13話 振り返り配信をしよう
「はふぅ~~~……」
ボフッ
「疲れたーーーーッ!」
ようやく終わった記念放送。
すごく緊張したけどそれ以上に、先輩方全員大集結だったり、
配信内容の大枠は同期達に決められたけど、細かな内容は僕が自分で決めた物。
僕が言ってくれたら嬉しかった物をチョイスしてみたけど、配信での反応を見るにまずまずな様子で一安心。
ガチャッ!
そして何時ものごとく、
「シロネたんよかったわよぉぉぉおおお!」
「ふぐっ」
ベッドに寝転がっている僕にダイブ。
軽めに乗っかってきたといっても、僕より頭1つ分大きいのだから身体から空気が漏れる……。
「ん~~~~シロネたんの囁きボイス最高だったわ!」
「なんで人のうなじの匂い嗅いでるの」
「それに個人ボイスもよかったわよ!お母さんのバイノーラルマイクを借りたいって言ってきたから、もしやと思いレクチャーまでした甲斐があったわ♪あとうなじいい匂いよ」
「そうだよ、なんでスパチャしてるの!?あと買わなくてもボイスぐらい……あっあげるよ」
いや、あげると言ったけど、よく考えたら親に自分のこっぱずかしいセリフを喋っている物をあげるとか羞恥プレイ過ぎない?
そもそも、既に買われて聞かれてるのだから、死刑執行済みでは?
「何言ってるの!スパチャは感謝の気持ち!そしてボイスに上乗せ購入は推しへのお布施に決まってるじゃない!」
「いや確かにそうだけど!そうだけどさぁ!」
親だと分かっていると、なんかこそばゆいの!
授業参観で後ろから応援されているみたいで恥ずかしいの!
「シロネたんは企業勢だからね。スパチャとかその他の売上は全額渡る訳じゃないけど、頑張っているシロネたんに私からのご褒美。ダメかしら?」
「だっダメじゃないけど…………」
そんなことを言われたら何も言えないじゃないか。
お母さんは優しくて卑怯だよ……もう。
「そうだ、貸したバイノーラルマイクなんだけど、そのまま上げるわ。お母さんのお古で悪いのだけれど」
「ええええ!?」
僕は驚きのあまりお母さんに向き直った。
「あれ高いでしょ!調べたら30万ぐらいするヤツじゃん」
「でも、もっと高い物を収益で買ってるから押し入れに入れてたのよね。だからシロネたんが使ってくれたら嬉しいわ」
「そっそれなら……」
「うふふふ、ありがとう」
「なんでお母さんがお礼を言うのさ……」
「なんでもよ♪よし、それじゃあお母さんは配信があるから行くわね」
「うん……がんばってね、海ちゃん」
「任せて♪(九津々海ボイス」
そう言ってお母さんは部屋を出て行った。
「推しがお母さんって、やっぱり……微妙な気持ちになる……でも推しをやめれないよぉ…………」
僕が呟きながら眠りについた頃、九津々海ちゃんの放送で振上シロネの話題で盛り上がっていたのを、後ほどのアーカイブで知ることになるのだった。
次の日は普通に大学へ向かい授業を終えて配信準備をする。
音町アリアこと
今日は雑談配信の予定で、読めなかったスパチャへの感謝と記念配信の感想を言ったり聞いたりしようかなって考えているんだよね。
そろそろゲーム配信もしたいけど、対戦ゲームだとリスナーさん達にボコボコにされる未来が見える……ガクガク。
よし、始めますか!
『《振上シロネ/Vワールド》振り返りしながらスパチャ読み《雑談枠》』
8,221人が視聴中 ↑281 ↓1
「こっこんミャアー、あの、人多くない?」
平日の午後4時。
仕事や学校でそんなに人が見れないと思うんだけど?
少なければ2,000~3,000人ぐらいだから、今日はそれぐらいだと思っていたから人が少なさそうな時間帯選んだのに!
まだ大人数は緊張するし怖いのに…………。
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
コメント:いま北!
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
コメント:こんミャア!
「ミャアアア!やっぱり人多すぎるよぉぉおぉぉぉぉお……!」
爆速で流れる挨拶チャット。
もっと、ゆったりまったりな配信になると思ってたのに!
コメント:開幕悲鳴助かる
【シロネ悲鳴中毒者¥10,000 悲鳴助かる代】
【シロ友有識者¥5,000 悲鳴丁度切らしてた】
【シロネちゃんprpr¥2,525 染み渡るんじゃ^~】
コメント:スパチャニキたちシロネキメすぎてて草
コメント:初見だけどやべぇ奴が多そう
「ちっちがうから!初見さん違うからね!いっいつもは、こんなんじゃないから!あとスパチャありがとうございます!!!」
コメント:むしろいつも通りなんだよなぁ
コメント:スパチャぐらいしか違いはないよね
コメント:せんせーシロネちゃんが嘘ついてます!
