第23話 ダンジョン1

ダンジョンに行く事になった。新免無二が「がはは、ダンジョンに行こうぜ!」って煩いのだ。


ダンジョンに行く構成を考えると無二は前衛タイプだが、一人で突っ走る大馬鹿野郎なので、壁にはならない。


と言う事で慶次を連れていこう。但し慶次の得物は槍だ。平三角造直槍ひらさんかくづくりすぐやりと言う名の3mを越える長い朱槍で、柄には螺鈿らでんが散りばめられて虹色光沢を放つ。派手派手なヤツ。


槍は本来中衛の武器だからなぁ。もう一人剣士を連れてくか。恒興がこっちを見てるがツネではなぁ、俺より弱いから護衛にならんのだよ。


うーん。富田勢源と愛州小七郎だと安心なんだけど、皆に大人気で指導して貰ってるし……、そうだ、無口で静かな佐々木小次郎にしよう。


小次郎の得物は『物干し竿』と呼ばれる長さ1mを越える刀だ。本当の名前は『備前長船長光びぜんおさふねながみつ』と言う銘刀なんだけど、皆その長さを見て『物干し竿』と呼んでいる。小次郎は他人に無関心なので、特に気にしてないらしい。


後衛は安心の果心居士だ。彼が居れば問題があっても何とでもなる。果心居士は後で呼べば現れるだろう。


斥候・索敵も必要だ忍者から選ぼう。饗談は煩そうだから猿飛佐助で良いか。佐助も呼べば何処にでも来るし。


「慶次、小次郎! ダンジョンに行くから同行してね」


「おう、良いぞ」

慶次が愛用の平三角造直槍を手にした。


「承知」

小次郎も物干し竿を手に持つ。


「お、いよいよダンジョンに行くか。魔眼を手に入れねぇとな。がはは」

新免無二が右手に刀、左手に変な形の短槍を持って来た。鍔に相当する部分に鉤がついている。


「左手に持ってるのは短槍か?」

十手みたいな鉄の鉤がついてるな。


「がはは、良いだろう。これは十手と言う。俺はこれを『当理流十手術』と名付けた」


「当理流十手術か。成る程、十手に似てるなぁ。良いんじゃないか」


「がはは、これでまた一段強くなった。小七郎と勢源には負けん」


無二は歳が近いであろう富田勢源と愛州小七郎をライバル視している様だ。


「じゃあ、行くか」


「ちょっと待ったぁあああああああ!」

恒興が走って来た。


「はぁ、はぁ、はぁ、アニキ! 何処に行くんすか」

息を切らし両手で膝を押さえ、息を整える恒興。


「ダンジョンだけど?」


「俺も行くっす。富田勢源さんと愛州小七郎さんの稽古でかなり腕を上げたっすよ。と言うか、吉法師様と一緒に戦うと強くなるって言う話じゃないすか。俺も強くなりたいっす」

早口で捲し立て俺にすがり付く恒興。


「お願いします。ね、良いっすよね」

半泣きで俺を揺する恒興。


「はぁ、ツネは足手まといなんだよなぁ」


「そこんとこを何とか、頑張りますから! アニキ! ね、連れていってくださいよぉ」

必死に俺を揺する恒興。


「しょうがないなぁ」


「やったぁああああああ!」

飛び上がり小躍りする恒興。


「はぁ、行くか」

よっぽど同行したかったんだな。

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