第34話 婚約指輪パカ、は女の夢!!
「話し合いに戻って」
うさ衛門先生に促されたけど、何話してたっけ……
「実家行くか行かないかでしょ。すぐじゃなくて、そのうち行く、で手を打たない?」
「あ、はい。それでいいです」
ずっと考えてたのかな。すごい。
「ていうか、指輪なんだけど」
「指輪?」
「わたし婚約指輪はいらないんだけど、結婚指輪は欲しい」
あ、ずっと考えてたの、こっちだ。
「そういえば、よくわかんないんだけど、指輪2種類あるの? よくパカってして『結婚して下さい』って言うのは何?」
「それは婚約指輪。よくダイアモンドが使われてるけど何でもいいのよ。というか、今どきそんなプロポーズしてる男はバカね」
「えええええ──……」
おれバカだったのぅ~
「なんで相手の身に付けるもの、勝手に選ぶかなぁ? しかも高額、一生の記念になるものなのに」
「高そうなイメージあるけど、参考までにおいくら……?」
「ピンキリ。上は300万とか1000万とか」
即死できるお値段!
「そんなもの、パカってやりたいだけで勝手に買ってこられて一生使って下さいとか、どんな押し付けよ」
「……参考までに、どんなプロポーズなら怒られないんでしょう……」
「普通に改まって言葉で言えばいいんじゃない?別に男から言うもんって決まってる訳でもないし」
「そう言えばそうか……」
「女がパカってやってプロポーズしないでしょ」
「『これでうんって言ってね』って言ってるってことか」
「昔の風習の名残よね」
「ちょーっと待ったあ!」
遠くから、がったんと立ち上がる音と共に、響き渡る大声で待ったがかかった。
キョロキョロしたけど、言われてるのはどうもおれ達、待ったをしたのは言わずと知れたマコちゃんだ。
「婚約指輪パカ、は女の夢!! 気に入らない指輪贈られちゃうのはその女がバカなの!!」
うわ~……
「前から言っとけばいいんじゃん、これが欲しいって」
あ、そうか。
「せっかくプレゼントしてくれる唯一のチャンスなんだから、もらうのが当たり前!」
あー、一貫してる。ホント感心するわ。
「結婚したら家計は一つになるのよ。そんな大金使ったら結婚式も旅行も新居も、全部まかなえないわ」
「ばーかーねー、そういう貧乏な男選びませ~ん!」
せっかく反撃した服部さん、呆気にとられて開いた口がふさがらない。しかもバカにされてるからか、顔が赤いし。
「お金持ちに振られてるじゃない!自分が選べる立場だと思ってるの」
「ナンジャッテ! マコは可愛いからいいの! ブースぅ!」
「……!」
「はい、そこまで。悪口はいかん。文月くん、謝りなさい」
「ごーめーんーなーさーいー」
「謝ってないわ!」
そうだよね?
「謝罪とは、自分が思ってもいないことをするものではない。それは相手にも伝わるし、馬鹿にしていると火に油を注ぐ行為だ。もう一度」
「ごめんなさぁい」
これはうさ衛門先生に怒られてしょぼんとしてるだけだなと、みんなが思った。
「この通り悪いと思っていないことは伝わる。服部くんは許さなくていい」
「はい」
うん、怖い。
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