第86話 スナイプ
翌朝、装甲車の中で軽い朝食を取ったあと最終の準備確認をすると装甲車はゆっくりと起伏を降りていく。
「ゆっくりとね。OK,そのまま進んで」
ラップトップを見ているエリンからの指示通りに運転するランディ。
「左に少し戻して。そうそうそのまま200メートル進んだらそこでバックにして後ろから近づいてくれる?」
「OKだ」
「ストップ!」
エリンの声で一旦車を止めるとその場で切り返しをして今度はバックでゆっくりと進んで工業団地に近づいていく。
「あと100メートル」
「敵影無し」
エリンが指示する間装甲車の屋根に乗っているルリから声が飛んでくる。
「ここよ。ストップ」
その声で車を止めてエンジンを切るランディ。すぐに降りてきたルリと入れ替わりに特注のロングレンジライフルを持ったリンドウが屋根に上がってその場で銃を組み立てていく。それが終わると屋根の上で伏射の姿勢になりゴーグルを装備したリンドウがスコープを覗き、
「流石にエリンとランディだ。ターゲットまで3,499メートル。スコープにターゲット確認。真正面に見えている」
スコープに映る映像が装甲車のPCにも映り、同時に都市国家内でも繋がっているPCのモニターに映っている。そのスコープの中心では黒色のラップトップがまさに稼働中であることを示す様に画面に様々な文字や数字を表示させていた。
装甲車はもちろん、都市国家でモニターを見ている全ての関係者から言葉が消えた。
特注の銃弾を特注のロングレンジライフルに送り込んだガシャっという音がした。
そしてその十数秒後、大きな発射音がしてリンドウの銃から銃弾が飛び出し、数秒後スコープに映っているラップトップの中心に命中して粉々になるラップトップが映しだされる。
「スナイプ成功。ターゲットを破壊した」
リンドウがインターコムに語りかけるとすぐに都市国家からも
『こちらでもスナイプ成功を確認した。すぐに離脱せよ』
リンドウが銃を発射した音がした直後にランディは装甲車のエンジンをかけていて、
「ぶっとばすぞ」
そういうと一気に加速して走り出す。
「敵影。工業団地から出てきたわ。数は多い。200以上いる」
緊迫したエリンの声が聞こえてくる。
素早く特注の銃を持って動きだした車内に降りてきたリンドウがに代わってルリが屋根にあがるとマシンガンをセットして戦闘準備にはいる。
「距離1,200」
その声で起伏を上っていた装甲車の屋根からルリがマシンガンを乱射する。前方を走っていた機械獣数体が爆発するのが見えたがすぐに装甲車は今度は登った起伏を降りはじめ敵影が視界から消えた。
リンドウは装甲車に降りるとすぐに自分の狙撃銃を手に持ち、装甲車の後部の窓を開けてそこから銃口を突き出すと大型小型関係なく視界に入る機械獣を片っ端から狙撃していく。
起伏の上にくるとレーダーが敵を探知して距離を報告するエリン。
「距離1,200。 近づいてないけど離れてもいないわ」
エリンの言葉に答える様ランディが
「この辺りは起伏が大きくてスピードがでない。しばらくは引き離せないぞ」
2人のやりとりを聞いていたリンドウ。
「ルリ、下に降りて自分の銃で撃て。ここだとマシンガンを使う機会が少ない。無駄弾を消費したくない。起伏がなくなった場所でマシンガンをぶっ放せ」
すぐにルリが屋根から中に降りてきて自分の銃を持つと後部ドアの左右にリンドウと別れ、窓を開けて銃口を外に突き出す。
起伏と起伏の合間に機械獣が見える度にリンドウの銃が火を噴いて機械獣を倒していく。倒せる数は少ないが今は仕方がない。
起伏が続く荒野をランディは見事な運転で進んでいた。運転席の前に端末を置きエリンが作成したルートをひたすらに走る。
「距離1,100。少しずつ近づいてきているわ」
エリンの緊張した声。すぐにリンドウから
「構わない。そのまま1,000まで近づかせろ。そうしたらルリの銃の距離になる」
ランディが少し減速すると機械獣の姿が少し大きくなってきた。
「距離1,000」
エリンの言葉でリンドウとルリの銃が火を噴いて前列の機械獣を倒していく。
「ランディ、この距離をキープしてくれ」
「わかった」
エリンがPCの画面を見ながら距離を適宜報告してくる。ランディは端末上の地図と速度計を交互に見て装甲車を走らせていた。
起伏越しに機械獣の姿が見える瞬間に2丁の銃が火を噴いて、その度に機械獣が討伐されていくがまだまだ数は多い。
「倒したのはせいぜい30体程。まだ多く残ってる。大小合わせて200は残ってるわね」
「倒し甲斐のある数だろ?」
「ほんとね」
エリンの報告に答えるリンドウとルリ。
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