第46話会合



「大丈夫ですか!!」


「君は誰だ!」


「Sランクハンターを名乗る事になった荒鐘真です!支援します!」


「いや……その必要はない」


オッサンハンターが呟くと

金属ゴーレムを囲っていたハンター達からかなりの魔力が感じとれた。


「うわっ凄い魔力」


1人のハンターが一本の矢に魔力を込めて放った。

込められた魔力はBランクやAランクのモンスターの体を楽々貫通させるぐらいはある。

しかし音速に迫る速さで放たれた矢は貫通する事なくモンスターの脚に突き刺さる。


「【エクスプロージョン】!!」


魔法の名前を叫ぶと刺さった矢が光り輝き爆発をする。

【エクスプロージョン】によって脚を失った金属ゴーレムは体勢を崩し手を地面についてしまう。


「畳み掛けろ!!」


真の隣にいたオッサンハンターが叫ぶ他のハンターも攻撃を仕掛けていく。

片方の足も奪う事で完全に行動を制限する。

そして万が一を起こさないために両腕を奪うと1人のハンターが飛び上がり金属ゴーレムの頭と同じ位置に行くとそこそこの魔力を拳に込めて殴る。


金属ゴーレムは断末魔を上げる事なく目の色彩を失い影が体から出ていく。

全てが終わったあとにはドロップアイテムが落ちているだけだった。

若い4人のハンターがドロップアイテムを拾い終えると真達の元へ来る


「盾峰たてみねさん横の人って……」


「最近Sランクハンターになった………(ごめん名前なんだっけ?)」


真の名前をまだ覚えていなかったのか耳元で聞いてくる。

もう一度しっかり伝えると真の名前が4人のハンターに伝わった。


「へぇ〜、お前がハンターしてからほんの少しの期間でSランクになったって荒鐘?ふ〜〜ん」


1人の青年がもの凄く不機嫌そうに真の周りをジロジロと睨みながは歩く。


「なんですか?」


「いや?Sランクには見えないなってさ。テレビで見た後ろの騎士様におんぶに抱っこ説がやっぱり有力か」


真を嘲笑するように言うと我慢が出来なかったのかデルガ青年ハンターの首を思い切り掴み持ち上げる。

そしてアグリードは音も無く青年ハンターの胸に剣を添える。


「「デルガ(早馬はやば)!!」」


真と盾峰の声が重なる。

首を掴んだ手に力を入れようとしていたデルガと短剣でデルガの首に突きを放とうとした早馬の動きが止まる。


「デルガ…手を離せ」


「武器を下ろせ馬鹿者」


2人は渋々ながら声の主に従い行動する。

早馬は掴まれた首をさすると真に対して親の仇のような目で睨む。


「盾峰…さん。デルガがお宅のハンターを傷つけてしまいすいませんでした!」


「あ、主!!」


すぐさま頭を下げ謝った真を見てデルガは狼狽る。

早馬の2人を見て嘲笑ったが次の瞬間に盾峰に思い切り殴られる。


「た、盾峰さん!!なにするんですか!!」


「お前がこの坊主を侮辱したのが原因であろう!!なのに何故自身が被害者かのように振る舞う?!恥を知れ!!」


もう一度早馬の頬を殴る。

それを見て今度は真が狼狽る。


「やめて下さい!ウチのデルガも首を掴んでしまいましたし……」


「いや、今回のは早馬が悪い!早馬!頭を下げろ!」


盾峰は早馬の頭を掴み無理矢理下げさせる。

流石にここで抵抗するとヤバいと思ったのは素直を頭を下げた。


「まだSランクハンターとして目立つ実績が無いので信用が出来ないのも当たり前です。これから頑張るのでそこから俺を認めて下さい」


自身に対しての苦笑を溢しながら真は早馬に手を差し出す。

早馬は真の手を乱暴に握ると顔を近づける。


「今度俺と戦え。そうしたら認めてやるよ」


「いいよ。俺も………久しぶりにハンターと対人戦をやりたかったから」


ここ暫くハンターとは一切戦っていない事を思い出し久しぶりにハンターと戦える事が決まり高揚感を覚える。


「取り敢えずモンスターを処理したことハンター協会に報告しよう。そこで個人的に話したい事もある」


探るような目で盾峰は真を見つめる。


「分かりました、では今からいきましょう手短にお願いしますね?妹のご飯に遅れたくないんです」


「妹……?」


「ご飯?」


「………シスコン?」


早馬以外のハンターが真の早口に次々ツッコミを入れる。

顔が赤くなる事を自覚すると早歩きをしてハンター協会に向かう。


「俺の存在感ゼロでは?」


全員に置いていかれた獅堂は悲しみを背負い呟くと慌てて追いかける。








ハンター協会 会議室


古豪会長含め3つのギルドのギルド長と副ギルド長そして真とデルガ、アグリード。

あとオマケの獅堂が一同会している。


(なんで日本有数のギルドのギルド長と副ギルド長がいる空間にまだFランクのハンターライセンスしか持っていない俺がいるん?!?!)


あまりの緊張に現在進行形で獅堂のお腹は祭り囃子となっている。

このままではいつ決壊してもおかしくはなかった。

そんな獅堂の胸中も会議室にいる人達に届く事はない。


「荒鐘君、今日は無理矢理呼び止めて悪かった。妹さんに済まない事をしたと変わりに謝罪しておいてくれないか?」


「しっかりと事情を説明したので大丈夫です…………タブン」


「なるべく早く話を終わらせる。知っての通り皆!ここにいる。荒鐘君はつい最近Sランクハンターとなった!それと同時に荒鐘君からとても重要な話が君達に行き届いたのは……知っているね?」


ギルド長達が一切に頷く。


「荒鐘君はあ・の・悪魔族の2人と契約していて、しかもその2人が前回起きたダンジョンで敵対する悪魔族と交戦した事により得た情報。

一部悪魔族の地球への侵攻だ」


「古豪会長信じて貰えるか分かりませんが他の国とも情報を共有して下さい」


「無論だ。そして日本のハンターを牽引する君達にギルド員のレベルの底上げをして欲しい。正直小さいギルドに言うと口が割れるかも知れん。怪しまれないように野良のハンターも誘ってレベリングをしてくれ」


古豪会長がスラスラと話しているとデルガが口を挟む。


「正直お前達のレベルでは下級貴族の悪魔でさえ勝てるか怪しい。1年の間に最低限レベルを30上げろ。そうすれば何とか勝てるはずだ」


デルガが要求するレベルは日本トップレベルの人達でさえ顔を青くするものだった。





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