第215話 織田信長24歳1

いくさやらなにやら色々な事があって、俺は24歳になっていた。


(23歳にはいつなったの? と言うツッコミはあると思いますが、「ちっちゃいことは~気にすんな!それ、ワカチコワカチコ~」)


小牧山城も完成し清洲城から引っ越しは終わって、俺と家族・相談役・軍師・大将・文官・小姓・近臣・剣豪・忍者・元倭寇・愛馬・兄弟達も一緒に小牧山城に移った。


勿論、育ての母の養徳院も一緒だ。


実は、吉乃が出産し信忠が産まれている。

信行の子信澄を抱っこしている養徳院と一緒に、信忠を抱っこしている吉乃がいる。


帰蝶とゆず、お市とお犬がその周りでワイワイ騒いで、可愛いがっている。


実際可愛いので仕方ない。


俺も抱っこしたり、頬をツンツンしたりして可愛がっているのだ。


と、嬉しい事があれば悲しい事もあって、家督を嫡男の家長に譲り、隠居していた生駒家宗が亡くなった。


隠居はしていたが、商売の方はよほど好きだったのか、憧れだった勘合貿易を仕切り巨万の富を蓄えたのに、店に顔を出してあれこれ手伝っていたらしい。


店で急に倒れたと知らせを聞いて、ゆずを連れて現場に急行したが間に合わず。


脳溢血とか心臓麻痺とかだったのだろうが、この世界ではAEDはないし、倒れた時の救急措置も確立していないので、店の人達は慌てふためき家宗を寝かせるのが精一杯の措置だった。


俺も急に倒れられたらわたわたするだろうから仕方がない事なんだろう。


俺とゆず達が駆け付けた時は既に息を引き取っていた。


家宗は、俺が父から出仕停止の処分を受けて、周囲から「大うつけ者」と呼ばれていたのにも関わらず、俺を評価し与力になってくれた。そして、吉乃も側室にして貰った上に、俺のスポンサーの一人となり、快く金銭面の援助をしてくれて、それにと止まらずいくさも協力してくれた。


いつもニコニコしていて、俺の無茶なお願いも快く受けてくれた。大恩ある人だったので物凄く悲しいお別れとなった。


家宗は吉乃の父でもあり信忠の祖父でもあるので、亡くなる前に孫の顔を見せてあげられたのは良かったと思う。


家宗の葬式で、家督を継いだ家長からは、

「父は『信長様と出会って大変幸せだった』と常日頃から行っておりました」


と言われて、更に、

「父は『自分一人では到底なし得ない大豪商に成れたのも、全て信長様のお蔭、生駒家は信長様の大望の実現に向けて誠心誠意尽くすのですよ』とも言っておりました。その気持ちは私も同じ、吉乃が信長様の側室になり子も産まれました。生駒家は信長様の親族としていつでも共にあります」

と泣きながら手を握られた。


その言葉に俺も泣きながら頷き、家長の手を握り返した。そして一緒にいた吉乃も信忠を抱っこしながら泣いていた。


「アタイも家宗さんにはお世話になったよぉ、家長さん、家宗さんの思いも一緒に頑張ろうねぇ」

と帰蝶が泣けば。


「僕も思いは一緒さ。共に信長様の大望の為頑張ろうね」

とゆずも泣き。


「オタイは付き合いは短いけど、吉乃にはえらいお世話になっとるのやわ。オタイも吉乃の父さんが亡くなるなんて悲しいで」

と言って貰い泣きしていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る