3-21

 楽屋に戻るとまだ11時前。

「俺、暇だから、他のバンドのリハ見に行ってこようかな〜」

と、俺が言うと、

「あぁ、そうだな!今更、敵情視察でもね〜けど、客席から見たステージを確認しとくか!」と、大輝も話にのって、じゃぁってみんなで見に行った。


 ステージは、6番目のバンドがセッティング中だった。

客席を見渡すと、みんな考えることは一緒なのか、他のバンドの人たちが大勢見ていた。


演奏が始まった。

まだ、10代だろうって感じの4人組。

若いな!軽快なポップスのバンドだった。


♪ラブラブラブラブ愛してる♪

の、リピートがしつこい!

若いっていいな!って感じだった。

でも、笑顔になれる感じ。


7番目のバンド

4人男の中に、紅一点女性のボーカルの5人組。

凄くキレイな歌声。

でも、その歌声と演奏の音が、全く合っていない気がした。

わざと、そうゆうミスマッチ感を出しているのか?

そうだとしたら、それはあんまり成功してるようには感じられなかった。


8番目のバンド

ガチガチのハードロックの4人組。

音楽性は、うちのバンドと似ていると思った。

ハードなラブソング。

悪くない。

でも、よくを言えば、ボーカルがもう少しレッスンした方がいいのかも。


9番目のバンド

6人組の女の子バンド。

今は私服だけど、本番はカワイイ衣装を着てやるんだろうなって感じ。

演奏が始まったところで、そろそろ行くぞ!と大輝が声をかけて、席をたった。

時間もそうだけど、この女の子バンドには興味がないらしい。


 楽屋から、楽器を持って、ステージ裏へ行った。

ちょうど、10番目が終わったところだった。

4人組のバンドだった。

俺たちの1つ前の11番目は、なんかいっぱいいるんだけど!

あれ?さっきの全体リハの時は、全員いなかったのかな?

5人の演奏者と、4人のダンサーと、ボーカルで、10人なのか?舞台袖からだから、よく見えないけど。

面白っ!

盛り上がるっちゃ〜、盛り上がるけど、演奏も歌も、もうちょい練習必要じゃね?って感じた。

なんかガチャガチャしてて歌の歌詞が、全然入ってこね〜な!


「12番、Realの皆さん、リハお願いします」

「お願いします!!」

デカい声出してステージにあがった。

軽くチューニングして、よし!と大輝が声をかけた。

流れるような瞬のピアノソロ。

龍聖の歌声、いつ聴いても聴き惚れる。

悠弥のベースもいい音を響かせてる。

大輝のドラムソロ、超かっけー!

俺のギターもうまくできた。

消えそうで消えない余韻を残して。

そのギターにかぶせて、瞬のピアノ。

切なさを残して終わった。

もの凄く静か。

会場からは、はぁとため息がもれただけ。

まぁ、リハだから、誰も拍手もしてくれないのは当たり前だけど。


「ありがとうございました。

それでは、全バンドのリハーサルが終わりました。

開始時間は、予定通り15時スタートになります。

開会式などはなく、タイムスケジュール通りに演奏開始になりますので、演奏の順番の2つ前には、ステージ裏に待機していて下さい。

このあと、14時15分より、開場になり、観客が入ります。

出演バンドの皆さんは、客席には入れませんので、演奏をご覧になりたい方は、楽屋棟3階奥の大会議室にモニターがございますので、そちらでご覧下さい。

それでは、一旦解散になります。

よろしくお願い致します」

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