第181話 VS岩倉織田家4
岩倉城前に近臣、蜂須賀党、蟲王達が到着した。
直子とアラクネ達は清洲城に留守番だ。最終防衛を任せているのもあるが、信正の育児もあるので出撃はしない。
やんちゃな信正が初めての清洲城が珍しく、あちらこちらを探索しているのを、追い掛けるので忙しいみたいだ。
「連れて来たデス」
「ぐふっ、俺をどうするつもりだ」
「全員揃いましたね」
木下藤吉郎は山内盛豊を無視して確認する。
「全員揃ったぜ。俺達が最後に確認しながら来たので間違いねぇ」
蜂須賀党の首領蜂須賀小六が答えた。
蜂須賀小六はドワーフとカワウソの獣人のハーフで、技術屋集団兼野盗である蜂須賀党の首領。藤吉郎は一時期蜂須賀党の傘下に居た事があって、頼んで与力なって貰った。
蜂須賀小六にとっても、これから大きくなりそうな織田家の傘下に入る事はメリットが大きいので否はない。
「取り敢えず小六、岩倉城に開門の要求をしてきてくれ」
「はいよ」
蜂須賀小六は気軽に返事して、岩倉城の前に行く。
「開門して、降服しろおおおおおおおお! 岩倉織田の兵士は蹴散らしたぞ。今降参するなら命までは取らねえでやる。家老の山内盛豊も返してやる」
蜂須賀小六は大声で叫ぶ。
暫く返事がなく、静かに門は閉じたままだ。
「返事がねえなら、総攻撃を開始するぞ! 十を数えるまで待ってやる。それまでに返事をしろ! 10、………9、………8、………7、………6、………5、………4、………3、………2、………──」
「ちょっと待ってくれえええええええ!」
城門の上に織田信賢が現れた。
「どうする? 降参か? 戦うか?」
蜂須賀小六が尋ねる。
「俺は戦って欲しいぞ。がはは」
小六の横で暢気な新免無二。
「お、俺は攻撃される覚えはない。お、尾張上四郡の守護代である岩倉織田家に理由もなく攻撃するのかぁ?」
織田信賢は怯えながら叫んだ。
どうやら、清洲城を攻撃しに行った兵士の何人かが戻って状況を報告したらしい。
1000人の兵を集めてグリフォンも派遣し、万全の体制を整えて信長の留守を狙ったはずなのに、結果はグリフォンは殺されて、軍は壊滅し敗走。
ビビるのも仕方ない。
「自分から攻撃しておいて、その言い草か? 分かった降参しないと言う事だな」
蜂須賀小六は背中を向けて藤吉郎の元に戻ろうとする。
「待て待て! 清洲城を攻撃したのは山内盛豊の独断だ! 俺は関係ない!」
信賢の声を無視して小六は藤吉郎の元に戻った。
「攻撃だな。あぁ、情けねえ守護代様だ」
小六が藤吉郎に言う。
「山内盛豊殿、信賢はあんな事言ってますが、どう思いますか? 信賢の命令じゃあないと1000人も集められないでしょうに、信賢の命令なのは明らかです」
「くぅ、情けない………」
山内盛豊は悔し涙を浮かべる。
「盛豊殿、あなたが優秀で忠義を尽くして来た御仁なのは承知している。信長様の家臣になるなら先程の事は水に流しますよ」
「あぁ、有難う。今まで忠義を尽くして仕えて来た結果があの言葉では納得が出来ない。宜しかったらぜひ、信長様の家臣の末席に加えていただきたい」
という訳で、黒田城主・山内盛豊46歳が家臣に加わり、岩倉城は木下藤吉郎によって攻略された。
因みに山内盛豊はタヌキの獣人で、息子の一豊11歳は史実では豊臣秀吉、徳川家康に仕えて土佐藩主なった優秀な人材だ。弟の康豊7歳も優秀らしい。
織田信賢がグダグダ言ってるところに、城門を大砲で撃って壊し突撃して終わった。
岩倉城には100人も兵士は残っていなかったので、剣豪達だけでも充分だった。
城門と一緒に吹き飛ばされた信賢は奇跡的に一命を取り留めて逃げた。
これで信長は尾張も統一し、三河国と尾張国、2国の領主となった。
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