第119話 天狗5
大天狗の部屋にて。
扉を勢い良く開けて小天狗が入って来た。
「だ、だ、だ、大天狗様ああああ!」
「なんだ、落ち着け、なにか分かったか」
「分かりましたぁああ。尾張の織田家が攻めて来ましたああああ。調査に出た小天狗達は全滅ですぅうううう」
「何ぃ! 何でいきなり攻めて来たんだ」
「ど、どうやらユニコーンを探しに来た織田家の女を、哨戒要員の烏天狗が名前を聞いたのに攻撃した様で、織田家の名前を出したのにそれを承知で攻撃した事で、織田家への宣戦布告と受け取ったそうですよー」
「はぁ! その烏天狗はどこにいる」
「織田家に殺されましたあああああ!」
「くっ、詫びて事はおさまりそうか?」
「全面降伏以外は認めないそうですよー」
「全面降伏!!! 人間ごときが大きく出やがってぇ! 残ってる戦力は?」
「ここに残ってる小天狗10人ですよー」
「くっ、それしか残ってないのか。俺が出る! 全員で行くぞ。」
「え! は、はい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺は最後尾でゆずや吉乃達と戦況を見ている。
すると、大天狗と小天狗達が転移で俺達の前に出現した。
「貴様が織田──」
「撃て!!!」
「貴様が」で始まる挨拶は全面降伏では、あり得ないからねぇ。
ゆずと吉乃、杉谷善住坊、滝川一益は一斉に鉄砲を撃った。
大天狗の眉間に2発、心臓に2発の銃弾が撃ち込まれた。
落下する大天狗。
そして五右衛門が大天狗の亡骸を収納した。
「で、全面降伏するのかな?」
小天狗達は両手をあげて、こくこくと頷き全面降伏に応じた。
「んじゃ、一益、その旨みんなに伝えてくれ」
「大天狗を討ち取ったぞおおおおお!我が軍の勝利だああああああ!引き上げろおおおおおおお!」
一益の叫びが戦場に響き渡る。
俺は蟲達を送還した。
蟲達も無傷では無かった。狗賓や烏天狗に殺された者も多い、しかし生き残って敵を倒した蟲達はレベルアップしていた。
特に、『蟲の洞窟』の地下21階の守護を任せていた蟲達は、縦横無尽に暴れ回り無傷で生還し、更に進化していた。
俺達は小天狗達に案内されて「天狗の住まう寺」に入って行く。
寺にあった財宝や貴重な文化財を戦利品として、佐助と五右衛門、果心居士が根刮ぎ収納していく。
「ユニコーンはどこだ!」
「この奥だよー」
小天狗達に案内されて寺の敷地に更に奥の森に入っていった。
そこにユニコーンが一匹神々しく佇む。
ユニコーンは見た目とは裏腹にとても獰猛な生き物だ。俺達を見ると角を振り
吉乃が両手を広げて敵意が無い事を示し、微笑みながら前に進んだ。
俺はユニコーンが吉乃を突き刺そうと、一歩でも前に出たらテイムしてやるつもりで身構える。
初めからテイムしても良いんだけど、ニルの様にテイムが難しい場合もあるからね。
吉乃はユニコーンに触れて無事に首を撫でる事が出来た。ユニコーンは猛々しさが消えて落ち着き優しい目で吉乃を見ていた。
「信長様、テイムしても大丈夫ですよ。とても良い子です」
吉乃がそう言うので、俺はユニコーンをテイムした。
すんなりテイム出来た。ユニコーンの角をゆずが少し削り、寺の中でヒドラの毒の解毒薬を調合した。それは白い粉の薬だ。それを革の袋入れて持ち帰る。
一晩中戦い続けてちょっと眠いが、善は急げだ。俺の家臣達と小天狗とユニコーンは那古野城に転移させる事にして、俺と帰蝶はオヤジのいる末森城に転移した。
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