3-14

 今度は、ジャンケンって言わずに、大輝が運転席に乗りこんだ。

「ってか、大輝〜!どっかでお茶してこうぜ!喉渇いた!」

と、悠弥が言った。

「そうだな。ファミレスでも、寄ってくか!」

お茶しようなんて言ったくせに、悠弥はガッツリとハンバーグセットを頼んだ。

「落ち着いたら、超腹減ってんだけど!」

「それな!」

「もう、3時過ぎてんじゃん!」

5人とも、ステーキとか、生姜焼きとかのセットを頼んだ。


「で、どう思う?」

と、大輝が聞いた。

「通ったな!完全に!」

ステーキをナイフで切りながら、瞬が言った。

「まず、俺たち着いてから、誰もあの会議室になんて入ってね〜からな!

実質、2次選考通った人だけの面接選考みたいな感じじゃね?

面接官もお偉いさんみたいな感じだったし」

「俺も思ったけど、スタジオにいた審査員がいいと思ったから、きっと録画映像を見せたんだろ。さっきの面接の女性、あの場にはいなかったのに、ピアノの上の花って言ったからな!

見たんだな!って思ったよ」

と、龍聖が言った。

「えっ?そう言ったんだ?

俺、桂吾が英語で喋り始めてから、全然ついてけなかったからさ〜。

何 いきなり花渡してんだよ?って思ったけど、花の話してたの?

えっ?ってか、みんなあれ、あの会話聞き取れてた?」

悠弥が、口をもごもごしながら喋った。

「桂吾は、そうだけど、あの女性もすげーネイティブだったし、早口だったな〜!ギリ、ヒヤリング出来たけど」

と、瞬が言った。

「俺は、全然わかんなかったわ!アハハ!

もう、答えたから、俺がまた聞かれることはないだろうって、なんか気〜抜いてたし。

どっちにしろ、英語なんて、ちんぷんかんぷんだけどな。アハハ」

と、大輝が笑った。

「あぁ、大輝のコメントはリーダーとして100点だったよ!

いつも、ありがとな!

俺らも、1人ずつ、何か聞かれるか!って、身構えてたけど、あっさり終わったな〜!」

瞬がスープを飲みながら言った。

「桂吾のスピーチが良かったから、その時点で合格!ってなったんじゃね!」

龍聖も、バクバク食べながら言った。

「まぁ!やることはやったからな!あとは、結果待ちだな!」

「ってより、次のホール演奏に向けた練習を始めようぜ!」

「おっ!悠弥!たまには、良いこと言うな〜!

ただ、待っててもしょうがないしな。

来週から、本戦を想定した練習をしていこう!」

「了解!」

みんなで、声を合わせた。

俺ら、仲いいな!いっくらでも、喋っていられる。

「そう言えばさ〜、桂吾と長い付き合いだけど、ハーフなんて意識したことなかったけど、英語喋れんだな?」

と悠弥が笑いながら言った。

「アハハハハハ!一応な!

普段、悠弥に英語で話すことはね〜からな!ハハハ!」

「ってか、長野にいて英語で話す時ってあんのかよ?」

「結構あるよ!店でバイトしてても、外国のお客さん来るし、駅とかでも道聞かれたりするよ」

「ヘェ~。向こうも、喋れそうなヤツを選ぶんだな〜!

俺、外人に話しかけられたことなんてね〜よ!」と、悠弥が言ったのに対して、すぐに瞬が

「わざわざ悠弥には、聞かね〜だろ!

森の中で誰もいなきゃ話しかけてくるかも、ぐらいの確率だろ!」

と、言った。

「そうゆう瞬はどうなんだよ?」

「俺は、結構話しかけられるタイプ」

「あ〜〜わかる!この中で道聞くなら、俺も瞬に聞くね!1番まともに見えるもん!」

と、俺が言うと、みんなで笑った。

「でも、桂吾の英語、すごくきれいだったな〜!」

と龍聖が言った。

「それは、どうも!

なんなら、フランス語も話せますよ!」

と、フランス語で言った。


「えっ!なに?」

「すげーな!フランス語?」

「フランス語?なんて言ったんだよ?」

「何!今の!おまえ、なに人だよ〜!」


4人同時に喋って、アハハハハハ!と、みんなで笑った。

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