第167話 三河国攻略3
「お静かに願います!」
真田幸隆の声が再度会議室に響き、豪族達は静まり山本勘助を食い入る様に見て、次の言葉を待つ。
「此度の戦は4つの軍に分けます」
「4つの軍!!!」
「おいおい、4つに分けるって大丈夫かよ」
「大軍で一ヶ所を攻撃した方が良いに決まってるよな」
「あの山本勘助って奴に任せて大丈夫か」
山本勘助の説明にまたざわめく豪族達。
「黙って続きを聞け!」
腕を組んで目を瞑り、説明を聞いていた前田長定の声に、また静まる会議室。
「先ず長島、服部党攻略の大将は三好政長殿、便宜的にこの軍を『服部党攻略軍』と呼びます」
三好政長を見る山本勘助。
「三好政長!」
「あの三好政長かい!」
「本物なのか」
「マジか」
「何でここにいるんだ?」
「誰だ三好政長って?」
「強ぇのか?」
前田長定を盗み見ながら、とひそひそと小声で話す豪族達。
「三好政長殿をご存知の方もいる様だが、一応紹介すると、………室町幕府34代
「「「「「おおおおお!」」」」
「すげぇ」
「マジかよぉ!」
「幕府を作った武将だぜ」
「次に西三河の南西部である
「次に西三河の北西部である加茂郡から攻める軍の大将は織田信光殿、この軍は『西三河北攻略軍』と呼びます」
「最後に東三河の沿岸部の渥美郡、
それぞれの大将と略歴を山本勘助が紹介し、伊達稙宗・織田信光・内藤興盛が簡単な挨拶を行った。
伊達稙宗と内藤興盛の紹介では三好政長の時と同様に、驚きと興奮で会場が
その後、各軍に配置する城主・豪族達を山本勘助が発表し、この場での評議は終わり、各軍毎に別れて質疑応答とミーティングを行い解散の予定だ。
それぞれの軍に割り当てた会議室に行く為、会場から出ていく豪族達を見送る俺と帰蝶、そしていつものメンバー達。
この場では発表しなかったが、実は隠れた5軍目がありに三河の
それは俺と帰蝶、山本勘助、真田幸隆、大将達だけの秘密としている。
「いよいよ、三河攻略ね」
帰蝶が俺の手を握り締める。
「そうだな。勘助の計略と幸隆の調略の成果を早く見たい物だ」
俺は勘助と幸隆を見る。
「もう少し早く動ければ、もう少し楽になったんですけどね」
勘助が帰蝶盗み見る。
「私だってあんな事になるなんて思ってなかったわよ」
帰蝶が勘助の視線を感じて答えた。
「いや、実行が遅れたのは俺の未熟さだ。誰も分かんないよ、……美濃の斎藤利政が息子の義龍に家督を奪われて隠居するなんてな」
そう、本来は美濃の応援も計略に組み込まれていた。しかし斎藤利政が息子の義龍に家督を奪われて隠居してしまった今、美濃の応援は見込めない。
因みに斎藤利政は隠居して遂に「斎藤道三」に名前を変えました。
むしろ美濃は敵に回る可能性すらある。美濃が敵に回ると計略は全て白紙戻す事になる。
従って、義龍の家督継承に伴うゴタゴタが片付く前に、計略を早めて微調整し、三河を手中に入れる事にした。ちょっと綱渡り的なところはあるが、まあ行けるだろう。
因みに、尾張上四郡を統治する岩倉織田家が攻めて来る事も計画に入っている。攻めて来たら尾張も統一しちゃうのだ。
今こちらから岩倉織田家を攻撃すると反発する豪族もいるし、下手すると美濃とも戦う事になっちゃうからね。兼ね合いが難しい。その辺りは山本勘助にお任せで丸投げだ。
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