#31 時を司る者④

結人は27階の窓ガラスをぶち破り外に飛び出す。7人は浮遊魔法で宙に浮いた。

そして空を見上げると案の定、例の魔法陣と同じものが形成されていた。

大きさは半径800m程で、とてつもない魔力を持っている。


魔力の収縮が終わりそうな事を悟ると結人は焦った。


「まずい!<ゼロ・ノート>!第1段階<龍召喚ー聖星龍>!」



結人はすぐさま『始まりの魔法』と固有魔法を展開する。

人智を超えた圧倒的な力の塊、真っ白のオーラが結人を包み、正面に4色の龍剣を顕現させた。

真っ黒の髪は真っ白に変色した。背中に白い翼を生やし、顕現された純白の龍剣を握り、一目散にかけ出す。


「<絶縮>!」


結人が何度も使い、愛用している魔法、空間を縮めいっきに魔法陣へと近づく。

そして結人が自ら作成した、魔法を切り裂く魔法を放つ。


「<絶断>!」


魔法陣を切りさこうとする。が、結人の剣は魔法陣をすり抜けてしまった。

どうやら高度な魔法対策が施されているようだった。初見でこれを打破する魔法を構築するには1時間はかかる。ならば、出てくる奴らを殲滅した方が早い。

そして次の瞬間、おびただしい数のUCが魔法陣の中から出現し、東京へ向かって真っ逆さまに落下した。


【結人さん聞こえますか?!指示をお願いします!】


魔法陣の破壊が出来れば1番いいのだが、難しいので殲滅する事にする。

咲夜の通信を受け、結人は瞬時に最適な編成を考え、伝えた。


【僕とゼラストさんと咲夜とレネと瑞葉さんは奴らの殲滅をお願いします!できるだけ上空で戦って下さい!父さんとエリーナさんは、都民の避難誘導と取り逃した奴らの殲滅をお願いします!】


【了解です!皆さんに伝えておきます!】


こうしている間にもUCは東京に降り注ぐ。

結人はすぐさま4色の剣を向かわせると一体ずつ確実に仕留めていった。


結人は空間魔法を使って東京の空を駆け回った。

超級と上級であればまるでホコリを払うかのように核を貫くことができる。ただ、災害級は流石に何発か攻撃を与える必要があった。

結人は休憩を挟まずに縦横無尽に駆け回った。





「では私も行きますね。皆さんは結人さんの指示通りにお願いします!」


「了解!」「はい・・・」「了承・・・」「わかった。」


返事を聞いた咲夜は再び前を向いた。

その顔は自信と結人への信頼で溢れていた。


「<ラスト・ノート>、第一段階・精霊召喚<炎の上位精霊・イフリート>、第二段階<魂の結合ソウル・リンク>・・・」


咲夜が使うのは自身の固有魔法と、結人と対になる『ラスト・ノート』を展開する。

白銀の髪は真っ赤に燃え上がり、咲夜は結人とお揃いの仮面をつけた。

超高密度の魔力と炎をまとうと結人の元へと飛び出した。


他のS級魔法師も散開し、各個に攻撃を始める。

何かを決意したゼラストが自身の精霊を召喚した。


「私も行かせて貰う・・・第一段階ファースト・エヴォリューション契約精霊召喚<光の上位精霊・アスカ>、第二段階<魂の結合>」


ゼラストは、光の精霊を召喚し、精霊使いの奥義である<魂の結合>を使った。

圧倒的な魔力のオーラをまとい、光の大剣を取り出す。序列2位に相応しい人間離れした魔力を自身の剣に乗せて、多くのUCをまとめて切り裂いた。

ゼラストはあまり機動力はないが、火力という面では結人を除けばS級魔法師の中で最も高い。


そしてレネ、それに瑞葉も続いて、自身の精霊を呼び出した。


「私もお仕事をしなきゃ・・・第一段階ファースト・ステージ契約精霊召喚<水の上位精霊・ウンディーネ>、第二段階<魂の結合>・・・」


「了解です!奥様!!!第一段階ファースト・ポイント契約精霊召喚<風の上位精霊・シルフィード>、第二段階<魂の結合>!!!」



レネは自分の水の上位精霊を召喚し、例の如く<魂の結合>をする。水を圧縮し、巨大な水の柱を12本立てると、それを自由自在に動かす。そして、UCの核を1つ1つ貫いた。


