第57話 野球部誕生!①

華菜と千早が息を弾ませて、今日から(仮)の取れた野球部の、旧第2校舎の部室に戻って来た。


部室内では、元からいた怜と真希と咲希、そしてそこに美乃梨も加わり、みんなで談笑をして、華菜たちの帰りを待っているところだった(真希は不機嫌そうに窓の外を見ていたが)。


「おかえり。どうだった?」


2人が戻って来たのを確認した美乃梨が開口一番尋ねた。


「無事に野球部承認されましたよ! 明日からグラウンドで練習しても大丈夫です!」


「やったじゃん!」


美乃梨が心の底から嬉しそうな笑みを浮かべた。


「でも、まだ部員は5人しかいませんし、まだまだこれからですわね。華菜さんの目標は由里香さんの野球部勧誘かもしれませんが、わたくしはあくまでも全国制覇が目標ですので、なんとしても大会が始まるまでに9人揃えないといけませんわ」


「もちろんそうだと思います。私だって由里香さんに野球部に入ってもらって全国制覇を目指します! そのために、一刻も早く9人集めないといけないですね!」


2人の会話を聞いて、隅っこにいた真希が咲希に耳打ちする。


「ちょっと、全国制覇って何? 私そんなの聞いてないんだけど!」


「がんばらないとねー」


あくまでも咲希は他人事みたいにのんきな反応を返した。


「真希さん、心配なさらなくても大丈夫ですわよ。これからはグラウンドが使えるようになりますので、みっちり練習ができますわよ。多少厳しくなるかもしれませんが、きっとうまくなりますわ」


怜が不敵な笑みを浮かべている。


「よろしくお願いしますー」


返事は咲希がして、真希は無言のまま嫌そうな顔をしていた。


「ねえ、華菜ちゃん。実は千早、野球の大会のことよくわからなくて……」


「私もよくわからないなー」


千早が恐る恐る手を上げて聞き、その後に咲希が追随してくる。


「そうか、そういえば未経験の人が多いんだね。華菜ちゃん、教えてあげたら?」


「そうですね」


美乃梨に促され、華菜が説明の準備に入る。部室の真ん中にある机のまわりに華菜たち全員が集まった。

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