2月23日

 少年の日は世界のなにもかもが輝いて見えていた。河原の夏草、遠くの入道雲、田んぼの用水路、雪、影。


 特に、長い滑り台のある公園は、地域の子供にとってキラキラしたものの代表であった。誰かと遊ぶ約束をしなくても、そこに行けば知っている奴が数人は必ずいた。

 それが上級生であれ、下級生であれ、時に気に留めることは無かった。公園に来たやつは皆仲間、そんな雰囲気だった。


 何をして遊ぶかはその時々によって変わった。ボールを持ってきているやつがいたらサッカーをするし、何もなければ鬼ごっこをする。公園から出さえしなければどこへ逃げてもいい、遊具の上も可だ。


 俺が小学校に入った時から既に、そのルールで遊びが行われていた。そのまま俺は高学年と呼ばれる年齢になった。公園で遊ぶことは以前と比べてめっきり減ったが、それでもたまに行ったときはリーダー的役割を担うこととなった。公園では年功序列制を採用している。


 夏休みのある日、仲の良かった友達は習い事があり、遊び相手がいなかった俺は公園に行った。いつも通り、小中学年が五人くらいで遊んでいた。

 俺がそのうちの一人に声をかけようとしたとき、遊具の上で走っていた小学年の一人が足を滑らせ落ちた。

 俺はすぐに、近くを散歩していた老人を呼び止め、助けを求めた。


 その子は軽傷で済んだが、それ以来、遊具を用いた鬼ごっこは禁止された。俺たちの居場所が一つ、失われた気分だったのを覚えている。それでもやはり、公園は一番きらめいていた場所には変わりなかった。

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