瑞葉も自分と契約した風の上位精霊を召喚し、同じように<魂の結合>を行う。そして精霊魔法を使って風を作り、それを使ってUCを東京湾の方へ吹き飛ばす。

彼女が優先するのは、討伐よりも都市に被害を出さない事、結人達が取り逃したUCを一体ずつ東京湾に沈める。



真人とエリーナもそれぞれ自分に出来る事を始めた。

真人は第一段階と第二段階を解放し、結人達の1歩下で、UCの死骸を1つずつ消し炭にした。

他の5人に実力が劣る2人は、援護に回った。



切っても切っても次々と敵UCが降下を始めた。

既に、討伐したUCの数は全員で合わせて1万を超えた。しかし、敵UCの数は増える一方である。

そしてついに、1体のUCが魔法陣から少し離れた所に着地してしまった。1度崩れると、他の部分にも綻びが生まれる。

少しずつ防衛網を突破されていくS級魔法師達は地上はA級魔法師に任せて迎撃を継続する。

このままじゃジリ貧だと判断した結人は作戦を変えた。


【全員聞いて下さい!今から20秒だけ、時間を下さい。魔法陣をまとめて消し飛ばします!】


【【【了解!!!】】】

【了解しました、結人さん。ついにあの魔法を使うのですね・・・お気を付けて・・・】



流石はS級魔法師、2回目の交信で魔法のパターンを解析し、返信をしてきた。



戦場から少し離れた結人は白い翼を使っていっきに上空へと登る。

3つの魔法陣と同じ高度で止まると5色の剣を構えた。



上空にある、膨大な全ての魔力を自身の純白の龍剣に集中させる。

真剣な顔つきで、正面にある巨大な魔法陣を見つめる。


とてつもない魔力によって、空気が震えた。


大きな渦を作りながら収縮していく。

そして、その輝きが最高潮になると、結人はゆっくりと自分の中で最も火力の高い自分だけの魔法を構築する。

それと同時に結人が周りに纏うオーラも輝きをました。


時間にしておよそ2.00秒、だというのに凄く遅く感じた。


結人は呟くように魔法を行使した。


第2段階セカンドリミットブレイク・・・」



結人は、一旦深呼吸をして、魔法を完成させる。


「<次元崩壊ディメンション・ディストラクション>!!!」



魔法陣の中心から半径1000m地点に上下左右に4色の龍剣で囲むと、巨大な球を形成する。その中にある光、音、魔力を含むあらゆる物質を一点に集中させるとその空間内の『次元』を消滅された。


結人の中で最高火力を誇る魔法によって空間内のX軸とY軸、Z軸が崩壊したのだ。

後に残るのは、質量のみ。

単体ではこの世界に存在出来ない質量は凄まじい爆音と共に消えた。


「終わったか・・・また、この魔法を使ってしまうとは・・・」


結人は、この究極の魔法を使ってしまった事を後悔した。


理すらも超越した無敵の魔法。

必要な魔力量と制御が出来ればあの破滅級UCですら葬る、結人の使える魔法の中で最高火力を誇る魔法。



結人はしばらく眺めた後、都市に残ったUC達の掃討に向かった。


この日、奇跡が起きるとは知らず・・・



________________________________________


読んでいただきありがとうございます!



急遽ですが、大量の疑問が予想されるので、予想される質問に答えるためのQ&Aコーナーです。


Q・・・次元崩壊の理論は?


A・・・空間内の次元という概念を崩壊し、あらゆる物質を消滅される。



Q・・・その対処法は?


A魔力切れを狙うか、瞬間移動で逃げる。



Q・・・死体ってどうしたんですか?


A・・・今も東京湾に浮いています。後日、核のみを回収し、残りはその場で燃やします。



Q・・・強すぎじゃないですか?


A・・・全面的に同意します。



Q・・・誤字脱字をなんとかならないんですか?


A・・・すみません



その他の質問はコメントでお願いします!

明日はついにエピローグです!


これまでに仕掛けた伏線をめっちゃ回収する予定です!楽しみに!

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