第84話 ミッションスタート その3

 翌朝リンドウとマヤが朝食を終えて射撃場にいくと既に射撃位置が変わっていてリンドウが希望した場所に装甲車が停まっていた。


 試作品の中で一番重いロングレンジライフルと模擬弾を受け取ると装甲車の上でそれを組み立てるリンドウ。最後に新しいスコープをつけて覗くと昨日のよりも視界がクリアで視野も広くなっている。


「いい感じだ」


 スコープを覗くリンドウの言葉をマヤが技術者に伝えている。そうして8時過ぎからリンドウの射撃訓練が始まった。数発打つと微調整をして銃とスコープをシンクロさせて、10分に1発の割合で射撃していく。10時ごろになると日が上がってターゲットの見え方が変わってきた。そして12時から3時ごろまではモロに太陽の光がスコープに入ってくる。


 銃から顔をあげると装甲車を降りてきたリンドウ、そばにいたメーカーの技術者達に


「このスコープと同じものをもう1つを作って貰いたい。ただしもう1つの方はグラスに色をつけてくれ。太陽の光が気にならないサングラスの様なのを」


 早速研究棟に走っていく技術者達。その後再び装甲車に上ると結局昼食も取らずに朝8時から午後4時まで装甲車の上でひたすら狙撃訓練をしたリンドウ。


「ものすごい集中力だ」


「ああ。全く集中力が途切れない。いつ撃ってもターゲットに命中させている」


 毎日の様に行われるリンドウの狙撃訓練はカメラで撮影されてそれが研究棟にいる研究員や重役が見られる様になっている。そしてその映像はハンター本部や都市防衛本部、情報分析本部、そして政府にも送られていた。


 3,500メートルでほぼ100%の命中率を叩き出すリンドウのスナイプにはその動画を見ている者全てが驚き、そして彼ならやってくれると皆確信する。


 そして同じ動画は本部経由でツバキに送られ、彼女とミッションのサポーターである3人のハンター達も見ていた。支部の会議室で送られてきた映像を見ている4人。映像では新しいライフルを構えた迷彩服姿のリンドウが装甲車の上から弾丸を撃つ度に3,500メートル先にある標的に命中する様子が映っている。


「相変わらず化け物だな。3,500メートルをぽんぽん命中させやがる」


「それにしても流石ね。北から南西に撃ってるし、装甲車もミッションで使うのと全く同じものよ」


 ランディとルリが思ったことを口にしている中エリンは、


「リンドウの仕草から見ると太陽の光が少し気になってるみたいね。狙撃は朝一番になりそうよ」


「確かにな。となると前の日は近くで野営して当日朝スナイプポイントに移動。スナイプしたらそのまま一目散に上陸した浜辺まで逃げ帰るって感じか」


 ランディの言葉に頷くエリンとルリ。


「これを見ている限りリンドウのスナイプは問題なさそう。となるとあなた達3人のサポートがミッション成功の鍵になりそうね」


 ツバキの言葉に頷く3人。


「リンドウにはスナイプが終わると装甲車の中に入って狙撃銃に持ち替えて対応してもらいましょう。ルリ、あんたは上に残ってマシンガンを頼む。リンドウはいないと思って対応して」


「わかった。ランディ、飛ばすのはいいけど凸凹道を走るのはやめてよね」


「もちろんだ、運転は任せとけ。3日でも4日でも走り抜いてやるよ」


 リンドウが研究施設に泊まり込んで2週間と少し。彼の希望に沿った銃と弾丸。そしてスコープが完全に自分のものにできたと確信したリンドウはマヤに明日ここを出て戻る旨を伝える。最後の1日は模擬弾ではなく実弾を使って試射していた。爆発性の強い弾丸だ。


 直ちにそのことが武器メーカーから政府、都市防衛本部、情報分析本部、そしてハンター本部に通知されリンドウら一行が入江から出発する日が3日後と決まった。


 施設での最後の夜、リンドウの部屋のベッドでマヤはあらゆる体位で犯されその度に歓喜の声をあげていた。もう何度逝ったかすらわからない程に逝かされたマヤ。最後はベッドの上で四つん這いのまま後ろから犯され、


「出して!、全部中に出して!」


 そう叫んだ直後に自分の中に入っていたリンドウの先から熱いモノが大量に注ぎ込まれ今までで一番の快感、絶頂を得て失神してしまう。


 翌日研究所の社員に礼を言って施設を出たリンドウ。マヤの運転する車で4層にある自宅に戻っていく。マンションの前で車を降りるときに、


「生きて帰ってきてね」


「死んだらマヤが抱けない、必ず帰ってくるさ」


 そう言ってマヤと別れたリンドウは自宅に戻ると2日後の出発に備えて準備を始めた。


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