#29 見慣れた日常②
「・・・君たち、スゴすぎじゃない?想像以上なんですけど。魔力の乱れが一切感じられないや。」
先輩の用意した実力試し。100kgの金属球をどれぐらい異空間に収納できるかを競ったところ開始からわずか10分で、魔力操作が下手な樹、そして雷華が脱落、そしてその約20分後、大和が脱落し、数分後に桃が脱落した。桃は支援系ということもあり、魔力操作技術が上手だった。まぁそれは、学生のレベルでの話だが・・・・・・
「凄いですね、あの夫婦・・・もう1時間経過しそうですよ。」
「へ〜この2人は恋人なんだ〜いいな、いいな〜私も彼氏欲しいなー私全然出会いなくて・・・」
「この2人はところ構わずイチャイチャするので、気を付けて下さい、先輩」
「そ、そうなんだ。」
この試験、提案した部長を含め誰もが感じていたことがある、それはめっちゃ暇なことだ。
記録をする人は雑談や自分の勉強ができるが、やっている人は苦痛でしかない。特に結人と咲夜はギリギリ頑張っているふりをしなければならないので大変だった。
そして苦しそうな顔をしている結人と咲夜を前にニヤリとする輩がいた。
「いや~最近俺困っているんだよね~どこぞの夫婦に」
いたずらっ子のような顔をする
「ほんとだよね~私も今日見ちゃったんだよ~二人でイチャイチャしながら腕を組んで登校しているどこぞの夫婦の姿を~」
増える
「そうなんですよ~この前のお弁当の時もどこぞの夫婦のおかずが何故か全く同じでさ~その上”あ~ん”もしていたんですよ?私たちがいる前で~何の嫌がらせかと思いましたよ」
次々と増えていく
「え~そうなんだ~私1年生との交流ないからな~そんなに仲のいいカップルがいるんだ~」
状況を察して悪ノリする
早いうちに脱落し、邪魔を始める4人。
わずかだが咲夜の魔法に歪みが見える。
そしてその攻撃らだんだんと加速していった。
「授業中もさ~隣の席なのにも関わらずずっと見つめ合っていしね~」
「親善試合の時もさー大声で応援しちゃってさ〜こーなんていうのかなー私たちが結人君を応援するのが悪い気がしちゃうレベル」
「まぁかっこよかったのは確かですが・・・」
【結人さん、今”結人君”って言ってましたよね、絶対】
【う、うん、言ってたね、間違いなく。僕も聞いたよ。どうやら僕たちの邪魔がしたいみたいだ。これは仕返しが必要かな?】
【私に任せて下さい。】
咲夜の目が光る。こういう時の咲夜に容赦という2文字はない。そして誰にも聞こえない声で詠唱する。
「<
次の瞬間、邪魔をしていた4人の体がビクンとする。そして突然大きな笑い声を上げてその場に倒れ込む。その顔はどこかくすぐったそう顔だった。
結人は自分の婚約者が何をしたのかを魔法の術式と4人の反応から察する。
<感覚支配>で、4人の感度を上昇させた上にくすぐりをしたのだった。
我が婚約者ながらそれは恐ろしいものだった。容赦というものを微塵も感じさせない
結人も1度食らった事がある。あれは確かアメリカの序列2位の子と2人きりで
結局、朝まで膝枕をするということで許して貰えた。後半はどちらかと言うとご褒美だったが、前半はまさに地獄だった。
目の前で笑いころげている4人を見ていると。昔を思い出して・・・
【どうかしました?結人さん。顔色が悪いようですが・・・】
【いや、なんでも。大丈夫だよ、咲夜】
*
「これぐらいで許してあげましょう。いいですか?みなさん結人さんの素晴らしさを語るなら許せます。私も語り出すと止まらなくなるのは同じなので・・・ですが、私たちの恥ずかしい行動を大声で言うのはもう禁止です。」
「いや、前半のやつも禁止にして欲しいんだけど」
「ダメなんですか?結人さん・・・」
あからさまに落ち込む。結人は咲夜に基本あまい。
「・・・許可しよう。でも、僕が恥ずかしいからちょっとにしてよ!それと人前は辞めて欲しいな」
「わかりましたー」
「ちょろすぎかよ」
あの地獄を耐え抜いた同志とはいえ、言っていいことと悪い事がある。結人は黙って
「ごめんって結人」
「まったく・・・次はないからね。」
「はい、すみませんでした〜」
結人が忠告をすると樹が頭を深々と下げた。
「でも、ほんとにすごいよね。空間魔法という魔法の中でも特に操作が難しい魔法を使いながら他の魔法を同時に使うとは・・・」
「この2人実は時間魔法も使えたりして・・・ってそれはないか。ハハハ」
・・・まぁ使えるけどね。そろそろ終わらないと怪しませそうだ・・・終わろう。
結人は黙って空間魔法を解く、結人の空間魔法が解除されそうな様子を見た咲夜も強引に術式を破壊する。記録としては65分だった。
(((なんで、あの二人魔法が途切れる時間も全く同じなんだよ・・・仲良すぎかよ・・・)))
全員が同じ気持ちだった。
他の2人はというとずっと隅で本を読んでいた。あっちはあっちで気が合うみたいだ。
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