　今日、とうとう限界が来ました。

　体が怠い。うつだった頃のように、全身に重り背負ったくらい怠い。頭もかすみがかかったみたいにぼんやりしている。

　仕事の依頼元に連絡して断わりを入れ、ベッドに横になって、いつものように音楽で回復しようとしたら……彼が隣にダイブしてきやがった。私は一人じゃないと安らげないのに！

　しかも「ねえねえ！俺、VAPE(電子タバコ)買いにドンキいかなきゃ！」と来たもんだ。

　私、疲れで呂律が怪しくなりつつブチ切れた。

「こちとら寝込んでんだよ！行きたいなら『出かけて来るね』って言ってそっと出ていくのが、大人の心遣いってもんだろ！しかもお前が原因でダウンしてんだよ、私と同じくらいには病人労れ！いい加減私を一人にしやがれ！充電させろ！！」

　彼はおろおろした後に、寂しそうな顔をしつこく見せつけつつ、私のWAONカード持って出ていきました。……何故WAON。ドンキはマジカでは。

　いやもうね……彼の仕事が決まらないわ、金がリアルにないわ、無自覚に仕事の邪魔するわ、連日通院の付き添いに行かにゃならんわ、年金の手続きにケースワーカーさんと打ち合わせせにゃいかんわ、その合間に美食に走る彼をセーブせにゃいかんわ、理不尽に拗ねる彼を叱りつつなだめにゃいかんわ……

　疲れる！

　行動力のある精神病患者の相手は、身も心も財布もボロボロじゃ！

　その怒り鎮めるべく、ずっと高橋一生の『君に会いたい』と『赤い薔薇』をヘビロテ大音量で聴いていました。久々に【イケメン芸能人に助け出され、再び自立を目指す私】の妄想しました。

　ある訳ないのは分かっとんのや。

　でも、妄想だけは自由だろ！

『ダンサーインザダーク』の主人公だって、妄想の力で生きてたんや。脳内でイケメンにハグして貰うくらい、自分へのご褒美じゃっ！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい