第24話 ツバキ


 リンドウはツバキの後をついて支部長室に入って扉を閉める。支部長室の中にあるソファセットに向かい合って座ると、


「お疲れ様。相変わらずいい仕事してくれるわ。大助かりよ」


「遠距離狙撃は俺の本職だ。褒められる程じゃない」


「でも動いている装甲車の上から1発で敵を倒すなんてこの都市国家でもリンドウくらいよ」


 潤んだ目で見てくるツバキ。目の前のいい女も元Aランクのハンターだけあって、強い男に惹かれる。潤んでいる目を隠そうともせずに艶のある声で、


「今晩抱いて。いいでしょ?」


 リンドウは頷きながら、


「そのやり代もこの報酬に入ってるのか?」


「それは別。夜の代金は私の部屋でこの身体で払わせて」


 そう言ってから、


「報酬が多いからびっくりしたでしょ。言っておくけどこれは私が決めた額じゃないの。本部に送られてきた端末情報を分析して今回の全地区の同時探索で最も貢献度が高かったのがリンドウなの。VIPね。無駄弾が全くなかった。周囲の警戒及び魔獣の対処。全てにおいて最高得点がついてる。当初の報酬以上のボーナスになってるわよ」


 リンドウの報酬はミッション開始時に教えられていた金額の2倍以上にもなっていた。


「なるほど。ツバキが俺に依怙贔屓していないのがわかったなら気兼ねなく貰える」


「依怙贔屓は好きじゃないの?」


 リンドウは頷き


「仕事とプライベートははっきりさせたい。それぞれの役割ってのがあるからな。今回も俺は自分の役割の任務を遂行しただけだ。ランディやエリン、ルリもしっかりと自分の仕事をこなしてくれた。いいチームだった。彼らもたっぷりボーナスがあるんだろ?」


 リンドウの言葉にツバキが頷くと、それならいいんだと言ってから、


「ツバキの俺に対する依怙贔屓は夜の部分でたっぷりともらうことにするよ」


 その言葉に頬を赤らめると、


「嬉しいわ。貴方の好きにして。何でもしてあげる」


掠れた声で言うツバキに頷いてソファから立ち上がったリンドウの背中に、


「19時に来て。待ってるわ」


 支部を出たリンドウはその足で4層に戻ると武器屋に顔を出した。店の奥から出てきたサムに、


「まとまった金が入った。狙撃銃とロングレンジライフルで今俺が持っているのより良いのがあったり、入荷する情報があればすぐに教えてくれ」


「新しい地区への探索ミッションだろう。D地区でも話題になってるよ。ヤナギなんか俺には声が掛からなかったて拗ねてたぜ」


「人選は俺じゃないからな」


「そりゃそうだ。それでたっぷりと報酬を貰ったってことか。前人未到の地に行ってきたんだ。それくらいの見返りがないとやってられないよな」


 そこで一旦言葉を切ると真剣な目でリンドウを見る。


「それで銃についてだが今のところはリンドウが持っているのが最高クラスだ。ただ狙撃銃については新しい銃を開発中だって情報は来ている。ニーズが多いからな。かたやロングレンジライフルについてはこの前あんたが連れてきた若い女2人が買ったタイプの銃がベストセラーになってる。ランディも使ってるしな。多くのスナイパーは大抵あれさ。今後新しく出るとしてもそれの改良品だろう。リンドウが持ってるロングレンジライフルは使いこなせる奴がほとんどいない。あのタイプの大型の銃は当面は出ないだろう。それどころかあまりに売れないから廃盤になるかもしれないって話だ」


 サムの話を聞いて思わず唸り声を出す。


「う〜ん、廃盤は困るな。俺はあれが気に入っている。俺のライフルの在庫は何丁あるんだ?」


「ここには今はないが俺の知り合いから、そうだな、2つは手に入るぞ」


「じゃあその2丁を押さえておいてくれ。もちろん弾丸もだ。あるだけ手に入れておいてくれ」


 そう言って2丁分の代金プラス弾丸代の一部分を端末から前払いする。その金額の入金を確認すると、


「がっつりと稼いできたみたいじゃないか」


「その分命懸けだ。弾丸は入手した時に残りの代金を後でまとめて払うよ」


 サムはOKだと頷くと、


「あんたは滅多な事じゃあ無理しないハンターだって分かっている。でも気をつけてな」



 店を出たリンドウは自宅に戻って休んでから19時にツバキのマンションに入っていった。


 玄関の扉を開けてリンドウを出迎えたツバキは素肌に黒のシースルーの下着だけの姿だ。もちろんん上も下も透けて丸見えになっている。


「待ってたの。さぁどうぞ」


 そうしてリビングに案内されるとリビングのテーブルに食事と飲み物が用意されいた」


「ここの方が寄り添っていられるでしょう?」


 リンドウは部屋に入ると迷彩服の上だけ脱いで上半身は身体保護スーツ、下半身は迷彩ズボンと保護スーツの格好になってソファに座る。


 テーブルの上のミネラルウォーターを飲み、食事を摘みながら、


「溜まってるのか?」


「ええ、爆発しそうな程にね。貴方は危険地帯に行っている。オフィスでは毎日の様に会議や報告ばかり。気が休まる暇なんてないの」


 ツバキは話しながらリンドウの服を脱がせていく。体にフィットしている身体保護スーツを何とか脱がせて全裸にさせると左手をリンドウの股間に伸ばして指や手の平を動かしながら器用に右手で食事を続ける。


 リンドウはツバキの好きにさせながら彼女の手料理を食べている。この前と違ってしっかりと出された料理を平らげ美味かったと言うと、


「先にベッドに行っていて」


 すぐに寝室にツバキが入ってきた。ベッドの上で全裸になっているリンドウを見ながら寝室の入り口のドアを閉めるとそこで見せつける様にシースルーの下着を脱いで全裸になるとその見事な肢体を見せつけながらベッドに近づいて


「明日は休みを取ってるの。時間を気にしなくていいから一晩中抱いて」


 そう言うとリンドウの上に飛び込んできた。


 ベッドの上でリンドウと繋がると歓喜の声を上げながら自分からきつく抱きしめてきて


「ああっ、これよ。やっぱり本物の男のがいいの。自分でするより何倍も感じる。いっぱいして!好きに犯して!」


 そうして数え切れない程絶頂を迎えてはまたリンドウにしがみついてくるツバキ。夜通しのセックス、明け方に後ろの穴に突っ込んでといい、その通りにすると一突きで絶頂に導かれてそのまま失神してしまった。


 そのまままどろんでいた2人、昼前になってようやくベッドから出たがツバキは腰が抜けてフラフラになっていた。

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