第237話 斎藤義龍2

「がはは、もう闘って良いよな?」

新免無二が義龍に向かっていく。

上泉信綱も刀を抜いて義龍に走る。


「あいつが、竹腰尚光か魅了されてるね。アタイが時間を稼ぐわ」

帰蝶が走り竹腰尚光と向かい合い、竹腰尚光の攻撃を躱し、パンチやキックを当てる。


「魅了!」

岸信周が呟く。


「玄以!」

俺が呼ぶ前に前田玄以は前に出て、手で印を結び真言を唱えていた。


「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン・ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン・ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン・ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン………」


竹腰尚光が頭を抱えだしたので、帰蝶は飛び退き様子を見る。


竹腰尚光が両手をついて呼吸を乱す。


「はぁ、はぁ、はぁ、かはっ! くっ! うぅ………」

竹腰尚光は顔を上げると黒目に戻っていた。


「うぅ、すまん。操られていた」

竹腰尚光は俺達を見る。


「仕方ないでしょう。下がっててください」

俺と帰蝶は前に進む。


「ちっ、魅了を解きやがったか」

義龍は恐竜の様な尻尾を生やすと、素早く回転した。


無二は飛び上がり尻尾を躱し、信綱は身体を浮かし刀の峰で尻尾を受けた。


信綱は尻尾に弾き飛ばされるが、身体を浮かしていたのでダメージはない。


「みんな俺から離れて行く。俺を裏切りやがってええええ! 岸! お前はどうする?」

義龍は岸信周を見詰めた。


「信房、桂、奴の目を見るな!」

岸信周は安藤守就が「魅了されていた。~目を見た一瞬でな」と言ったのを思い出し、目を逸らせて叫んだ。


「ちっ、引っ掛かからぬえか。誰かに聞いたな。………みんな死んじまええええ」

義龍は飛び上がり叫ぶと義龍の足元に、禍々しい影が出来て、影の中からゴブリンがうじゃうじゃと這い出してきた。


「ギャハハハハハハ! イケー」

宙に浮く義龍の声が甲高い声に変わった。


岸信周と信房が抜刀し、桂も薙刀を構えた。


「信長様、コイツらは儂らに任せて、義龍を倒してください!」

前田利春が槍でゴブリンを払う。


「この部屋から出さんぞ」

平手政秀も抜刀し扉を背にして構える。


「魅了の効果を封じます!」

前田玄以はそう言って印を結び、より強力な真言を唱えた。

「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン・ノウマク・サンマンダ・バザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン………」


「そうこなくっちゃ。目を見ないのは戦い難かったぜ。がはは」

「全くだな」

新免無二と上泉信綱のスピードが上がって、影から出てくるゴブリンを倒しながら、義龍が降りてくるのを待つ。


え! 無二と信綱は義龍の目を見ないで戦ってたの? ビックリなんだけど。


「玄以は儂が守る。思う存分戦え!」

斎藤道三が前田玄以の前に立ちゴブリンの首を刎ねた。


「俺も手伝います。信周! どうする? まだ義龍に従うのか?」

竹腰尚光は前田玄以の横に立ち、ゴブリンを蹴り飛ばして岸信周に問う。


「俺はいつでも斎藤家の家臣だ。アイツは義龍様じゃねえ! 道三様が斎藤家の家督継承を信長に望むなら、………信長様・・・に従う! 信房、桂、行くぞ!!」

「「はい」」

岸信周と信房、桂は道三の前に出てゴブリンと戦う。


「さて、纏まったみたいだし弟達の敵討ちに行くわよ」

帰蝶が言うと。


(乗れ!)

ニルが俺と帰蝶の前に来た。


(有り難う)

俺と帰蝶はニルに乗り宙に浮く義龍に向かった。


「ちっ、狡いぞ。俺もスレイプニルに乗る。ニル頼むぞ! 呼んでくれ。がはは」


(仕方ないな)

ニルは無二がいつも乗っている息子を念話で呼んだ。


「儂はコイツらを倒す」

上泉信綱はゴブリンが出てくる影の前に立ち、這い出してくるゴブリンを撫で斬りにする。

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