騎士姫と弓妖姫の戦い
Side・フラム
何故か
その理由は、ホワイト・ドラグーンが従えていたレッサー・ドラグーン5匹、アイス・ドラグーン2匹を、既に私とミーナさんが倒しているからです。
さすがにこれだけの数のドラグーンを相手にするのは大変だったんですが、そこはミーナさんと私の
「ミーナさん、行きます!」
「はい!」
ミーナさんはシルバリオ・シールドや魔法を使い、ホワイト・ドラグーンの攻撃をいなし続けています。
そのホワイト・ドラグーンに向かって、私は先程のレッサー・ドラグーンやアイス・ドラグーン討伐に大きく貢献した
アクアリウム・スフィアは、空中に巨大な水の球を作り出し、その中に対象を閉じ込める魔法です。
閉じ込めると言っても私は結界魔法は使えませんから、脱出するのは簡単です。
ですからその欠点をカバーするために、
大和さんや真子さんは重力と言っていましたが、詳しく聞いてもよく分かりません。
ですが相手を重く出来れば、行動を阻害する事は容易ですし、自重で潰してしまうような使い方も出来るかもしれないと教えていただきました。
その融合させた
なぜこのような魔法を考えたのか、それは私が契約した従魔 リドセロスのフロウのためです。
リドセロスは水棲種ですが、陸の上で過ごす事が多い魔物です。
ですが水棲種に分類されているように、水の中を自在に泳ぎますし、陸上生活もしている関係上、陸に上げても弱体化する事はありません。
ですが水棲種ですから、やはり本領は水の中になります。
更に言えば、水棲種は陸に上げてしまえば1つ下のランク相当にまで弱体化すると言われていますが、陸棲種が水の中に引き込まれてしまった場合はどうなるのか、という事も考慮しました。
その場合は呼吸も出来ませんし、水で動きを阻害されますから、弱体化どころの話ではありませんよね。
私もエンシェントウンディーネですし、最近は機会も多かったですから、水中戦にも慣れてきています。
ですからアクアリウム・スフィアはフロウだけではなく、私にとっても有利な戦場を作り出す魔法になるんです。
ちなみに展開規模は、半径50メートルの球状になっています。
アイス・ドラグーンやレッサー・ドラグーンも、このアクアリウム・スフィアに閉じ込めて、討伐しているんです。
レッサー・ドラグーン2匹は、フロウが頑張って倒してくれました。
S-Nランクのリドセロスですが、P-Nランクのレッサー・ドラグーンは腹部が脆いという弱点もありますし、アクアリウム・スフィアの中で溺れていましたから、さほど手間ではなかったみたいですね。
そのアクアリウム・スフィアの中に、ホワイト・ドラグーンを閉じ込める事が出来ました。
とはいえさすがはホワイト・ドラグーンというべきか、私のアクアリウム・スフィアが徐々に氷っていっています。
ですがそのアクアリウム・スフィアを、ミーナさんが
ミーナさんのフィールディング・プロテクションは、大本は結界魔法ですが、全ての
全ての
さらに
「フラムさん、正面に突入口を用意しています!」
「分かりました!フロウ、行くよ!」
「ブルッ!」
私はウイング・バーストを纏いながらフライングを、フロウは首輪の天魔石に付与されているスカファルディングを使い、同時にアクアリウム・スフィアに突入しました。
リドセロスは陸上生活の方が長いのですが、4本の足にはヒレのような水掻きがあり、3本の指の間にも同じく水掻きがあります。
呼吸の問題も、大和さんや真子さんが使うオゾン・ボールという刻印術と同じような形で水から空気を取り込む事が出来ると聞きました。
ですから水の中でも、自由に活動できるんです。
アクアリウム・スフィアに突入する直前、私は人化魔法を解除し、ウンディーネ本来の姿に戻りました。
私の姿を見つけたホワイト・ドラグーンは私に近付こうとしていますが、アクアリウム・スフィアの効果で動きが鈍っていますし、水の中という普段ではありえない環境にいるため、ドラグーン種とは思えない程緩慢な動きになっていますね。
水棲ドラグーンや水棲サウルスなら逆効果になるでしょうが、ホワイト・ドラグーンは陸棲種ですから、慣れない、というより初めての環境に戸惑い、焦っているのでしょう。
「ブルルッ!」
そのホワイト・ドラグーンに向かって、フロウが
S-Nランクモンスターのフロウが、A-Rランクのホワイト・ドラグーンに突撃するのは無謀でしかありませんが、水中に慣れているフロウとそうではないホワイト・ドラグーンでは、フロウの方に分があります。
さすがに吹き飛ばす事はできないでしょうし、ダメージも通るか分かりませんが、私に向けられた注意を逸らす事は十分可能です。
