子供達の将来
今日はプリムと2人で、オルデン島の開発状況と
既にフレイドランシア天爵邸は完成し、そこを中心とした町作りも始まっているんだが、今はまだ村程度の規模でしかない。
それでも
今はまだ浮いている感じがするが、そのうち溶け込むだろう。
ああ、
町の名はオルテンシアと名付けたから、
「開発が始まってそこそこ経つけど、もうここまでできてるのね」
「本当に早いよな。まだ村、よりは少し大きいか。
全30階層、
攻略したことで、オルテンシア迷宮は迷宮氾濫も迷宮放逐も起こすことはなくなったから、クラフターも安心して作業ができるようになり、それもあって開発スピードは速いんじゃないかと思う。
「攻略した甲斐があるわね」
「必要なことだしな。まあ、だから他の
「確かにあたし達も、ガグン迷宮とエニグマ迷宮を攻略したっけね」
「どっちも面倒だったけどな」
「そうねぇ」
この半年で10以上の
ガグン迷宮はネージュさんが俺の奥さんも同様の人で、息子カズマを産んでくれてるから、迷宮氾濫を起こしてたってことも含めて攻略優先度は高く、4ヶ月前に攻略した。
エニグマ迷宮はオルデン島に近いから、ニーズヘッグが棲み処にしていたという事実も含めて、安全のために攻略させてもらった形だ。
ガグン迷宮の
エニグマ迷宮は200年以上前に生まれたと言われてる
だけどどっちも攻略したことで、今後迷宮氾濫も迷宮放逐も起こることはないから、ナダル海やヴァルト獣公国の安全は確保できたと思う。
「まだ未攻略の
「だな。後顧の憂いは残ってるけど、アバリシア進軍に向けての懸念事項も減った。後はいかに早く、神帝を倒すかだ」
フィリアス大陸の未攻略
その
いや、ハンターが自発的に入って攻略する分には、問題ないんだが。
「そっちもだけど、終焉種の方も問題よ。こっちはあたし達以外はレックスさん達しか、討伐してないんだから」
「まあ確かにそうなんだが、緊急性の高い終焉種は俺達とレックスさん達が討伐してあるから、こっちも今は急ぐ必要はないと思うぞ」
プリムの言う通り、終焉種討伐の実績は、俺達ウイング・クレスト以外だとグランド・オーダーズマスター レックスさん夫婦しか持っていない。
理由は討伐する自信がないということも大きいが、ほかにも人里から遠く離れたところを棲み処にしている終焉種を、変に刺激しないためという理由もある。
2ヶ所だけ人里に近いところを棲み処にしていた終焉種がいたから、そっちは俺達とレックスさん達がそれぞれ倒しているんだが、それ以外は現状では手を出さす、もし人里に姿を現したら対処することになっていたはずだ。
「無理にちょっかいをかけず、迎撃に徹するのは分かるんだけどね。だけど相手が相手だから、最寄りの町にしろ村にしろ、襲われたら一瞬で壊滅するわよ?見捨ててるとは思わないけど、そこはどうなってるの?」
「言わなかったか?トラベリングを使えるエンシェントリッターが複数待機してるから、いざとなったらそれを使って伝令と救援を行う予定だ」
プリムの心配もわかるから、オーダーズギルドは各所に最低3人のエンシェントオーダーを派遣して監視を強化しているし、該当するリッターズギルドもハイリッターの数を増やしているから、終焉種相手でも一方的にやられるようなことはないと思う。
「そういえば聞いたような」
「その後でツバキがグズッたから、聞き流しちゃったんだろうな。仕方ないと思うぞ」
「元気なのはいいんだけど、言うことを聞いてくれないから大変よね」
「俺達が構えない日もあるから、尚更なんだろうな」
ツバキに限らず子供達の面倒はしっかり見てるつもりだが、
だから眠る前には必ず触れ合うことにもしているんだが、それだけじゃ足りてないのかもしれないと思う事もあるんだよな。
「そればっかりはね。だからあたし達も、子供達と触れ合う時間は必ず取ってるけど、だからこそ我儘に育たないかって心配になるのよ」
「ああ、それはあるかもしれないな」
俺もプリム達も、昼間は仕事でいないことが多いから、普段面倒を見てくれてるのはルミナをはじめとしたバトラー達とルミナの娘 ユニーで、特にユニーは子供達の姉として張り切って面倒を見てくれてるから、俺達としても大助かりだ。
エドの奥さんのフィーナとカメリアも、自分達が産んだ子供達のついでではあるけど、よく面倒を見てくれているから、こっちもすごく助かっている。
特にカメリアは、先日エドの長男となるヒューマン
だがその反面、バトラー達は優しいだけじゃなく厳しく接してくれてるから、子供達から怖がられることもある。
だから俺達も甘やかしてしまうんだが、それが原因で傲慢な子に育ったりなんかしたら目も当てられないから、休みの日とかはしっかりと子供達と向き合って、時には怒ったりすることも必要なんじゃないかと思う。
「とはいっても、少なくとも神帝を倒してからでないと、時間は取れないだろうな」
「でしょうね。フィリアス大陸だけの問題なら、厄介ではあってもここまで悩む必要はなかったと思うし」
まさしく同感だ。
未攻略