コメント:コレがシロネニウムを摂取しすぎた者たちの末路
「ミャア!?なっなにそのシロネニウムって!変な造語作ると定着しちゃうじゃん!」
リスナーとは面白い事に敏感だ。
一度定着すると、それが無くなることはない。
【シロネ悲鳴中毒者¥1,000 シロネニウム1つください】
「まさかの購入者!?それも1個1,000円とか安いのか高いのか分からないよ!」
【あばたえくぼ¥10,000 シロネニウム10個ください】
【¥2,000 2個ください】
【¥1,000 とりあえず1個】
「買いすぎいいいいい!」
【¥24,000 2ダースください】
【¥12,000 1ダース】
「ダース単位!?そもそも売ってないよ!はぁ、はぁ、はぁ……ツっツッコミがおいつかない……」
コメント:吐息がえろい
コメント:センシティブ!
コメント:えっちなのいけないと思います!(いいぞもっとやれ
「シロ友さんたち、適当言い過ぎでしょ……。そっそういえばさ、ぼっ僕のボイス……どうだった?」
初めて出したシチュエーションボイス。
喜んでくれるか不安だけど、精一杯がんばって収録した。拙い演技だったら申し訳ないけれど、あれが今の僕に出来る精一杯だ。
相手を思い浮かべるとやり易いわよって、お母さんからの助言を元に同期3人を思い浮かべて話した。その所為で3人の配信を聞くのがちょっと恥ずかしかったり……。
コメント:めっちゃ良かった
コメント:ツイートしたけどすごく良かった
コメント:なんで隣にシロネ居ないの?
「あはは、画面の向こうには行けないからねぇ。でも、好評なようでよかった……ふぅ…………良い物が出来たか、すごく不安だったんだからさ……」
コメント:めっちゃ声震えてるw
コメント:初めてとは思えなかったよ
世闇イズモ✓:その、とっても、良かったです!
コメント:イズモちゃんも買ったのかw
コメント:必ずいるイズモちゃん
コメント:イズモちゃんもよう観とる
世闇イズモ✓:モチのロンだよ!
「ミャアァァァァァァアアァァアァァ…………イっイズモも、買って聞いたのぉ…………」
本人に聞かれているとか恥ずかしすぎるんだけど!恥ずかしすぎるんだけどぉおお!
なんで同期が買ってるの……。
コメント:すごい恥ずかしがってて草
コメント:やっぱり同期に聞かれるのは恥ずかしいか
コメント:なんかそれだけじゃない気がする
「ミャッ!」
驚いて小さい悲鳴が上がった。
シロ友さんの中に鋭い人が居るよ……、あっ悲鳴、聞こえてないよね……?
【世闇イズモ¥10,000 悲鳴ってことはそれ以上に恥ずかしい理由が!!!!!
コメント:赤スパチャで強要ネキ
コメント:イズモちゃんwww
「ミ゛ャ゛ア゛!?なっなななんで赤スパチャ投げるのぉぉおおおお!」
ばっバレたし!
それも赤スパチャまで投げられて、これって言わないといけない流れなの!?
【すこすこ侍¥2,000 言って♡】
【やおやさん¥250 あくして】
【¥5,000 はよはよ】
【¥10,000】
【$100.00 hurry】
コメント:海外ニキも催促してて草
コメント:これは逃れられない
「あぅあっっあうああああ…………」
催促されて、収録の時の事を思い出し顔が赤くなってくるのが分かる。
もうダメ、耐えられない!
「こっこの放送はこっこここここまで!ばいミャアアアア!」
コメント:逃げた!
コメント:逃げたw
コメント:また逃げた!
【この放送は終了しました】
↺世闇イズモさんと音町アリアさんと花咲メメさんとその他がリツイート
シロネ悲鳴中毒者(驚いている猫の顔) @love_Shirone_scream 3時間前
今日の配信で語られなかったイズモちゃんに聞かれたら恥ずかしい理由
もしかして、あのセリフはイズモちゃんに向けてだった?
#振上観察記
@125 ↺1万 ♡1,5万
↺世闇イズモさんと音町アリアさんと花咲メメさんとその他がリツイート
シロ友有識者(驚いている猫の顔) @Shirotomo_Expert 2時間前
Replying to @love_Shirone_scream
可能性は高いですね!
しかし、シロネちゃんは同期と海ちゃんの推しと語っているので
もしかしたら、その全員に対しての可能性も!