案の定、フロウの突撃を受けたホワイト・ドラグーンは、ダメージこそ負っていませんが、水の中ということもあり、大きく体勢を崩しました。
その隙を逃さず、私はラピスライト・ロングボウを構え、
水中で
相手の体内のみを焼き焦がすように調整していますし、何度かベール湖でテストも行っていますから、ホワイト・ドラグーンの近くを泳いでいるフロウが感電する事もないんです。
さらに今回のタイダル・ブラスターは、融合させた
タイダル・ブラスターでも倒せると思いますが、相手はA-Rランクモンスターですから、確実にトドメを刺したいので。
アクアリウム・スフィアの外に押し出されたホワイト・ドラグーンは、かなりのダメージに一度は完全に倒れましたが、ゆっくりと起き上がってきました。
ですが咆哮は弱々しくなっていますし、ダメージやタイダル・ブラスターに融合させている
私は再度ラピスライト・ロングボウを構え、タイダル・ブラスターを放ちました。
今度はホワイト・ドラグーンではなく、ミーナさんに向けて。
ミーナさんも委細承知して下さっており、
その瞬間、メイス・クエイクが巨大な剣へと変化しました。
私とミーナさんが2人で使う、
大和さんや真子さんから
私達もかなり試行錯誤しましたから、いずれは使える方も出てきそうですけども。
マルチ・ストーム・ブレードは、本来でしたら振るうと同時に、刀身から雷氷や溶岩の矢が放たれるのですが、そちらは牽制の意味もありますから、今回は放っていません。
放たなくても、ホワイト・ドラグーンの動きは私のタイダル・ブラスターの影響で大きく鈍っていますから、必要ないんです。
ですから今回の刀身は、メイス・クエイクより一回り大きいといった程度になっています。
ミーナさんはウォー・ホースに進化したブリーズに跨ると、シルバリオ・ソードを構えながら正面から向かっていきました。
当然ホワイト・ドラグーンも、ただ待ち構えているだけではなく、ブレスを吐くために大きく口を開けています。
「ブリーズ、行きますよ!」
「ヒヒーンッ!」
ミーナさんがブリーズに声を掛けた瞬間、ホワイト・ドラグーンから大きな氷属性のブレスが放たれました。
あのブレスの直撃を受ければ、エンシェントクラスであっても命は無いでしょう。
ですがホワイト・ドラグーンのブレスは、ミーナさんとブリーズには当たっていません。
声を掛けると同時に、ミーナさんはブリーズに声を掛け、トラベリングを使って上空に転移したんです。
さらにフロウと同じ天魔石からスカファルディングを使う事で、ウォー・ホースに空を駆けさせています。
「たああああああっ!!」
落下の勢いのみならずブリーズの疾走も加わり、エンシェントヒューマンのミーナさんが、全力でマルチ・ストーム・ブレードを振り下ろします。
ブレスを吐いたままだったホワイト・ドラグーンは、上空から首を斬り落とされた事も気づかないまま、その命を落とす事になりました。
「ブリーズ、大丈夫ですか?」
「ヒヒンッ!」
念動魔法を使い、ブリーズの着地の衝撃を和らげたミーナさんは、すぐにブリーズの背から降りて、足の確認をしていました。
何度かやった事があるとはいえ、心配なものは心配ですからね。
「フロウ、終わったから、外に出るよ」
「ブル」
私は念動魔法が使えませんから、
こういった場合、念動魔法の方が微妙な力加減が出来るそうですから、私も使いたいと思っているんですが、エンシェントウンディーネに進化した際に授かった
「あ、お疲れ様です、フラムさん」
「ミーナさんこそ、お疲れ様です」
互いの労をねぎらう私達ですが、本音を言えば少しぐらいはゆっくりしたい所です。
「今度はアンデッドですか」
「そうみたいですね。ですけどミーナさんなら、さほど苦労しないはずでは?」
「そうかもしれませんけど、あの数は大変ですよ」
次に視界に入ったのは、アンデッドの群れでした。
アンデッドは同名であっても別種族ですから、異常種や災害種はいません。
その代わり、ランクはTランクからOランクまで、幅広く存在しています。
種類だけなら、スライムにも匹敵するんじゃないでしょうか?
ですがアンデッドは、
ですから可能ならば、特に使用制限のないセイクリッド・ブライティングという
マナリングをしっかりと使っていればダメージを与えることはできますから、私はミーナさんの援護に徹するべきですね。
顔を見合わせ、頷き合った私達は、フロウとブリーズの背に跨り、アンデッドを迎え撃つ事にしました。
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