第128話 VS清洲織田家1

「清洲織田家の坂井大膳が不穏な動きをしているのじゃ」

饗談が現れた。


清洲織田家の織田信友は、織田信長の主家にあたり尾張の下四郡の守護代だ。


父信秀の代も同様だったが、父信秀は勢力を背景に尾張全土を意のままにしていた。


父信秀が死に俺に恭順を示した城主や地方の豪族もいたが、挨拶にも来ない者達も多かった。


尾張下四郡では恐らく清洲織田家に寝返ったのであろう。


それで勢い付いた清洲織田家がいよいよ牙を剥こうとしているのだ。


清洲織田家の守護代織田信友は、尾張全土の守護である斯波義統しばよしむねを清洲城に置いて傀儡としていた。


しかし、織田信友もまた家老である坂井大膳・坂井甚介・河尻与一・織田三位らに実権を握られて傀儡となっていた。


「ほほう、どんな?」

俺は饗談に尋ねる。


「どうも兵を集めて深田城と松葉城を襲おうとしているのじゃ」


「ふむ、そうか。有難う」


深田城主は織田信次叔父、松葉城主は織田伊賀守だな。俺の支配下にある城だ。


織田信次叔父と言ったら信光叔父の弟で仲が良かったはず、信光叔父も呼んで評議を行うか。


石川五右衛門に転移で信光叔父を連れて来て貰い評議を行う。


集まったのはいつものメンバーである俺と帰蝶と……。


「信長様、新しい側室の鶴姫ちゃんは見た目によらずに可愛い言葉を喋るのねぇ」

養徳院。


それに沢彦宗恩たくげんそうおん快川紹喜かいせんじょうき、山本勘助、海野棟綱うんのむねつな、真田幸隆の8人に加えて。


伊達稙宗たねむね小梁川宗朝こやながわむねとも、三好政長、相良武任さがらたけとう、内藤興盛おきもりにも参加して貰った。


また各与力達の嫡男である平手久秀、生駒家長、前田利久、佐々政次、加藤弥三郎?も連絡要員として参加する。


加藤家も与力か? 弥三郎がどうしてもと言うので参加させたが、名前から嫡男じゃないよね。


加藤家は父信秀の経済的基盤であったの港町である熱田の有力者だからなぁ。俺も家督を相続して恩恵を受けている。


後は、小姓達もいるけど、カウントしなくてもまあいいか。壁際に立って用事を言いつけられるのを待っている。


そこに織田信光叔父が加わる。


そして呼んでもいないのに参加している鶴姫と織田秀敏大叔父。


「信長様はオタイが守るで」

鶴姫は俺の後ろに立つ。


「信長、評議には儂も加えろ! 棟綱や宗朝がいるのに俺を呼ばないのはおかしいだろ」

海野棟綱・小梁川宗朝と仲が良い秀敏大叔父だ。


みんなに饗談からの情報を伝えた。


「で、何かあるか?」

と俺は尋ねると珍しく真田幸隆が手をあげた。


「清洲織田家には幾つか仕込んでいる調略がありますので、その調略を早めます」


「お、良いね。どんな調略?」


「この場で話して良いのですか? いや皆さんを疑ってる訳ではないのですが、何処から漏れるか分かりませんので………」


「ん? まあ、良いんじゃねえか。裏切らねえだろうし、ここで聞いた話はみんな外で一切話さねえよ、な!」


「な!」に威圧を込めた。高レベルだからね。本気で威圧したら俺から強風が吹き出した様になり室内に緊張と恐怖が満ちる。


「ちょっとやり過ぎだってば、レベル上げてないおじさん達が怯えてるってぇ」


帰蝶は俺とずっと一緒にいるからレベルが上がってて平気らしい。


秀敏大叔父がすっかりびびってるのは面白かったけど、鶴姫が後ろから俺の首に抱き付いてキスしてきたのは参った。折角威圧したのに台無しだよ。


「カッコええ。素敵やわ。もうたまりゃせんで」


鶴姫、服の上から乳首を擦るのは止めてくれええええええ。


威厳がああああああ………。

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