4-11

 ラブソングを作る作業は、俺にとっては、彼女のことを思い出す作業。

普段、封印してる思いを、わざわざ引き出して作る。

問題なのは、一旦引き出すと、今度はうまくしまえなくなって、心の中がいっぱいに溢れてしまうこと。

最近、曲作りをしているから、なんだか毎日モヤモヤした感じだ。


会いたい


そう思ってしまう。

俺から彼女に連絡をとろうと思えば、とれないことはない……

だけど……

連絡は、とらない方がいいんだろうな……

彼女にとって、俺との関係はもう忘れてる過去なんだから……



 「どっか行きたいところってある?」

「そうだなぁ〜。ずっと昔から、エジプトに行きたいって思ってるよ!」

「アハハハハハ!エジプト!そうゆう話でもいいんだけど、今俺が聞いてんのは、どっかデートしね〜?って、はなし」

「は?何それ?ハハハ!桂吾!デートってゆうのは、彼女とするもんだよ!彼女とディズニーでも行ってきなよ!似合わないけど!フフフ」

「おまえと行きたいって言ってんの!」

「だから〜!私、ただのセフレでしょ?

ご飯食べに行ったり、飲みに行ったりしてエッチする。

ただそれだけじゃん!

好きとか言って始まった関係じゃないんだし」

「じゃ、そのセフレに惚れたらどうなるんだ?」

「桂吾!いつも、そうゆうこと言ってるから、女の子たち誤解するんだよ〜。だから、他の女と別れて!とか言われちゃうの!」

「おまえに、マジになった」

「…………はぁ……。アハハハハハ!

今、脳が錯覚したわ〜!!

桂吾のそうゆう冗談笑えない!

彼女を大切にしてあげなよ!

私は、もう傷つきたくないし」

「そもそも、俺、彼女なんていねーんだけど!」

「は?はいはい。桂吾、結婚詐欺師とかになれるよ!アハハハハハ!」


堪らなくなって、押し倒してキスをした。

なんで、伝わらないんだよ!俺の思いが!

おまえを好きだって

そう言ってるのに……


はぁ……

自分の気持ちを、もっとちゃんと伝えていたら……

彼女に冗談じゃなくて、真剣なんだって、伝えていたら……

今さらだけど、ヘタレだな……俺。


ダメだな。

ラブソング、切ないラブソングばっかりになっちまう……

いっそ、もうここは振り切れて、この間の妄想の夢みたいなやつを書いてみるかな。

ハッピーエンドのラブラブな毎日みたいなやつを妄想して!

それもヤバイやつだけど、切ないラブソングばっかりじゃ〜、龍聖がかわいそうだろ。


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