第494話 試験
「では、テストをします」
「おう」
制限時間の1時間が終わり、ソフィによる確認テストが始まった。さすがに全問の確認は無理なので、ソフィがランダムで選んだ問題を口頭で聞かれた。
「完璧ですね」
「ありがとう」
そして、俺はソフィの問題を全問正解することができた。まあ、2、3問くらいは覚えていない問題はありそうだが、ソフィの確認テストで満点を取れるくらいには覚えることができた。
「では、試験会場に行きましょうか」
「ん」
「そうだね」
これにて、試験勉強時間は終了し、俺達は試験を行う部屋に向かった。
「では、準備はよろしいでしょうか?」
「はい」
「大丈夫です」
「ん」
試験部屋に着き、適当に席に座った。すると、すぐに試験官らしい先生がやってきた。そして、俺達の前に冊子のようになっている問題文と、解答用紙を配った。
「制限時間は2時間。終わった者から退出してよろしい。では、始め」
試験官がそう言ったと共に俺は冊子を開いて問題を解き始めた。
(解る…解るぞ!)
俺は試験を始めて驚いた。魔物や魔法などの戦闘関係以外の問題はソフィが出してくれた問題しかないのだ。それも、問題文までほとんど同じの気がする。一瞬、あんだけ覚えたらそうなるなっとも思ったが、4年間学ぶことの全てが範囲のテストであの量の予想問題を作ったとしてもほぼ100%の確率で出題問題を特定するのは難しいだろう。さすがはソフィだ。
俺はソフィのおかげですらすらと問題を解くことができた。
(解き終わったけど……)
俺は解き終わり、一応の見直しも終えた。しかし、まだソフィとシャナは退出してなく、ペンを動かしている。俺がソフィとシャナよりも早く終わるのはおかしいはずだと、もう一度に見直してみた。今度は飛ばしたページが無いかも確認した。
(無いよな…)
だが、飛ばしたページも無く、満点近い解答になっていると思う。記述式の場所の文章が少ないのかとも思ったが、一応下まで埋まるほど書いている。心配になっているが、どの道これ以上することは無いので、俺は2人より早く退出した。
「あっ!2人とも!」
俺が退出して、1分もしないうちにソフィが、そのすぐ次にシャナが退出してきた。このタイミングで部屋から出てくるってことはもしかして…。
「採点をして結果を伝えますので、1時間後に再び学園長室に来てください」
「あ、分かりました」
シャナが出てきた後にすぐに試験官も問題用紙と解答用紙を回収して出てきてそう言って去っていった。
「では、再び図書室で時間を潰しましょう」
ソフィがそう言うと、俺達は再び図書室の方へ歩いて行った。
「2人は俺の解答が終わるまで待ってた?」
俺は図書室に着くと、小さめの声で気になっていたことを2人に聞いた。
「はい。私達はお兄ちゃんの解答が終わるのを待っていました。万が一落ちそうになっていたら不正をしようと思いまして」
「落ちてそうって分かるの?」
不正する気満々なのはつっこまないとして、俺が落ちてそうなのかは解答用紙を見ないと分からないはずだ。横目で見れるほど俺達の席は近くないので、それは無理なはずだ。
「ペンの音で合っているか分かりますよ」
「ん」
「さすがだわ…」
ペンで文字を書くシャっ!という音だけで俺の解答が合っているか分かるようだ。ちなみに、ペンを動かしていたのはぼーっとする訳にはいかないからという訳らしい。
落ちた時は不正してくれるのなら俺が勉強した意味が無いんじゃないか…と思ったが、不正をするのは普通にダメな事だ。普通に受かれるならそれに越したことはない。
「じゃあ、行くか」
「はい」
「ん」
そんなことを話していると、1時間経ったので、俺達は今日2回目の学園長室に向かった。
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
俺達はノックをして学園長室に入っていった。
「じゃあそこに腰をかけて」
そして、俺達と学園長は前と同じ場所に座った。
「まず、テスト結果だけど、3人とも満点だったよ。これについてはさすがとしか言えないよ。卒業生に同じテストをしても40点いかないくらいの難易度で作ったはずなんだけどね」
ソフィ達の話で合格しているのは確定だと思っていたが、2人と同じ満点で良かった。そういえば、合格点を聞いてなかったけど何点だったんだろうか?
「それで1週間後の水の日に3人の卒業式を行いたいのだが、予定は開いているかね?」
「……大丈夫です」
俺は2人の方を見ると、問題ないと頷いていたので、そう答えた。
「では、1週間後の水の日の13時にまたこの学園長室に来てほしい。少し早いが、卒業おめでとう」
「「「ありがとうございます」」」
そうお礼を言って俺達は学園長室を後にした。
だが、1週間後に俺達の卒業式が行われることは無かった。
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