61.発情期と避妊具
果てしなく寝坊した!
しかも誤字チェックも夕べの地震騒動でできちゃいねぇ!
アップロードしたあとに地道に潰します。
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「あ、ギルドマスターのお話終わりました?」
ギルドマスタールームを出て階段を降りたところにいたのはゲーテさん。
彼女は受付なのだからいても不思議ではないのだが……。
何かこちらに話でもあるのかな?
「終わりましたよ。気が滅入る話を少々」
「あはは……お姉さんからもちょーっとお話があるんですよね。上の個室まで来てもらえますか?」
「かまいませんけど……」
俺はよくわかってないが、アヤネとミキのふたりはなんとなくだが理解している模様。
なお、リオンは来なくていいと言われたので、テラやゼファーとお留守番だ。
「それで、話ってなんですか。ゲーテさん」
「まあまあ、急がないで。まずはご成婚おめでとうございます、フートさん、ミキさん」
「ああ、ありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました」
「……さて、そういうわけでして若いふたりが結婚間近となれば、自然と湧き上がってくるものがありますよね」
「?」
「……えーと、ゲーテさん」
「その言い方だと私が同席している意味、なくない?」
「……ずいぶん反応が鈍いですね。本当に若者なんですか、あなたたち!」
よくわからんが逆ギレされた。
本当に心当たりがないんだが。
「あなたたち、年頃の若い子なんだからそういうことのひとつやふたつ興味があるでしょう!」
「……ああ、そういうこと」
「あ、その話だったんですね」
「急に呼び出されたからなんの話かと思ったわよ」
「くっ……この子たち反応が鈍すぎる……他の子たちならもっと目の色を変えるか恥ずかしがったりするのに」
「そう言われても、なぁ」
「本当の意味での結婚はアグニとの戦いが終わってからって決めましたし」
「……それに私が同席している意味ってあるの? 性教育って言うのも大事だとは思うけど」
「負けちゃダメよ。大事なことがまだ残っているんだから……」
「おーい、ゲーテさーん」
「はい、気を取り直してもう一度! 今日の議題は若者の避妊についてです!」
「ストレートに来たな」
「ストレートね」
「……ちょっと恥ずかしいですね」
「だってそうしなきゃ話が進まないでしょ、あなたたち」
「……否定できない」
「で。やっぱり、ハンターを続けていくっていう意味でも大事なんですよ、避妊って」
「身重の身体じゃハンターなんてできませんものね」
「それだけじゃないですよ。子供を産んでから2~3年は身体の動きが鈍りますし、それが抜けてハンターに復帰しても今度はハンターとしての勘を取り戻すのに時間がかかる場合もあります。つまり、女性ハンターは5年程度抜けてしまうんです。というか、結婚や妊娠を機にハンターを辞める女性って結構多いですしね」
「そうなのね。思っていたより大事みたい」
「大事なんですよ。まして、今回はうちのギルドとしても手放したくない未来のエース候補ふたりの成婚ですし、性教育はさっさとやれ、と上司にもせっつかれまして」
「……話はわかりました。でも、私たちはアグニを倒すまでそういうことを我慢する自信はありますよ。ね、フートさん」
「そうだな。まずはアグニを倒すことが最優先だな」
「甘い、実に甘いです、お二方。フートさんはそれでいいんですよ。まあ、若いんですからいろいろたまるでしょうけど、我慢の方法だっていろいろありますし、奥様が手伝ったっていいんです」
「……奥様が」
「本当にストレートだな」
「問題はそこじゃないんですよ。問題はミキさんとアヤネさんのふたりが獣人種だってことにあるんです」
「獣人種? ……あ、発情期」
「フートさん正解です! 獣人種の発情期は気合いとか決心とかで押さえられるほど生半可なものじゃないんですよ!」
「……そんなにすごいんですか?」
「それはもう。種族によってさまざまですが、場合によっては一晩中そういうことしか考えられなくなるとかもあるそうですよ。私エルフなんで知りませんけど」
「……確かにそれは切実だわな」
「……フートさん、どうしましょう?」
「……それって私も対象なのよね。種族差はわかったけど、個人差はどうなの?」
「そっちも激しいみたいですよ。人によっては、その間だけ夜のお仕事に就く人とかもいるらしいですし」
「うっわ」
「まあ、笑い事ではなく立派な現実ですので。そして、このパーティのリーダーであるフートさんにはふたりの面倒をみる必要があります」
「ちょ、私はフートの恋人でも妻でもないわよ!?」
「じゃあ、行きずりの男性でも相手にします?」
「……それはもっといや」
「ちなみに、ミキさんのご意見は」
「……我慢ができないなら致し方ないです。同じパーティメンバーですし、苦楽をともにしてきた仲ですし。ただし、フートさんの子供を先に産むのは私ですからね!」
「私にそんな気はないわよ!」
「はいはい、わかったから。それで、ゲーテさん解決方法はあるんだろう?」
「はい、まあ、性欲を押さえることはできませんが。要するに避妊を完璧にしてしまえばいいんです!」
「まあ、その通りだな。で、その方法は?」
「じゃーん! この魔導具を使います!」
「魔導具って……タダの数珠みたいなアクセサリーじゃないの?」
「これをつけていると、男性の……まあ、精液の中にある精子が活動を停止……というか死にまして、確実な避妊ができます! ちなみに、女性がつけた場合は、卵子に同じ働きがあります!」
「……それって便利すぎない?」
「都合がいい魔導具ですよね」
「そんなこと私に聞かないでください! もう百年以上昔からある魔導具なんですから! 実際、この魔導具ができてからは意図しない妊娠が激減して離職率が減ってるんです!」
「減っただけなんだな……」
「……いつの時代もつけ忘れる人はいるんですよ」
「まあ、事情はわかったよ。で、それはどこで買えるんだ?」
「街の魔道具店なら大抵どこでも買えます。ただ、買うならお早めに。発情期が重なる時期になると品薄になって手に入らなくなりますから」
「で、やっぱり私たちもつけておいた方がいいのよね?」
「……あー、まあ、それは、そうなんですがー」
「なによ、ゲーテ。歯切れが悪いわね」
「女性でこの魔道具をつけているといわゆる夜のお仕事をする人という認識になっちゃうんですよ……」
「……フート。私たちの分も買っておいて。発情期が来たら家の中でだけつけるから」
「了解。……そういや、発情期っていつ頃なんだ?」
「私は3月下旬から4月上旬に2週間くらいだと教えてもらいました」
「私も3月上旬から下旬ね。2週間程度なのは一緒よ」
「……まあ、そういうことにギルドが口を挟むことは滅多にしないんですが、発情期の期間はおやすみしておいた方がいいと思います。実際、獣人族のハンターの方は発情期が近づくと長期休暇を取りますし」
「……まあ、俺たちもその覚悟で行くか」
「その方がよさそうですね」
「そうね。……時期が重なっていたのはいいことなのかしら」
「……フートさんの負担が増えるという可能性がある、ということを考えると決していいことばかりではないですよ皆さん」
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