だけどここに、グラーディア大陸の問題まで重なってしまっているから、俺達は日々忙しく働くことになってしまい、子供達と過ごす時間は取り辛くなっている。
仕事で忙しいから育児ができないって、元の世界でもよく聞いた話だったが、自分がそうなるとは思ってもなかったな。
「前にも言ったけど、貴族とかだと、育児はバトラーに任せっきりにすることも珍しくなかったわよ。連邦天帝国樹立後は禁止とまではいかずとも、親も育児に携わることが推奨されるようになったけど、それでもバレンティアやバリエンテ地方の一部、それからソレムネ地方なんかじゃ、今でも丸投げしてる貴族はいるって聞くわ」
「その話は聞いたことあるけど、俺はなるべく育児に携わりたいって思ってるからなぁ」
物語とかでも、貴族は育児を丸投げっていう話はよく聞くし、それが原因でお家騒動になるっていう話もあった気がする。
俺の子供達、長女サキはラピスラズライト天爵家を、長男アスマはアマティスタ侯爵家を、次女ツバキはフレイドランシア天爵家を、三女ミズキはフロルラグナ男爵家を、次男カズマはヴァルト獣公家を継ぐことが決まっているから、お家騒動とは縁がないと言ってもいい。
四女のアサヒだけが浮いてしまっているが、母親のミーナは現在フォールハイト伯爵領開発のために駆け回ってるし、兄であるレックスさんの名代も兼ねてるから、フォールハイト伯爵領の代官っていう未来もあるかもしれない。
「育児は女の仕事だけど、大和がやりたいっていうならあたしは止めない。父親の役割も大切だからね」
「奥さんが多いから、子供より奥さんの相手をってやつだろ?世界が違うから常識も違うけど、こればっかりは慣れないんだよなぁ」
地球だと育児をしない父親は非難の対象だが、一夫多妻のヘリオスオーブだと育児は母親の仕事で、父親は複数いる奥さんの相手を優先するべきだと考えられている。
奥さんが複数いるから育児も持ち回りで行えるし、旦那が奥さんを労わることが夫婦円満家内円満の秘訣だって言われてるから、父親が育児に携わることはあまりない。
それでも子供がある程度大きくなれば、子供の方から父親を求めてくるようになるから、育児に携わるのはそれからなんだそうだ。
ただ奥さんの数はともかく、育児に関しては未だに受け入れられていなかったりする。
奥さんに関しては、まあ俺にもハーレム願望なるものがあったってことで済ませればいいんだが、育児に関してはさすがにそうはいかないからな。
俺は親戚も含めて一番下だったんだが、両親も親戚も知り合いも厳しい人達ばかりだから、甘やかされることなく育てられたもんだ。
いや、時々甘やかしてくれてたし、お年玉や誕生日なんかも、じいちゃんばあちゃんはもちろん、父さん母さんの親友夫婦が毎年かかさず用意してくれてたっけかな。
だからって訳じゃないんだが、俺も子供達は、甘やかしながらも厳しく育てていきたいと思っているんだ。
「分かってる。だからあたし達は反対なんかしないし、そうするべきじゃないかって思ってるわ。お義父様やお義母様のこともあるしね」
「サンキュー」
「それはそれとして、今日は久しぶりに2人きりなんだから、少しの間は子供達のことを忘れて、デートを楽しみましょ」
「仕事なんだけどなぁ。だけど久しぶりっていうのは間違いないし、仕事っていっても視察ぐらいだから、確かにデートを楽しむ時間はあるか」
奥さん達と2人きりで過ごす時間っていうのは、2,3ヶ月に一度ぐらいしかとれていない。
俺も忙しいっていうのが理由だが、奥さん12人にお妾さん7人もいるから、時間が取りにくいんだよ。
だからこそ旦那は育児より奥さんのケアを優先しろって話でもあるんだが、さすがに19人もいると俺もスケジュールを都合するのが大変でしかなく、それに加えて育児っていうのは過労死まっしぐらだろう。
いや、それが責任だからちゃんと時間は都合つけるし、プリムとも1ヶ月ぶりだから、公私混同だろうと今日はデートを楽しむつもりもある。
地球と違ってそれぐらいは許容どころか推奨されてるから、そこは大助かりだ。
「よし、それじゃあ」
「え?あっ!」
「ダメか?」
「か、構わないけど……なんかちょっと恥ずかしいわね」
「やっておきながら、俺もそう思ってる」
デートの際は、女性が男性の腕に自分の腕を絡ませることが多いんだが、今回は指を絡ませるように手をつないだ。
いわゆる恋人つなぎで、俺もデートやベッドの中でもよくやるんだが、こうやってプリムと町を歩くのは実は初めてだったりする。
ヘリオスオーブでも恋人つなぎは一般的なんだが、プリムは恥ずかしがり屋でもあるから、町中でのデートだと必ず腕を組んでくる。
だけど一度ぐらいはプリムと恋人つなぎで町を歩いてみたかったから、今日は先手をとって、恋人つなぎをさせてもらうことにした。
ただプリムとは初めてだから、プリムだけじゃなく俺も少し恥ずかしい。
だけど俺にとっては、ある意味で念願叶った瞬間でもあるから、嬉しくもある。
せっかくだから、今日はこのまま行かせてもらおう。
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