会敵37 迷探偵

「おい!ミア、パスワードだってよ。お前、聞かなかったのか?」


「聞いてないよ」


両手を上げてお手上げ中のミアが肩をすくめる。


どうするか?ほんとに参ったぜ。


「ちょっと……待って……」


ミアが手を顎に当てて無い知恵を絞っている、いや、考えている。


「こんな事をクロエは言っていたの。なんか関係あるかな?」


ミアは俺に視線を向けて、昨日、俺に向こうに行っていろと、シュトゥットガルトの外れ5kmのところで、ミアの服と交換した後、メモリーチップを渡した時のことを話し始めた。


『あなた、名前なんておっしゃるの?』


『マリアよ』


『そう……マリア、よく聞いて、“マリア簡単”よ。あなたなら……OCBK。あなたの子供たちはOCBKよ』


『何の事?』


『覚えておいて、役に立つ時が来る。かもしれないから』


『マリア、素数は好き? あなたを素数にしたら、仲間外れは作らないでね。もしも、仲間はずれが出来たら、その子供たちは新しい素数になるわ。みんな集めて、素敵な子供たちを作ってあげてね』


『そして、もう一度言うわよ。私は“クロエ・ミュレー簡単”よ』


マジかよミア、何でここにきて謎解きだよ。ここの淑女紳士は血しぶきの飛び跳ねる描写にハアハアする様な人種で、名探偵よろしく謎解きてハアハアする人種とは異なるんだぞ。多分。

そもそも、そんなの、身体は大人、心は子供のお前に託すなよ。


ダメだ、手詰まりだ。指揮官付きにでも聞いてみるか。あいつなら、軽く突破しそうだよな。でも、ミアと犬猿だしな。でも、まぁ、考え方だな、元々、無かったものなのだからな。俺達には関係の無いものだろう。こんな事に時間を取っている場合ではない。


仕事するか。

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