!」
「私も2人に負けないよう、頑張ります!」
「うんうん! 気合入ってるね~! お姉さんも負けないぞ~!」
ゲームの準備と、配信画面の確認と、それら全てを終わらせたスタッフがOKサインを出す。
それを合図に、配信予定時刻ぴったりに開始のボタンをクリックした零は、陽気な雰囲気のままにたらくるめい初オフコラボ配信をスタートさせるのであった。
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ついでなんですが、酔った勢いでTwitterというものを始めてみました
自分のユーザーページから飛べると思うので、よろしければ絡んでやってください
まだ使い方よくわからないので殺風景ですが、一応本物です(笑)
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