開花5

「いやぁすごいものを見せられたねぇ」

 エーテはただただ感嘆の声を上げる

 女神の進化という絶対にお目にかかれないようなことが目の前で起きたのだ

 普通完成された神々が進化することなどない

 だが一応例外はある

 ルニアやサニアがその一例だ

 もともとが神の器だったため、もちろん神らしい力は持っていたが、旅を経て成長し、自己進化を果たし今に至る

 プリシラもその類だったというわけだ

 エーテは興味深そうにプリシラの体を観察する

「あの、恥ずかしいんですけど」

「もうちょっと待って」

 真剣に見続ける

 そして三十分ほど観察し、エーテは満足してうなづいた

「なるほどなるほど、君は元々そうなるスペックをもってたんだねぇ」

 構造を理解できた科学者のようにエーテは鼻息荒く喜ぶ

「それにしてもあれだけの力を持っていた悪意の塊をこうも簡単に打ち砕くなんて」

 アモンは自分が不甲斐なく思えてきた

 自分の力は悪魔としての力しかない

 確かに悪魔の中ではかなり強い方で、神々とも渡り合えるほどだった

 しかしながら、今の危機的な状況では自分は役に立たないだろう

 地獄からの炎など、ウルの幹部クラスでも効かない者や打ち消せる者が多い

 圧倒的に弱い

 それが自分の現状だった

「はぁ」

 思わずため息が漏れる

「何を落ち込んでいるのですかアモン。あなたはまだまだ開花どころか芽吹いてすらいないのですよ? 悪魔の力も相まって強力な力になるでしょう」

「僕が、ですか?」

 いまいち実感がないが、メシアにそう言われると出来ると思える

「が、頑張ります!」

「ええ、それじゃあ皆に開花してもらうため、とあることをやってもらいます」

「「はい!」」

 種を植え付けられた者達はやる気に満ちている

「それじゃあこっちへ。それから、避難した者達を呼び戻しておいてね、メキラ」

「もちろんですメシア様!」

 メキラはメシアに頼られることが大好きなようで、嬉しそうに走って行った

 そしてメシアに連れられて一行は大きなドーム型の建物へと入り、開花の儀式が始まった

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