33.ステータス・スキル確認
「おはようございます、皆さん。昨日はよく眠れましたか?」
朝から俺たちを待ち構えていたのはゲーテさんの微笑みだった。
ちょっと怖いけど。
「あー、ゲーテ、一体なにがあったのにゃ」
「だって、皆さんから渡された運搬依頼の物資量、半端じゃなかったですよ。検査の子が夜通しで検査してようやくオーケーが出ました」
「にゃははは。それで、依頼はあってたかにゃ?」
「はい。それで依頼料の支払いですがどうしますか? 一括で支払いますか? それともこちらでわけてお渡ししますか?」
「どうする、フート」
「私たちはどちらでも大丈夫です」
金勘定だろ……。
そんな面倒な事、先に済ませておいた方がいいじゃないか。
「先にそちらでわけてくれ」
「わかりました。それでは、今回は……」
「今回は三等分でフートたちに渡してにゃ」
「リオンさんの分はいらないんですか?」
「今回は運転手をしただけであるからなぁ。それも元々向かう土地まで」
「そういうことでしたら。……はい、ひとりあたりの取り分、5万レイです」
俺たち三人の前に銀貨が五枚詰まった袋を受け取った。
仲良く中身を確認したらアイテムボックスに収納だ。
「いいですよねー、アイテムボックス。それがあれば手軽に大金が稼げるのに」
「ゲーテ、あまり言っていると誓約に触れるやもしれぬにゃ。あの誓約にはそういった曖昧さを残しているのにゃ」
「はーい、ああ、そうだ。報酬の受け取りが終わったらギルドマスターの部屋に来てほしいそうです。なんでもステータスとスキルの確認をしたいとか」
「了解にゃ。この後向かおうと思うけど、問題ないにゃ?」
「ああ、問題なしだ」
「じゃあ行ってくるにゃ~」
「気をつけてー」
昨日も来たギルドマスタールームにまた入ることとなった、
相変わらずリオンが気軽にノックし中に入っていく。
仕方がないので俺たちも後に続くが、今日はなにもこなかった。
「……お前ら、毎回俺が脅かしてるんじゃないかと思ってないか?」
「その自覚があるなら、いたずらはやめるにゃ」
「……ちっ、今日来てもらった理由はこれだ。『全ステータス調査装置』ですべてのステータスやスキルについて調査する」
「すべて、ですか」
「心配しなくても、身長だの体重だのといったパーソナルデータは出ねぇよ。レベルにステータス、スキルだけだ」
「……出たスキルって昨日の制約の範囲内か?」
「まあ、あり得ないレベルならな。……こんなことを聞いてくる時点であり得ないスキルを取ってるんだろうが」
「ちなみに、この結果がどこかに送られることは?」
「それもねぇはずだ。いまはユーリウスに高度な結界を張ってもらっているからな。漏れることはありえん」
ふむ、そういうことならやっても大丈夫、か。
後は誰から調べるかだが。
「フート、私からやっていいかしら?」
「アヤネから? かまわないけど」
「フートの後だと、いろいろとインパクトがかすみそうだからね」
表示されたアヤネのステータスはHPと筋力・体力・素早さが高めな一言で言ってしまえば素早い盾役といったところだ。
スキルでも【棍棒術レベル7】や【盾術レベル7】をはじめ、身体強化系のスキルはマックスのものが多い。
「一人目からこれかよ。それでまだおとなしい方なんだろう?」
「まあまあ。まだ一人目ですにゃ」
「次は私ですね。よろしくお願いします」
次いで出番となったミキだが、こちらはHPが少々高めな割に筋力とMPはバランスがとれていた。
だがステータスの方に目を向けると、筋力が俺の魔力と同じくらい(450)あり素早さも300を超えていた。
戦法としては超スピードで近づいて一撃で仕留めるそんなタイプ……に思われただろう。
だが、俺たちから見ると、そのスピードで相手を翻弄し、弱点を探りながら殴り続けるイメージしか湧いてこない。
また、スキルの方でも【格闘術レベル7】や【歩法レベル7】、【気功法レベル7】に身体強化系スキルとこれまた大量のスキルを保有していた。
「あー、二人目終了か。確認のため一応見ることになっていたが、記録を残さないようにしておいて正解だったぜ」
「ですね。こんな情報、公にはできません」
「あー、皆さん。最後に、フートが残ってますにゃ。多分二人を足してあまりある爆弾だにゃ」
