第89話 佐々成宗3
成宗は恐る恐るニルを避けて、遠回りして俺の方にやって来た。
「信長様、24騎で今川2000を倒したって本当だったんじゃ無いですか」
「いや、大嘘だって」
「これだけの戦力があれば出来るな……」
なんて話をしていたら新免無二隊も帰って来た。
無二は成宗を見つけて。
「お、生きの良いジジイがいるじゃねえか! 俺と真剣勝負しねえか? 生き死にの
無二は相変わらずだ。
「いやいやいや、戦場以外で死にたくねえ」
成宗は断る。案外ビビりか?
無二は存在自体が抜き身の怖さを醸し出してるからねぇ。愛洲小七郎や富田勢源はちゃんと鞘に殺気を納めてるイメージだ。真剣を持って向き合うと怖いけどね。
そこに酒を持った杉谷善住坊も現れる。
「おおい、昌豊。訓練は終わったか? 呑むぜ、訓練の後の一杯はうめえぞ」
内藤昌豊は善住坊に応える。
「おう、今日は狩りだからもう呑めるな」
「ん? 良い匂いがしてるじゃねえか」
成宗は立ち直りが早いな。
「お! じいさんは行ける口かい。まあ飲みなよ。うめえぞ」
と善住坊が酒を成宗に勧める。
「なんじゃこりゃ! うめえええええ!」
旨いはずだよ。最近やっと完成した、まだ市販してない迷宮産米焼酎だ。
「おい、政次! 俺は隠居してここで暮らすぜ。城主は任せた!」
成宗はとんでもない事を言い出した。
結局、成宗は酒を土産に持たせて
ああ、うるせえジジイだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
数日後、利久が俺のところに来た。
「信長様、最近根来衆から要求される食料の量が、極端に増えてると食堂の係から報告を受けたのですが、何か理由がありますか?」
「ん? 知らんな。ちょっと行ってみよう」
「ご同行致します」
と言う事で、利久と一緒に根来衆達が住む三の丸にやって来た。
相変わらず、根来衆と加藤清忠、杉谷善住坊と山本勘助、内藤昌豊達が酒盛りをしていた。
その中で一際大きい男が大声で酒を呑んでる姿が見えた。
「ぐあっはっは、良いね良いね。やっぱり旨いわ、この酒最高だぜ」
津田監物!!!
根来衆の頭領の津田監物がいた。
3mのサイクロプスだ。
「おい、津田のオヤジ。何でここにいる!」
「お、信長! こんな旨い酒があったら来るだろう。いつから販売する? いくらでも買うぜ」
「その内、販売するよ。お前のとこでも酒を造ってるだろ?」
「この酒には敵わねえ。それにあいつら根来衆の癖に製法を教えねえんだ」
「そりゃ普通秘密にさせるだろう」
直子と蟲達に脅させたからな。
「この強力な酒精と酒が出来上がる時期じゃねえのに大量の酒を作れる秘密は是非知りてえ、金はいくらでも出すから教えてくれねえか?」
「ダメダメ、駄目に決まってんだろ」
「ちっ、駄目か。すげえ新型鉄砲もダメだったしなぁ」
「あ″ぁ! 鉄砲の製法も盗もうとしたのか?」
「そりゃあんな性能の良い鉄砲がありゃ、製法を盗もうとすんのは普通だろうよ」
「ちっ、油断も隙もあったもんじねえな」
「鉄砲も無理だったよ。ゆずがいねえと作れねえし、ゆずは誘いに乗らねえし、数を管理していて横流し出来ねえし……」
「おいおい。ゆずを籠絡しようとしやがったのか、本当に油断も隙も……」
「ははは、もうお手上げだよ。あの鉄砲がありゃ天下をとれるな。もう根来衆は信長の配下になってやる。好きに使いやがれ。あぁ
それから那古野城に詰めるのは100人に増やしたからな」
「はぁ?」
「こんなに旨い酒があるんだ。しょうがねえだろ。みんなここに来たがるんだよ。これでも厳選したんだぜ」
いつの間にか根来衆も配下に入っちゃった。
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