アウルは笑う

「なんだ、結局駄目だったんだ」

「ふむ、そうだね。全く、あれほどに君の悪意を与えられたというのに不甲斐ない」

「プロフェッサー君はどうなんだい? いけるのかな? 奴らを殺せる?」

「ハハハ、僕は研究者だよアウル。君の悪意を一番多く与えられるとはいえ、戦いには向かないさ。それにまだダーカーやエフィ、生田目がいるだろう」

「ダーカーか、彼は気まぐれだしなぁ。まあ分離体が倒されたらしいから本腰を入れるかもね。それからエフィは、彼女は駄目だ。戦わせるわけにはいかない」

「それもそうだね。生田目はどうだい?」

「そういえば姿をしばらく見ていないけど、まあ生田目なら大丈夫だろう」

 五王が予想外に弱く、誰一人として未だ目的を果たせていない

 だが、彼らにはまだ五王とは違う隠し玉がいた

 ダーカーの方は勝手に行動してすでにばれてはいるが、アウルとプロフェッサー以外に正体を知らないエフィ、姿をめったに表すことがない生田目という三人がいる

 この三人は実力がアウルとさほど変わらず、プロフェッサーと同じくアウルと同等の権限がある特別な者たちだ

 エフィはアウルの母であるため、戦闘に加わることはない

 アウルが守るからだ

 だが、アウルに危険が及んだ時、エフィがどうなるのかはアウル自身にもわからない

 アウルを見つけ、最も間近におり、母親となった女性

 悪意をもっともその身に受けて、適合した異端

 人間ではすでになく、アウルと同じくいわば悪意生命体という生物だ

 そして生田目

 ただ生田目と呼ばれているため名前はアウル以外誰も知らず、それが本名なのかもわからない

 常に世界を移動し、何をしているのかも掴めない

 性別も女性なのか男性なのか分からない

 ただアウルに信頼されているらしく、どこにいようと何をしていようと咎められることはない

「あの日本人は何を考えてるか分からないから嫌いだ」

「まあそういうなプロフェッサー。あれほど僕に尽くしてくれてる者は君と母さん以外にいないんだから」

「ま、君がそういうなら別にいいんだけどね」

「それじゃあ後は頼むよ。もうすぐここも戦場になるからね」

「ああ、任せてくれよ」

 アウルはニヤッと笑って消えた

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