#6 海での特訓と乱入者①
「お久しぶり~あ・か・ね・ちゃん」
「何しに来たんだよ、このアバズレ女。」
「別に~たまたまこの近くを通ったからちょっとね~」
この人は加奈子=ヴァルナードさん。
日本防衛軍所属のB級魔法師で昔から茜に何かと突っかかってくる面倒な人だ。
そしてもう一つ、ヴァルナードという苗字には聞き覚えがあった。
さらにその横にいる2人も知っている人だ。
「お姉ちゃん!いきなり攻撃魔法を繰り出しちゃダメでしょ?それに今日は私だけじゃなくて
その内の1人がこちらに気づき、声をかける。その人物は2人のよく知っている人物だ。
「咲夜さんに結人君、それにみんなも・・・お久しぶりです。」
「いや~久しぶりだね、瀬奈」
「お久しぶりです、瀬奈さん」
瀬奈というのはこの前の特別試験で同じ班になった、桜木瀬奈の事だ。
「こっちはみんなで魔法訓練の合宿に来たんだよ。そっちは旅行?」
「いえ、私たちも合宿みたいな感じです。沙耶ちゃんと由香ちゃんとね~」
結人はあまり話した事が無いが、2人ともクラスメイトだ。
印象としては魔法が上手って感じだけ、あまりよく知らない感じだ。
「やっぱり夏休み明けのテストのため?」
「テストもあるけど、イベントのためかな・・・・・・」
「イベント?」
知らない単語に結人が聞き返す。
そんな話聞いていない。
「結人君知らないの?生徒会主催のイベントらしいよ。」
「へ~そ~なんだ。楽しみだね。それでどうして姉さんのプライベートビーチに?」
「沙耶ちゃんのお姉さん、私たちの引率をしてくれている加奈子さんが、私たちに面白い所に連れてってくれるって言われて・・・それでついて行ったら結人君達に出会ったって感じかな。」
「なるほど・・・」
確かに姉さんはこの前にこの隠れ家の事を話していた覚えがある。
だとしたらここに来れてもおかしくはない。
2人は何だかんだ言って実は仲が良かったりする。
昔からあんなんだ。
ちなみに、茜が紅である事は知っているが、結人、咲夜、樹の正体は知らない。
結人は茜の付き添いという事になっている。
「よし、それでいいだろう!」
「こっちもいいよ〜それで行こう。」
どうやら話がまとまったみたいだ。2人は会うとバトルをしたがるのだ。そして、今回のルールというのが・・・
「ルールは3対3のチーム戦、勝利条件は相手チームの旗を奪うこと。固有魔法以外は何でもあり、これでいいな茜。」
「そっちは3人しかいないから全員参加でしょ〜こっちはど〜しよっかな〜~決めた!結君、雷華ちゃん、そして桃ちゃん!これで決定!」
早速、茜の魔法でフィールドを整える。
まるでこの事を想定していたかのように亜空間から旗を取り出した。
30mぐらい離れた所に旗を立てる。
結人たち3人は丸くなって集まり、作戦を立てる。
「ど~する?雷華ちゃん、結人君。とりあえず私はいつも通り後衛で強化魔法をかけることにするよ。」
「なら私は攻撃役だな・・・結人君には防衛役を頼む。」
「わかった、そうするよ。」
3人はそれぞれ、正面に並ぶ。
それぞれは持ってきた武器を構える。桃と雷華は剣、結人は赤いハンドガンを構える。
防御役に選ばれた結人はいつもの剣ではなく今日はハンドガンを選択する。
「じぁあ、行くよ〜スタート!」
6人は一斉に駆け出す。
結人は守るべき
初動の動きはこれで正解だろう。
隣に立つ桃も付近に14個の魔法陣を形成する。
身体強化魔法や魔力効率化など合計14だ。
支援魔法があると無いとでは全然違う。
昔は支援系の魔法師は足手まといとされそれ程重要視されていなかった。しかし、支援系魔法師の1人があるS級魔法師の相棒となり、考え方が改められた。
現在では魔力演算の拡張や回復などをしてくれる上、魔力障壁を展開し、防御を引き受けたりもする。
S級魔法師の中にも当然支援系魔法師がいる。数はそれほど多くは無いが、必要な人材だ。
相手チームも高さ5m程の砂の壁を形成させた。魔法を使ったのは瀬奈だ。
操作系の魔法だが、以前見た時よりもかなり腕を上げている。この一週間で結構練習したようだ。
雷が絶縁体である砂によって防がれてしまう。雷華対策にはもってこいだろう。
恐らく、加奈子が教えたのだろう。
だが、彼女は結人の実力を全く知らない。
唯一、結人の実力を知っている瀬奈は早速精霊魔法で足止めを試みる。
「精霊魔法<サンド・ストーム>!」
風を操り、地面にある大量の砂を含んだ暴風を引き起こす。
視界を奪う程度にしかならないが、普通の生徒には十分有効だ。だが、常時半径1kmを魔力感知で警戒している結人に対しては全くの無意味だ。
結人は落ち着いて引き金を引く。
発射された弾丸にはもちろん魔術式が組み込まれている。引き金を引き始めてから弾丸が実際に発射されるまでのわずかな時間に高速で組み込んだ魔術式だ。
現代魔法においては弾丸ではなく武器に組み込むのが主流だ。弾丸に魔法を組み込むには時間が足りなすぎるからだ。
魔力操作技術が超人レベルである結人だからこそ可能な技だ。
効果は爆発・・・・・・爆風で防御に使われていた砂ごと全て上空に吹き飛ばす。
そして、2発目の弾丸で彼女らの足元を打ち抜き、砂を飛ばす。
直接当てなければ傷つけてしまう可能性はない。
由香と瀬奈の足元を揺るがした。
「な!!!何あれ、聞いてないんだけど!あんたの弟君強すぎじゃないの?」
結人の攻撃に加奈子は驚いた。A級魔法師の弟だから少しはやれるとは思っていたがまさかこれ程とは・・・
「へへ~ん、すごいでしょ~私の結君は。」
「ちょっとお姉様、結人さんは私のですよ!」
「そこ突っ込むとこかよ。」っと大和と樹は心の中で突っ込む。
「ま~いいでしょう?今は。少し貸して?ね?」
「む~まぁいいでしょう・・・」
「ありがと、妹ちゃん。っというわけよ、アバズレ女!」
「まっまだ大丈夫!まだ私の可愛い妹がいるから・・・」
だが、加奈子の期待は簡単に裏切られる。
「なんなの?あれ!かっこいいうえに強いなんて・・・」
「由香ちゃん!見てないで次の行動に移って、<身体強化>、<バウンド>!」
瀬奈は雷華の電気かられるために由香を抱えて後ろに飛ぶ。危機一髪の所で攻撃を躱した。
そして入れ替わる形で沙耶が水魔法を放ち2人が退散するための時間を稼ぐ。
それに対して追い打ちをかけるかのように雷華が魔法を繰り出す。
「逃がさない、<
<電気拡散>
収縮された電気を一気に解き放つ。持続時間はなく一瞬だが、周囲一帯に電気を飛ばす強力な魔法。
これは、序列8位
もちろん、今雷華が構築したのはホンモノよりも数段劣るもの、だが隙を作るのには持って来いの魔法だった。
そして・・・
「<加速>・・・」
このゲームの勝ち筋、それは大きなパフォーマンスでかく乱させ、旗を一瞬の内に奪うこと。
結人は一瞬の隙をついて旗に近づくと旗を奪い取った。
試合開始から3分も経っていない。そもそも、
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