白川宮慶子女王殿下

お兄様のフィアンセ


 朝比奈伯爵家の娘になり、帝国第一高等女学校入学の準備に追われる日々を送っています。


 ある日、昼食の時、お兄様の隣に、それは綺麗な女性がおられました。

「雪乃、こちらは私のフィアンセの慶子様だ」


 慶子様?誰、この女、フィアンセ!私の久光お兄様に女が!

 あれ、どうしたのでしょうね、私……嫉妬?


「初めまして、私は白川慶子、久光様とご婚約させていただいています」

「初めまして、朝比奈雪乃と申します」


「雪乃、私は女性のことは分からなくて、正直どうすればいいか分からず、慶子様にご助力をお願いしたのだ」

「お前にとっては義理とは云え、将来は姉に当たる人になる、私に云えぬ相談もあるだろうから、分からぬ事は良くご相談申し上げよ」

「それからこの方は白川宮慶子女王殿下だ、失礼に当たらぬように」


「えっ、女王殿下!」

 私は固まってしまいました。


 お兄様は最上級物件!しかし、まさか帝室一族のお一人が降嫁なされるとは……


「し……失礼しました!」 


「いいのよ、貴女は未来の私の義妹、そうなるために協力してくれない?」

「はい!」


「じゃあ、久光様、少しばかり女同士の話しをさせてくださいね」

「お願い出来ますか」


「じゃあ雪乃さん、お食事が終わったら、二人で食後のお茶は貴女のお部屋でしませんか?未来の姉妹としてお話などしましょうね」


 この後の昼食は、緊張してのどを通らなかったです。

 慶子様の優雅なこと……貴婦人とは、このような方を指すのでしょうね。


 で、あれよあれよという間に、慶子様と二人でお茶をしています。

 ベッドなんて置かれている私の部屋です、こんな場所でお茶なんて……


「申し訳ありません、こんな部屋で……」

「いいのよ、貴女の部屋を見てみたかったの、それにしても久光様って、女心なんて理解されないようね、これでは殿方の部屋ではないの」

「すいません……」


「雪乃さんが謝ることはないのよ、確かにこのお屋敷には女主人が不在、ハルさんでは思うことがあっても口を挟めないですからね」


「……ところで雪乃さん、大事な所から血が出たことはない?」


 あっ、慶子様は私の生理について、心配していたのですね。

 少し知らないふりをしなくては……実際、なったことはないので、生理については通り一辺の知識しかありませんし。


「あの……あんなところから血が出るとは……その……痔と云うこと……ですか……確か孤児院の理事長先生が、そのような物になったと聞きましたが……」

「私は、その……痔になったことはないです……」


「痔じゃないけど、まぁ分かったわ」

「雪乃さん、あのね、女の子はね、ある程度の歳になると、身体がね、子供を授かれるように成長してゆくのよ」


「身体がね、徐々に成長してゆくと、その印を授かるのよ、それはね、大事な所から血がでるのよ、女になると必ず月に一度はあるのよ」

「女の子が大人になるためには、誰もが通る事なの、分かる?」


「……分かります……」

「そんなに不安そうな顔をしないで、私がチャンと教えてあげるからね!」

「……お願い……します……私……」


「大丈夫、女の子なら誰もが経験し乗り越える事が出来るのよ、私もね、不安だったけど、教えていただいて乗り越えたのよ」

「そうなのですか……」


「それを初潮というのだけど、それが始まる前に白か黄のしみが下着についたりするから、そうなったら必ず私かハルさんにいうのよ」

「えっ、その……二三日前に……下着に……その……粗相をしたのかと……恥ずかしくて……」


「そうなの!それは大変、準備をしなければね」

 準備って、何をするのでしょうか?

  

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