#4 実戦に向けて④
「で?実際どーなってんの?」
「私も気になります。実際どうなんっているんですか?咲夜ちゃん。」
結人と空から分れた3人は遥香の案内で彼女の部屋に向かった。人工島の東にある寮の7階に案内される。つくりは基本的に1年生のものと同じだった。
3人で開かれた女子会その
「あってます。私は、この学校に入学する前から結人さんとお付き合いさせていただいてます。」
(学校に来る前は婚約者である事を公表して、結人さんとの楽しいスクールライフを満喫するつもりでしたが、いざやってみるととても恥ずかしいものですね。結人さんが焦っていた理由がわかった気がします。ですが人の伝えるのもいいですね。言い方は悪いですが・・・結人さんを独占している気分になれます。)
本当は恋人ではなく婚約者だが、お互いが愛し合っている点は同じなのでそう答えた。とは言ってもこの歳で婚約というのは別に珍しい事ではない。
遺伝による魔法師としての才能の有無はまだ解明されてはいないが、ほとんど関係は確定しているようなものだ。そのため魔法の普及、発展によって魔法社会となった現在では、更なる魔法の発展の為に優秀な魔法師同士を婚約させてより優秀な魔法師を育成する人がほとんどだ。
昔は遺伝子を人為的に操作して、より強力な人間を生み出そうという考え方もあったが、多くの人が倫理的に反対され却下されたため、国際条約によって違法となっている。
「やっぱり?いいな〜」
「何年ぐらい付き合っているの?咲夜ちゃん。」
「5年と294日です!」
(婚約者として、日数を覚えるのは当然の事です!もう少しで6年!去年は結人さんに着て欲しいと思った普段着を何着かプレゼントしました。今年は何を送ったら喜んでくださるでしょうか・・・)
「こまか!そんなに長いんだ〜って事は2人は幼なじみ?」
(今日が6月13日だから・・・えっとーまあいっか、その日が来たら祝ってあげよっと。)
「あ、はい、そうです。結人さんは昔からすごく優しくて、何でも出来て!私の自慢の王子様です!困っているといつも助けてくれて。って、あれ?私ったらつい気がまっちゃって。」
「いいよ大丈夫、続けて。」
「あ、ありがとうございます。では・・・」
咲夜は今まで、"恋バナ"というものをした事がなかった。当然仕事の人達にそんな話など出来るわけがなく、クラスメイトや茜も惚気話を聞きたくないせいか、あまりこの話題について話した事がない。たまに、結人の母や自分の母に相談をする事ならあるがそれとも少し違う。
初めてこのような事を体験した感想それは
楽しい!
今まで味わった事のない快感を得る。結人の良さを永遠に語りたい。そんな欲求にかられる。
気が付くと30分が経過していた。
「・・・まるで出来たてほやほやの新婚夫婦じゃん。」
「めっちゃ羨ましい・・・。強くて優しくてかっこよくてとかもう完璧じゃん!」
「えへへ、ありがとうございます。」
結人さんが褒められると気分がいい。
「まぁ私はこんな所です。おふたりはどんな感じなんですか?遥香さんは空さんと上手くいっていないんですか?」
「え?そうなんですか?遥香さん」
咲夜の問いに遥香は一瞬驚くが、持ち直して白状する。
「・・・片思い歴6年です。というかなんでわかったの?」
「先ほどの会話を見ていれば予想はできますよ。」
「そっかー、わかっちゃうかー」
「そうなんですか、私は全然気が付かなかったです。」
「私も空とは古くから知るいわゆる幼なじみでね、昔からずっと一瞬にいるのに全く気がついて貰えなくて・・・あいつ!今考えたらムカついてきた!」
???「ハックション!!!」
???「大丈夫ですか?先輩?」
???「あぁ大丈夫だ、続けるぞ。」
「分かります・・・私も最近もっと構ってほしいなって思うんですよ。私がアピールしても気がついてくれなくて・・・」
???「ハックション!!!」
???「なんだ、大丈夫か?風邪か?」
???「いえ、大丈夫です。どこかで噂されているかもしれませんね。」
???「そんな奴はいないだろ。それより続けるぞ<
「ほんと、男ってどうしてこう鈍感なのよ・・・気づいて欲しい時に気づいてくれないくせに・・・ここぞって時にかっこよくて・・・」
「ですね!私もそう思います。」
2人はそれぞれ、想い人との楽しい思い出に浸る。
(思えば私、結人さんに助けられてばかりですね・・・結人さんは自分が助けられた時の事は良く覚えているのに、助けた時の事は全然覚えていなくて・・・先ほどの遥香さんの言っていた気持ちがわかった気がします。確かに少しモヤッとしますね。)
(空のやつ今頃何を考えてんだろう・・・結人君と戦うって言っていたけどどうしているかなあいつ・・・)
「ねぇ、咲夜ちゃん私と賭けをしない?」
「賭けですか?」
「うん。うちの空はさっきも言ったけど無駄に魔法戦闘が強いんだよ。だから、どっちが勝つか勝負、私が勝ったらあの事について協力して欲しい。」
(あの事?あーなるほど、恋のアドバイスが欲しいって事ですか。この条件ならたとえ負けて結人さんといい思い出ができる!これはプラスにしかなりません、ここはノリましょう!)
「受けて立ちましょう。では、結人さんが勝ったら・・・どこかで1食ご飯を奢ってもらいますね。」
「そんなんでいいの?ま、私の空が負けるはずが無いけどね。」
「私の結人さんもお強いですよ。」
「フフフ」「ハハハ」
顔を見合わせた2人に自然と笑みがこぼれる。
そんな中、取り残された女の子が1人・・・
「いやいや、2人とも恋ができるだけ幸せだと思った方がいいよ。私なんて・・・」
「ま、まぁその内いい相手見つかるっしょ。」
「そ、そうですよ。きっといい出会いがありますよ。」
あわてて2人は瀬奈を慰める。
「そ、そうだ今気になっている相手とかっていないの?」
「・・・全く。それに私あまり実力無いのにAクラスに選ばれちゃって・・・他の人との実力差を感じているんですよ。」
「実力差か・・・Aクラスに配属された人は大体みんな経験するからね~まぁそれなら大丈夫大丈夫。空はああみえて強いからねー。多分格段にレベルアップできると思うよ。」
「結人さんも頼めば教えて下さると思いますよ。」
「そ、そうなんですか?是非お願いしたいです!」
「オッケー!任せといて!」
「任せて下さい!結人さんは私が頼めばたいていの事はやって下さるので!」
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