王都 魔物襲来

第491話 王都到着

「深林の魔物が弱く感じるな」


「まだここは浅いところだしな」


深林の比較的浅いところなので、強くてもS-ランク程度の魔物しか現れない。とはいえ、それが複数体で現れようとも楽に倒せるようになっている。

ベクアが魔物を弱く感じるのはリヴァイアサンを倒したことでレベルが大幅に上がったからというのもあるのだろう。



「これじゃあ新しい装備を試せないんじゃないか?」


「まあ、試せてはないな」


どんな魔物もそれなりにエンチャントなどで強化して斬り付けたらスパッと両断してしまう。また、魔物の攻撃に当たることもないので、防具を使うことも無い。


「一生試す機会がないのが理想だけどね」


「確かにそりゃそーだな!」


この新しい装備が本領発揮するということは、それほど強い敵が現れるということだ。そこまでの敵と出会わないのが理想だ。まあ、そんな都合のいいことは無いだろうけど。

なんてことを話しながら夜営も挟んで進んで行くと、すぐに深林を通過することができた。そこからは道を人外と認定されないくらいのスピードで走った。無用なトラブルを避けるために、一応馬車や人と通り過ぎる時とかはまとまって隠密などはかけたりはした。



「明日には王都に着くか?」


「…そうだね。余程のことが無い限りは明日には絶対王都に到着する」


ドワーフ国から合計で1ヶ月と少しで王都に到着することができそうだ。

俺達は最後の野営を行い、次の日には予定通り王都に到着した。



「俺とソフィとシャナは学園に行くけど、3人はどうする?」


俺とソフィは王都の屋敷に到着すると、ベクアとエリーラとキャリナを招いた。ちなみに、シャナは城に帰った。1人で帰ることに不服そうにしていたが、顔を出さないわけにもいかずにちゃんと帰っていった。

久しぶりに帰ってきたので、俺達3人は学園に顔を出そうと思っている。結構な長旅だったので、そろそろ園内戦の時期でもあるだろう。



「俺達は適当に魔物でも狩ろうと思うぜ。キャリナとエリーラもそれでいいか?」


エリーラとキャリナはその問いに頷いていた。どうやら、3人の明日の予定は魔物狩りになったようだ。

その日は長旅の疲れもあってか、日が暮れる時間帯にはぐっすりと眠ることができた。




「行ってきます」


そして、次の日に俺とソフィはシャナと待ち合わせしている校門前を目指して家を出た。



「お待たせ」


「ん」


俺とソフィが校門に着くと、そこにはもう既にシャナは着いていた。俺達は3人で学園へと入っていった。


「では、学園長室に向かいましょう」


「ん」


そして、俺達は一直線に学園長室へと向かった。



コンコンっ


「どうぞ」


学園長室をノックすると、中からそう返事が聞こえてきた。


「失礼します」


俺が代表してそう言って俺達は学園長室に入った。


「いやー、久しぶりだね。そこのソファに腰かけてくれ」


学園長は入ってきた俺達にそう言った。俺達はシャナ、俺、ソフィといった並びで座った。そして、学園長も向かいのソファに座った。


「長旅ご苦労さま。色々と大変そうだったってのは噂として聞いてるよ」


「あはは…」


大変だったのと言うのは、魔族との大会での勝負とリヴァイアサンのことを指しているのだろう。


「それで本題なんだが、3人にはこれを受けてもらいたい」


学園長はそう言って俺達一人一人の前に数枚の紙を差し出してきた。


「卒業認定試験?」


その紙の1枚目には卒業認定試験への案内が書かれていた。


「これは今年できた制度…と言うよりも君達3人のために作った制度なんだ。これは対校戦で飛び抜けて良い成績を残した生徒に対して、学園で学ぶべきことを網羅できているかのテストを行って、それに合格できたら本来の4年間を待たずして卒業できるっていう制度なんだ」


「え!?」


ざっと全ての紙に目を通すと、確かにそのようなことが書いてある。ただし、対校戦の詳しい成績の条件としては対校戦2連覇かつ、個人戦出場経験の他、個人戦無敗していなければならないというものがあり、完全に俺達3人しか条件を満たしていない。


「それで卒業認定試験を受けてくれるかな?」


「分かりました」


「ん」


「あ、はい」


俺が返事を迷っている間に2人が返事をしてしまった。俺も慌てて返事した。


「それで卒業認定試験はいつ受けるかな?」


「今日の午後からで大丈夫です」


「私もです」


「え!?」


「流石ですね。じゃあ試験は午後の3時から行うとしましょう」


やばい…最近は全く勉強なんてしてないんだけど…。2人だけ受かって俺だけ受からないとか洒落にならないぞ…。


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