第220話 勘合貿易
勘合貿易船が帰って来た。船を3隻から10隻に増やしたので、前回より大量の
勿論明の商人や東南アジアの商人達と売買して、大量の仕入れもしてきたので、伊藤屋・生駒家・加藤家でこれから売り捌く。
明は
まあ、今は形式より実利だ。朝貢は明が権威を保つ為、貢物より返礼品の方が多い。つまり儲かる。いずれは明まで攻め込もうと思っているが、今はまだ皆には内緒だ。
伊藤屋惣十郎・加藤順盛・生駒家長らが舟を出迎えて忙しくしているのを見ていたら、勘合貿易船と一緒にあいつらも帰って来た。
そう、元倭寇の問題児達。
ん? また増えてるぞ。
俺と帰蝶、鶴姫と許兄弟が見守る中、鐘捲自斎を先頭に、元豪族達と一緒に降りて来た見知らぬ4人。
許一が許二達と何やら母国語で話しているのを横目に、鐘捲自斎が俺の前に来た。
「無事航海を終えて戻りました」
「自斎、ご苦労。また増えたようだな」
「あはは、挨拶させます。お~い、辛五郎、陳東、葉麻、謝和ちょっと此方に来い!」
鐘捲自斎が新入りの4人を呼んだ。
挨拶された4人は下記の通りだ。
「初めて御目にかかります。辛五郎と申します。宜しくお願い致します」
なんと、大隅国出身の日本人。徐海の副官だったらしい。徐海と袂を分かち行動していたところを明の官軍に捕らえられた。それを助けて来た。
「陳東ダー」
倭寇を代表する首領の一人。葉麻と組んで徐海を首領とする大倭寇集団に参加。徐海と袂を分かち葉麻と共に行動していた。
「葉麻、ダー」
倭寇を代表する首領の一人。陳東と組んで徐海を首領とする大倭寇集団に参加。徐海と袂を分かち陳東と共に行動していた。
「祝婦ナノー」
葉麻の愛人。葉麻が都市を襲って捕虜にした人達の中で、その美貌に惚れて愛人にした。
「ええ面構えとるなぁ」
鶴姫が4人を見てると。
「「アネサン!」」
「アネサン?」
祝婦が鶴姫を見る。
徐海と葉麻が不審な顔で鶴姫達を見る。
「お前らはごじゃにこの子達を手込めにしたのなあ」
鶴姫は徐海と葉麻を睨む。
辛五郎が徐海と葉麻に鶴姫の言葉を通訳すると、葉麻が鶴姫に飛び掛かって来た。
「煩エー」
「ア、チョット待──」
徐海が止めようとしたが。
鶴姫が不敵な笑みを浮かべ身構えたが、それより先に側で聞いていた帰蝶が飛び出した。
帰蝶の飛び蹴りが葉麻の胸にヒットして、葉麻が蹴り飛ばされた。
「ツルちゃんは妊娠中だから、アタイに任せな! 女性の敵は許さないんだからぁ!」
構える帰蝶に再び飛び掛かるが、帰蝶が躱してパンチを当てた後、投げ飛ばした。
「ウオオオオオオオ!!」
葉麻が柳葉刀を抜いて、メカジキの吻と柳葉刀を使って帰蝶を襲う。帰蝶はその攻撃を
「グフッ………、ウェエエエエ」
腹を押さえて屈んで吐き出す葉麻。
「そこまでだ! これ以上やるなら死んで貰うぜ」
鐘捲自斎が刀を抜いて帰蝶の前に進んだ。
俺は戻って来た帰蝶を抱き締めてよしよしした。
結局人魚達は当分の間、産休の鶴姫預りとなって養徳院と一緒に小牧山城の奥で暮らす事にした。
ん? 奥………、大奥! そんなもんは小牧山城にないけどね。俺の妻達はみんな表に出っ放しだからね。
俺の小さい弟や妹、子供達の養育スペースって感じだ。養徳院が仕切っている。
ところで話は変わるが、
大内義隆に替わって北九州を支配した大友義鎮が弟の大内義長と共に貿易再開を求める使者を派遣したが、明側は義長を偽物と看做してこれを拒絶した。俺達が本物だからね。うっしっし、これで勘合貿易の利益は独り占めだ。
因みに今回は悪魔祓いの経は見つからなかったらしい。前田玄以が仲間になったからいいか。
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