#振上観察記
@55 ↺8,210 ♡1万
配信後、この様に憶測が飛び交いTwitterを賑わせていたが、ベッドで轟沈していた僕は知る由もなかった。
「それでは第51回2期生定例会を始めたいと思います」
チロ『いええええええええい!どんどんどん!』
フェン『いえーーーーい!』
ミルマール『いえーーーーーい!』
元気っ娘な
最後に私、
そしてみなさん、今日も元気なお返事ですね。
「議題は3期生と仲良くなろう、です」
今Vワールドは人気企業の一角ですが、少々話題性に乏しい所がありました。
しかし最近では一部のおかげで話題急上昇。
5月より仲間に加わった3期生達。彼女達のおかげで更に盛り上がっております。
フェン『一番の目的はシロネちゃんだけどね』
チロ『ナハハハ、そうだねーーーどうしたらあの
その盛り上がっている1番の立役者と言えば、
コミュ障クソザコメンタルで、悲鳴があざといぐらい可愛らしく、それでいてオタクで個人勢の九津々海と自分の同期を推していると、リスナーに近い存在。それでいて女の子が好きと、すごく個性が強いですね。
その彼女を中心として広がる
ゲスな話をすればその人気にあやかりたい。しかし、それだけでなく彼女自身がとても魅力的だから仲良くなりたい。そんな私達2期生の話し合いの場。
初めは先輩方とどうやって仲良くなろうから始まったこの会は、いつもは企画を打ち合わせたり、何気ない雑談だったり雑と楽しくおしゃべりするだけの時もありますが、今回のは最重要課題。
なにせ、同じVワールドでVTuberとして活動するもの同士ですからね。
ミルマール『確か、あの
「ミルマールさん、それはアウトです」
ホント、ミルマールさんは可愛い子には目がない人ですね。
基本的に良い方なのですが、近所の誘惑してくるお姉さん的存在と言いますか、冗談なのか本気なのか分かりにくいんですよね。
ミルマール『あら、結構いい案だと思ったのだけれど』
フェン『それなら、このあたしのナイスバディーで誘惑すればイチコロよ!』
「2Dだから無理ですし、ちっぱいなフェンさんだと無理ですよ」
どこに出しても恥ずかしくないちっぱい。むしろ出るところがあまりない、ですね。
フェン『なぁによーーーー!次の衣装ではバインバインにしてもらうんだから!』
チロ『まあまあ、わたしはフェンちゃんのちっぱいも大好きだよ』
フェン『そ、そう……ならいいわ……」
ミルマール『あらあら~♪』
「フェンさんがチロさんにデレデレなのは分かりましたから、話を続けましょう」
ほんとフェンさんはチョロいですね。そんな所が可愛らしいのですが。
フェン『だっっっだれがデレデレですって!チロがあたしにデレデレなのよ!』
「やはり一番現実的なのが、外堀から埋めて強制的にコラボに誘ってしまう事でしょうか」
将を射んとする者はまず馬を射よって言いますしね。
フェン『聞きなさいよぉぉおおお!』
ミルマール『一番早いのはマネージャーさんを通す方法かしら?』
チロ『強引過ぎない?嫌われないかな、大丈夫?』
「押しに弱いのは今までの配信で確認済みです。だから多少強引に行くぐらいじゃないと無理じゃないかと思われます」
ミルマール『まあ、推しの押しに弱いって感じだったけどねぇ』
「はい。シロネさんの私達に対する好感度による所が大きいですが、分の悪い賭けではないかと思います」
かかえ先輩がコラボを迫った時も、嫌悪などよりも緊張のようなものが見て取れましたし、結構好感度は高いのではないでしょうかね。
フェン『じゃあ、あの人にお願いするのね。えぇっと……』
「3期生マネージャーの津田さんですね」
フェン『そうそう津田さん!べっ別に忘れてたわけじゃないわよ。ちょっと最初の一文字が出てこなかっただけなんだから!』
「そういえば、今Twitterで#振上観察記がトレンド入りしているようですよ」
フェン『だから無視するんじゃないわよーーーー!』
チロ『みたみた!色んな事書かれてるけど、一番伸びてるのは同期を想ってセリフをしゃべっていたってヤツだよね』
ミルマール『ほんと、シロネちゃんはてぇてぇ製造機よねぇ~。私もシロネちゃんとてぇてぇしたいわ』
深夜遅くまで駄弁りながら、私達の定例会は進む。
――――――――――――――――――
『《振上シロネ/Vワールド》振り返りしながらスパチャ読み《雑談枠》』
視聴回数20,867 ↑550 ↓11
チャンネル名:振上シロネ-ShironeHuruue-
チャンネル登録者数5,9万
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