128.新スキル確認タイム

きゃー、ちこくちこく~!

……なんてカワイイものじゃありません、2時間の遅刻です<m(__)m>

アラーム2つにしても効かなかったのと昨日の夜まったく寝付けなかったのが原因だと思います。

まっことに申し訳ない。

**********


「さて、どっきどきのスキル確認タイムですね!」


「問題は新規スキルがどれだかわからないってところなんだがな」


「……それを言っちゃダメよ。その辺もアップデートされないかしら、ソウルパーチャス」


「そんな便利な機能が簡単に追加されるはずがないですにゃ」


 軽口を言い合いながらソウルパーチャスを開いたのだが……。


「……あったよ、『新規スキル検索機能』」


「他にも『スキル傾向別お勧めスキル表示機能』なんてのも追加されてますね」


「絶対あの神様、私たちのことみてるでしょ」


「そうかもしれませんし、そうでないかも知れませんにゃ」


「どういう意味よ、ネコ」


「お三方はモンスターを多数討伐してきたにゃ。その結果としてソウルパーチャスにも、モンスターのソウルが大量に蓄積されたはずですにゃ」


「……なるほど、モンスターのソウルを集めれば集めるほどロックが解除されると」


「その可能性はありますにゃ。吾輩の推論ですがにゃ」


「たしかに、その可能性って高いですよね」


「よっし、そうと決まれば明日からもモンスター狩りよ!」


「……あー、その、お三方には大変恐縮なのですが、ここらでいったん邦奈良の都に帰還ですにゃ」


「……なにかあったのか?」


「実はですにゃ。今回のエイスファン討伐までが来年2月までのスケジュールだったのにゃ。それで、今は……」


「12月にもなってない、11月中旬だな」


「そう言うことですにゃ。この灰色の森奥にも魔黒の大森林はあるのですが……」


「ですが?」


「レベル200の魔物がうろつく超々危険地帯なのですにゃ。お三方ではまだ早いのですにゃ!」


「ってなると、根本的なスケジュールの組み直しが必要と」


「そっちの方は大体頭に浮かんでますにゃ! ただ、今回のハントは、ハンターギルドの承認がないとハントしちゃいけない相手と戦いますのにゃ!」


「……なにと戦うんだよ?」


「天陀の街は覚えていますかにゃ?」


「もちろん」


「そっちの灰色の森にすむボス級モンスターですにゃ。ただ、遭遇戦以外で倒すのは原則禁止でありまして……」


「わかったわかった。とりあえず、ソウルパーチャスを確認するぞ」


 さて、まずは新規スキルの確認だが……。


「【環境耐性レベル5】、【氷獄の盾】、【魔力集中】、【魔力拡散】、【灯火の幻影】か……」


「【環境耐性】は全員ありそうですね」


「ラーヴァトータスとエイスファンの両方を倒すのが鍵だった、ってところかしら」


「【環境耐性】は絶対に覚えておくにゃ。今後は極寒の地や灼熱の洞窟などにもいく機会があるにゃ」


「わかったわ。あとは……私の方で覚えられそうなのは【消炎の盾】と【無水の盾】、それから【灼熱の守り】に【氷河の守り】ね。効果は火のブレスと水や氷のブレスを無効化してくれるものよ。【灼熱の守り】と【氷河の守り】はそれぞれの属性の外付け鎧を身につけられるスキルだわ。さらに頑丈になれるわね」


「私のほうは……【水氷拳】、【爆水打】ですか。【水氷拳】は【灼熱拳】の水属性版、【爆水打】は柔らかい部位に攻撃が当たると確定クリティカルがとれるそうです」


「……地味に怖いのよね、ミキのスキルって」


「物理防御無効に、確定クリティカルですからにゃぁ。条件があるとは言え、フート殿並みのアタッカーですにゃよ?」


「リオンさんはどうだったんですか?」


「吾輩は……おお? おおお! 元素魔法スキル全種がレベル5と纏剣スキルがレベル5になれますにゃ! これでマルチアタッカーですにゃ!」


「それは良かったわね。他には?」


「アヤネ殿? マジックフェンサーにとっては五属性は夢なのにゃよ? ……あ、【氷華の剣舞】というのがありましたにゃ。効果は周囲に氷の粒を散らして分身し、相手を攻撃できるものらしいですにゃ!」



「へぇ。そういえば、フートのスキル効果を聞いてなかったわね」


「【魔力集中】は普段の魔力の3倍魔力を消費して、それに見合った威力を出すことができるらしい。【魔力拡散】は……杖でできることの上位版かな。例えばマキナ・アンガーを拡散したい場合、全方位数十発に拡散できるらしいから。威力はそれに見合う程度に低下するけど」


「……大丈夫にゃ。フート殿のマキナ・アンガーは威力が20分の1になったって十分戦術兵器にゃ」


「失礼な。【氷獄の盾】は水と雷から周囲を守ってくれるバリアを張るスキル、最後の【灯火の幻影】だが……自分の幻影を作り出して攻撃を避けるスキルだな」


「よくある、どれかひとつが本物……ってやつ?」


「いや、本体は完全に隠れるらしい。で、隠れてる途中で魔法を使いたい場合、レベル5魔法までしか使えなくなるんだってさ。修練を積めば解放されていくけど」


「……いずれは複数のマキナ・アンガーが飛んでくるとか悪夢にゃ……」


「仲間には撃たないよ。さて、ここまでのスキルは全部とってしまうか。……エイスファンで得たソウルがほとんどなくなるけど」


「……実は私もです。【爆水打】の要求ソウルが多くって……」


「フートのマキナ・トリガー並みの凶悪さだから平気よ。……あー、私も全部覚えようとするとエイスファンのソウルがほぼ消えるわ」


「まあ、仕方がないにゃ。……というか、エイスファンのソウルってどれくらい手に入っていたにゃ?」


「500万だな、そのうち400万がスキルで消える」


「エイスファン相手なのに3等分して500万ソウルしか手に入らないのかにゃ……ちなみにレベル111までソウルはどれだけ必要にゃ?」


「えーと……630万……」


「全然ダメじゃないかにゃ! プラン立て直しなんてレベルじゃなく、最初から考えねばアグニに到底届かないにゃ!」


「だよなぁ……モンスター1匹でレベル1上がらないんじゃなぁ」


「ともかく、今日はスキルを覚えたら早く寝るにゃ! そして明日以降は強行軍して前線基地まで戻るのにゃ!」


「了解。私もやばいのはよくわかったわ」


「ですね。これじゃあ、邦奈良を守るどころか、フートさんも守れません」


「モンスターより、魔物を千匹単位で相手にする方がソウル的にはうまそうなんだがなぁ」


「この辺のハンターや冒険者が来ない場所ならともかく、人が来る場所じゃダメにゃ。生態系が崩れるにゃ」


「わかってるって。さあ、寝よう」


 リオンの宣言どおり、魔物との戦闘も避け、前線基地まで一週間で帰還。

 リオンは先に邦奈良の都に連絡を入れておくとかで、基地内へと入っていった。


『おい、青猫! 確か帰ってくるのは2月下旬じゃなかったのか! まだ11月下旬だぞ!』


「そんなのわかっているにゃ! でも、フレスヴェルグにラーヴァトータス、討伐方法不明だったエイスファンまで討伐し終えてしまったにゃ!! それにレベルアップ速度も吾輩たちの試算よりはるかに遅いんだにゃ!!」


『余計なスキルをとっているとかじゃなく、か?』


「そんな様子はありませんにゃ。試しにレベル110から111までの必要ソウルを聴いたら630万という答えが返ってきましたにゃ」


『……俺らだと1,000万以上かかるから破格だが……赤の明星でもそれか』


「というわけで、早々にプランの組み直しが必要ですにゃ。ユーリウスと一緒に草案を考えておいて欲しいんだにゃ。あと、天陀の灰色の森にいるレベル180のモンスター、あれの討伐許可もほしいにゃ」


『討伐許可は了解だ。早々に許可を出せるように動いておく。だが、ユーリウスはなぁ……』


「なにかあったのかにゃ?」


『前にも言っただろ、バカ貴族の件。あれを俺らの上に着いている貴族に報告したんだが……よりややこしくなっちまってな。都の貴族街は面倒な空気が漂ってるんだわ』


「そんなこと言われても、強行軍で帰りますので4日後には都に戻りますにゃよ?」


『……一週間くらいかけてくんね?』


「相談してみますにゃ」


『それでもダメだったら……貴族同士の潰し合いに発展するかもな』


「それですめばカワイイ方だと思いますにゃ」


『どういう意味だ?』


「バカ貴族がフート殿に直接ちょっかいをかけてきて、マキナ・トリガーで消し炭にされるか、マキナ・トリガーで貴族街の魔法障壁を吹き飛ばされるか……」


『……急いで始末をつけさせる』


「それでは通信終了にゃ~」


『通信終了だ。……あったま痛え』

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