「……よっし、俺は覚悟を決めたぞ!」
「覚悟が決まったんなら始めますよ」
水晶玉に触る。
すると俺のステータス情報が表示されていく。
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名前:フート
種族:ハイエルフ
Lv:20
HP:158(77)
MP:2078(492)
筋力 :30(17)
体力 :42(30)
素早さ:75(42)
賢さ :198(102)
器用さ:145(89)
魔力 :823(195)
幸運 :86
武技スキル:
【護身術レベル4】
魔法スキル:
【火精霊魔法レベル5】、【水精霊魔法レベル5】、【風精霊魔法レベル5】、【土精霊魔法レベル5】、【雷精霊魔法レベル7】、【生活魔法】、【回復魔法レベル7】、【支援魔法レベル5】
生活スキル:
【気配察知レベル5】、【アイテムボックスレベル7】、【テイムレベル6】
特殊スキル:
【ソウルパーチャス】、【鑑定+】、【真異世界言語】、【ハウスレベル1】、【ソウル取得量1.5倍】、【身体強化レベル7】、【魔力上昇レベル5】、【魔法発動高速化5】、【魔力回復速度増加レベル5】、【魔法威力安定レベル5】、【最大HP上昇レベル5】、【最大MP上昇+レベル5】、【パーティ内ソウルシステム共有化】
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「さて、どうにゃ、最後の感想は」
「素直にいう。バケモンじゃねぇ?」
「この歳で五属性の精霊魔法をレベル5、雷に至っては極限と言われているレベル7とは……あと、回復魔法レベル7は非常にマズいです。」
「ああ、教会の生臭坊主どもが聖者だなんだって身柄を差し出せって言ってくるレベルだな」
「あと特殊スキルは……なんだこりゃ? ステータス増加系以外はどれも話せるもんじゃないだろ?」
「【ソウルパーチャス】?に【ハウスレベル1】?よくわかりませんが話すわけには行かないスキルなんでしょうね」
「そうだな、まったく、面白い奴らだぜ」
「さて、鑑定も終わりましたし結界をときましょうか」
「そうだな、そうするか」
「……いや、ちょっと待ってくれ」
「どうかしましたか?」
「この魔導具の先から少しだけ魔力が漏れているような……」
「……確かに不自然な漏れ方をしていますね」
「そんなのなんでわかるんだよ……」
「ハイエルフならではの力とでもいいましょうか。……さて、これでは安易に結界の解除をできなくなりました」
「結界を解除するといままでの情報が筒抜けになるって? やめてくれや……」
「その可能性が高いですね。さて、どうしたものか」
「……ブルクハルトさん、この水晶って壊したらどこが責任を持つの?」
「そりゃ、ハンターギルド内でだけだが……ああ、盗まれたくないならぶっ壊しちまえばいいと」
「そうなるかな」
「それじゃ一撃……せりゃ!!」
ブルクハルトさんがその鉄拳を振り下ろすが水晶には傷ひとつ付かない。
「く~~~、硬すぎだぜこりゃ。……ああ、ミキの嬢ちゃんもやめておけ。俺よりもステータス低いんだからよ」
「さて、そうなると魔法による破壊だが……」
「ユーリウスさん、魔法の衝撃ってどの程度までごまかせます?」
「レベル7魔法を使うのですね。絶対という自信はありませんが守り切ってみせましょう」
「よし、じゃあ、始めるか」
水晶の周りから邪魔なものや大事なものを取り除いて魔法の準備。
レベル7の極大魔法ともなれば俺でも詠唱に1分以上かかってしまう。
さらに、杖も強化したばかりだし、どの程度の威力が出るか、未知数なんだよなぁ。
「……準備完了、愚かなるものに鉄槌を、マキナ・アンガー!」
前使ったときよりも多い本数の雷が水晶に集まり、その魔力を集約させていく。
そして一瞬の閃光と爆音とともに雷が消え去ったかと思えば、水晶は跡形もなく消え去っていた。
不審な魔力の流れも感じないしこれで大丈夫だろう。
「……恐ろしい威力ですね、マキナ・アンガー。それがハンターギルドに向かないことを祈りますよ」
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