第11話 3月19日 バルコニー

ちょっと暖かい日が増えてきた。そのうち桜の開花のニュースが聞けるかもしれない。と、思えるような気候。そういえば、珠弓は花見とかしたいのだろうか?とかちょっと考えたりしていた。


そして現在俺は、バルコニーにて、ボーっと外を眺めている。平和。今日は光一がどっか遊びに行ったらしく。朝からお隣が留守なのでめっちゃ平和。ホント平和。ずっと続いて欲しい。うん。帰ってこなくていいぞ光一よ。


ちなみに珠弓は室内とバルコニーを行ったり来たり。少し前に2人で椅子と机を外に出して。先程からは珠弓がお昼の準備をしてくれている。


俺?俺は待機しているように。と、珠弓に言われた。いや、言われたではないか。手伝おうと近寄ったら首を横に振られて、背中押されてバルコニーの手すり?柵のところか。とりあえず今いるところまで押された。多分外を眺めて待っていろ。ってことだと思うが……。


現在珠弓は室内とバルコニーを行ったり来たりを続けている。


お昼はどうやらパスタみたいだ。サラダが出てきて、飲み物が置かれて……。少ししてパスタが出てきた。するとトタトタ珠弓が寄ってきて……。


「完成か?」

「……」


頷く珠弓。めっちゃかわいい。じゃなくて、一言でいいから話そうな?珠弓。って、俺が完成か?とか聞かなければよかったのか。とか思いつつ椅子に座って、いただきます。めっちゃ美味しそう。


珠弓の作ってくれたパスタはツナとコーンのパスタ。うん。美味しいじゃん。珠弓はホント家にあるもので美味い料理を作ってくれる。めっちゃ助かる。


そして今は心配そうに俺を見ていた。うん?なんでだ?あっ。そういう事か。


「美味しいよ、珠弓。っか、気になるなら。味どう?とか聞いたらいいのに」

「……」

「もしもーし」

「……」

「……さすがだよ。珠弓も」


珠弓は、俺が美味しいと言うまでは「味どうかな?大丈夫かな?」とかを気にしていたみたいだが。俺が感想をいうと、珠弓は嬉しそうな表情をしてから自分も食べ出した。お行儀よく。小さく一口食べて、頷いている。


「ごちそうさまでした」

「……」


俺が言うと珠弓はニコッとしてから、片付けをする。ホントこいつかわいすぎるんだよな。うん。ちなみに片付けを手伝おうとしたが……珠弓は1人で最後までしたかったのか。俺にはバルコニーにいるように。と、立ち上がろうとしたら止められた。


結局、俺はまたバルコニーで、ボーっと柵にもたれながら外を見ていた。っか、光一が居ないだけでこんなに平和なんだよなぁ。と思いながら。


しばらくして、片付けを終えた珠弓も俺のとなりに来た。


「片付け終わったか?」

「……」


頷く珠弓。そして……そこから2人ともボーっと外を眺めていた。って、こんな平和な生活でいいのだろうか。かわいいお人形さんとともに。


「そういえば、珠弓」

「……」


珠弓がこちらを向く。


「うちの大学。入学式前に1回学校行く日あるだろ?」

「……」


俺が聞くと珠弓は頷いたので、予定はちゃんとわかっている様子。


「仮登校みたいなのもうすぐだろ?あれ、大きめのカバンあった方がいいぞ。アホほどうちの大学資料やら渡してくるから。去年持って帰ってくるのが大変だったからな」

「……」

何度か頷いている珠弓。頭の中に記憶中だろうか?

「あっ。そうそう、そういえば昨日珠弓の親からさ。娘の入学式写真送って欲しい。言われたんだが……どうする?ほら、書いてあったと思うがうちの大学。入学式にはうちの学生しかは入れないようにするから。昔は親も入れたみたいだが。最近は……いろいろあるんだろうな。少し前から親は配信するやつ観ろ。らしいから。っか人数が多いから学生だけでも人混みすごかった気がするが……」


すると珠弓は何か言いたいことがあるらしく。スマホを取り出していた。いやいや、話した方が早いって。何回もいうが……。


♪♪


「写真は恥ずかしいから遠慮します」

「まてまて、俺が珠弓の親に怒られるからさ。スーツやら着たらとりあえず写真撮らせてくれよ。玄関とかで良いからさ。今から珠弓。入学式行きます。みたいに送っとくから」


♪♪


「写真は恥ずかしいです」

「はぁ……」


♪♪


「入学式の写真って欲しいものですか?」

「わからん。ちなみに俺は撮ってない。っか光一がうるさかったし。目立っていたから、いかに知り合いかバレないようにするのが大変だった。まあ瞬殺でバレたが……ちなみに光一は撮りまくっていたな。そして、あの時だけでどれだけ繋がり作ったんだろうな。ある意味すごかったよ。周りを巻き込むというか。って、珠弓はかわいいかわいい娘だから写真で親も残したいんだろうよ」

「……」


俺が言うとなんか珠弓が……うん?えらく照れていた。どうした?


「珠弓?」


俺が話しかけると珠弓は慌ててスマホをいじり。


♪♪


「なら当日朝に撮ってください」

「了解」


まあそんな話をしていたら時間はあっという間に過ぎていき。となりの部屋からうるさいのがうちに来てしまい……。


平和が壊された。ホント、光一うるさい。帰って来るの早いよ。1年くらい旅に出ろよ。ホント。





今日のお人形さんは美味しいランチを作ってくれました。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る