10.SNS、はじめました 4
「あははは。ところで連絡先の交換はどっちから言い出したんだい?」
「それはまあ一応、僕から」
「じゃ、スナくんから連絡入れるべきだね」
「そういうもんなの?」
「スナくんが連絡先を交換しようって言ってその先輩が受けたんだったら、その子はスナくんから連絡を貰ってもいいって思ってるってことでしょ」
「そう言われれば確かに」
「逆に長い間向こうから申し出が無かったってことは、向こうから連絡してくる気は無いってことでしょ」
「ええ、結構傷付く」
兄は少しショックを受けている弟の顔を覗き込んでにこーっと笑う。この上なく無表情な、満面の笑みで。
「もちろん、これからやり取りを繰り返していけばその限りじゃないと思うけど」
「うわあ胡散臭い顔してる」
「失礼だなあ。こんなに愛想が良くて親切なお兄ちゃんを捕まえて」
それだけ言うと立ち上がって伸びをひとつ。
「まあ最初なんかなんでもいいんだよ。今日も暑いですねーとか、お昼のそうめんが茹ですぎてユルくてーとか、本当になんでも」
「ほんとにぃ?」
「ほんとだって。文通じゃないんだからさぁ、そんな畏まってやらなくていいんだよ。考え過ぎさ」
兄は上体だけを捻じって振り返ると右手の親指をピッと立ててウィンクした。
「案ずるより産むが易しってね。それじゃ健闘を祈るよ。ボクは午後の仕事があるから帰らないと」
「ああ、うん…ありがとう」
「じゃあね」
そのまま機嫌良さそうに去っていく兄を呆然と見送る。来たときは結構機嫌悪かった気がしたけれど、兄の気紛れさはよくわからない。
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