#22 最強の夫婦②
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空は『紅焔の姫』による必殺の一撃が敵UCの核を貫いた事は遠くで見ていた。
そして、そのあまりの美しさに言葉を失っていた。
「・・・・・・なんなんだよあれ・・・・・・全てが異次元、全てが桁違いだ。まだ、ここに来てから3分も経っていないというのに・・・」
その様子は今でも鮮明に脳裏に焼き付いて放さなかった。
A級魔法師を含めた総勢100人余りの日本の魔法師。その攻撃を退けきった災害級UCを『紅焔の姫』はいとも簡単に葬り去ったのだった。
「や~お疲れ様~空君~。上級5体に中級3体討伐ご苦労様~」
「あんたは、結人のお姉さん。えっと~嘉神さんは?」
「咲夜ちゃんったら疲れたって言って結君の部屋に行っちゃってね~用事があるなら呼ぶけどどうする?」
「いや、それはいい。」
「そ~なんだ、ならこっちきてみな~面白いものが見えるから。」
「面白いもの?」
「人類最強の男、『黒白の限界突破者』の戦闘がね。」
*
咲夜はUCの討伐に達成を確認すると、大急ぎでツクヨミに戻り自室に向かう。
固有魔法や身体強化の類を解除し、愛刀を亜空間にしまう。そして、ベットに寝っ転がった。
周りにはたくさんのモニターが置かれており、そこにはもちろん全てあの男が映っていた。
咲夜が部隊を撤退させ、自ら戦闘を行った理由、それはひとえに愛する人の勇姿を見たかったからだ。
「さて、お楽しみの時間ですね。これから第二ラウンドといったところでしょうか、フフフ♪」
*
「噓・・・人間?っでもこの反応は人間のそれじゃないよな・・・」
どこをどう見たとしても間違いなく人間だ。額に生えた角と周りに溢れているオーラを除いて。
右手に持った剣を握りしめ、こちらを睨んでいるが攻撃してくる様子は見られない。
こちらに気づくと口を開けた。
『×××!!!・・・・・・×××・・・』
何か伝えようとしているが全く意味が分からない。
異世界の言語なのか理解できない・・・だけど何かを伝えたい様子という事だけは伝わった。
「えっと、君は・・・」
『×××!』
結人は意思疎通ができないことが分かると自身に打開の魔法をかける。
「精神干渉魔法<意思伝達>・・・」
<意思伝達>
結人は精霊魔法と固有魔法を除く全ての魔法を使うことができる。
それはもちろん精神魔法も・・・
適性のない人間には不可能とされる精神魔法を使い、魂による会話を試みる。
【えっと~聞こえますか?・・・】
結人は一応人間同士として対話を試みた。精神魔法を使ったため、今度は反応があるはずだ。
すると予想通り反応が返答が帰って来る。
【頭の中から声が・・・なんだ貴様は!何をした!】
彼女は突然の会話に驚いたのか、慌てた様子だった。
【あなたは誰ですか?そしてなぜこんな所にいるんですか?】
【な、なんだ貴様は!悪いことは言わない!あたしはある目的のためにここに来た!さっさとそこをどけ!】
【質問しているのはこっちだ。もう一度聞く、あなたは何者ですか。】
【邪魔だ!さっさとどけ!】
【お断りしまいたします。】
【なら、実力でねじ伏せてくれる!】
ある程度情報を聞き出そうと思ったけど無理みたいだ。だが、このUCに知能がある事がわかった。
普通のUCでは、言葉すら発する事ができない。
今はそれだけで大丈夫だった。結人の目標は生け捕り、このUCの事情など、どうでもいい。
手に持った剣のようなものに魔力を込め始めた。
青白い光が彼女の剣に収束されていく。
そして、一気に距離を詰めると足を踏み込んだ。
右側から飛んできた斬撃。
魔法などの類は見られないが、とてつもない魔力をまとった一撃が結人をおそう。
「<魔力障壁>」
左手でつくりだした。小さな盾で完璧に動きを止める。
結人は気づいた、その剣には殺意がこもっていた。
「×××!」
自分の剣が防がれた事に驚いたのか、一旦後方に飛ぼうとする。
だが、そんな事今の結人が許すはずがない。
「空間魔法<絶牢>」
結人は彼女の周囲に3m四方の牢獄を作った。
以前、災害級UCですら抜け出せなかった牢獄だ。
これで、生け捕り成功だろうと思ったがそう上手くはいかない。
すると敵UCはパリンという音とともに割れないはずの光の牢獄が割った。
恐らく、あまり溢れる魔力で強引にこじ開けたのだろう。
すると突然、妙な事を口走った。
『×××<×××>!』
この魔力の動き・・・嘘でしょ・・・
何段階か分からないけど間違いない。
固有魔法だ。
途端に眩い光が彼女の全身を包み込む。
誰の目から見てもそれは明らかだった。
UCが使えないはずの固有魔法を使ったのだ。
一瞬驚くが、慌てず分析を始める。
光に包まれたという事は持続しているという事、強化系か支配系だと判断する。第何段階なのかは分からないが強化具合から第二段階よりは上であると推測できる。
強化されたのは威力なのかスピードなのか・・・様々な思考が飛び交う。
するとその答えが出てきた。
彼女は手にした剣を空高く突き上げると膨大な電気を溜め始めた。
そして、攻撃を繰り出した。帯びた電気を連続で放ち、攻撃をする。強力な電気の塊、一発当たれば即感電死レベルだ。
繰り返される稲妻の嵐、A級魔法師ぐらいのレベルだろうか、魔力量の割にあまり強くない。
もちろんそんなものに当たるはずもなく、結人は素早く魔力障壁展開する。攻撃の威力を事前に感知して、最小限の魔力で抑え込む
すぐに次の攻撃に備えるが、攻撃が来ない。
いくら待っても何もしてこない。そこで様子をみてみる。
「×××!×××!」
彼女は何か言おうとしていた。
相変わらずさっぱりわからない。
戦闘中に敵UCと会話するのはどうかと思ったが、仕方がないので要望通り繋いであげる事にした。
先ほどと同じ魔法を自分にかける。
【おっやっとつながったか・・・】
【えっと~何の用でしょうか。】
【お前に警告してやる。私は心意魔法を使った。だからお前も使え、でないと殺してしまうかもしれない。私はお前を殺したくない。】
【忠告どうも・・・】
いきなり何を言うかと思ったらそんなことを言ってきた。
こんな行動、UCとはほど遠い。
もしかして、僕今忠告された?
UCがそんな行動をとるなんて・・・本当なのか?
というか、この人間に近い格好。本当は人間が何かしらの寄生虫のようなものに支配されていると言われた方が納得できる。
もともと異世界からの侵略者だと思っていたが、違う方向性が見えてきたかもしれない。
何か、おかしないい夢を見ているような気分だった。
そして、悩んだすえ結人は使うことにした。
結人はゆっくりと目をつぶる。とは言ってもいつもの仮面を被っているので敵UCにはきづかれていないだろう。
精神を整え、全身で魔力が伝わるのを感じる。
感覚を研ぎ澄ませる。
そして、ゆっくりと目を開くと、呟くように唱えた。
「
空気が震えた。
海が震えた。
魔力が渦を巻き、まるで時間が止まったかのような感覚に襲われる。
結人は詠唱を続ける。
「
________________________________
ついに結人覚醒!!!
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