僕は「ハレ晴レユカイ」を踊れない

 文化祭だったか、学園祭だったか、あるいは全然別の行事だったかもしれないが、ともかく、クラスでそれなりに交流のあった面々が、全校生徒の前でハレ晴レユカイを踊っていた。


 心の底から恥ずかしいと思った。


 これがハルヒの、アニメの物だと分かる人は何人居ただろう。分かる人はオタクだし、分からない人には「何か踊ってら」ぐらいのもので、そこまで気にすることでもなかったのかもしれない。しかし、当時の僕にとっては、オタクバレは死刑宣告と同様だった。発表までにもう少し時間があれば、誘うつもりだった、と言われ随分と肝を冷やしたものだ。


 あの時の面々とは、卒業以来会っていない。

 別に喧嘩別れをしたわけでもない。そういう風になった、としか。


 そして時々思う。

 あの時もし、時間があったなら。

 あの舞台にもし、自分も立っていたら。


 何かが変わっていたかもしれない。

 周りの目を気にすることなく、自分のしたいことをやっていたのかもしれないと。


 僕は未だにハレ晴レユカイを踊れない。

 ただ一度のチャンスだったようだ。

 年齢を重ねるたびに重くのしかかっている。


 今、一人で踊って、何か変わるだろうか。

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