第414話 魔法の威力
「おわっ…!」
俺は空中でふらついてしまい、危うくサイコキネシスの足場から落ちそうになってしまった。
「はぁ…はぁ…」
どうやらさっきの霹靂神で集中力を使い過ぎたようだ。多重思考を総動員したが、それでも1発だけでこんなに疲れてしまうのか。発動までの時間も長いし、発動準備中は無防備になってしまう。さらに、コントロールも効かない。この魔法は実用化するまでまだまだ時間がかかりそうだな。
『ピコーン!』
「あっ」
まだ海中で暴れている雷を見ていると、アナウンスが聞こえてきた。内容はレベルアップだ。さっきの魔法で上層にいる魚も大勢死んだだろうから、それのレベルアップかと思った。しかし、しばらく鳴り続けているので、あの影の魔物も死んだのだろう。
「お兄ちゃん、大丈夫ですか?」
「何とかね」
空中に居れば雷の影響がほとんど無いくらいに俺の魔法が収まると、ソフィがやって来た。
「やっと収まりましたね」
「オーバーキルみたいだったね」
ソフィがやって来て5分ほど経ってやっと俺の魔法は消えた。とはいえ、海中はまだ俺の雷が流れているだろう。
多分だけど、さっきの魔法の半分の威力でも影の魔物は死んでいただろう。
「あ、浮かんでくる」
影を眺めていると、だんだんその影の魔物が海面に近付いて来ているのが分かる。そして、上がってくるのを待っていると、その魔物は姿を現した。
「クラーケンだったのか」
浮かんできた影の魔物の正体はクラーケンだった。クラーケンはSSランクだ。その長い足で船を壊したりする凶悪で獰猛な魔物で、水魔法を好んで使ってくる。
「じゃあ、これをマジックリングに入れて漁港まで帰って終わりだね」
俺はそう言ってクラーケンの元まで降りて行った。
俺のマジックリングの中にこの巨体入るかな?入らなかったら放置するしかないけど。
「あれ?ソフィも来るの?」
「今のお兄ちゃんは完全に集中力が切れているので危険です」
「ありがとう」
ソフィは精神的にかなり疲れている俺の気を使って一緒にクラーケンを仕舞うのについてきてくれた。
「ん…?おかしい」
「どうしぶっ!!」
ソフィがクラーケンの近くで険しい顔を作ったと思ったら、俺の首根っこを掴んで勢いよく上に投げた。
「ソフィ!」
しかし、俺はそれに文句を言えなかった。理由はクラーケンごとソフィに噛み付こうとする龍のようなものが海中から現れてきたからだ。
「反射!」
ソフィは俺の心配を他所にその口を反射で跳ね返した。
「お兄ちゃんっ!!!」
「あっ…」
ソフィに現れたのと別の顔が海中から俺の真横に現れた。こいつらは2匹いたのかよ!
口を大きく開いて魔法を放とうとしてきた。それを剣で斬ろうとしたが、気が緩んでいたのと、エンチャントをしていなかったのもあって間に合わなかった。
「ガァァァ!!!」
「うっ…!」
俺は水の咆哮をもろに食らって海中に叩き落とされた。
『ぶくく…』
今の魔法はそこまで威力があるものではなかった。だからダメージ自体はそこまで無い。
(やばい!)
俺は海中の様子を見て、急いで神雷纏、悪魔化と悪魔憑き、神雷エンチャント、雷電トリプルハーフエンチャントを行った。
「「シャアアア!!!」」
「「「シィヤ!!」」」
海中にはソフィに噛み付こうとしたやつと俺を海中に叩き落としたやつの他に、その2匹の半分くらいの大きさの3匹が居た。
そして、全体像を見てすぐにこの魔物の種類は分かってしまった。海に居る巨大な龍のような魔物…。
(……リヴァイアサン)
大きい2匹の体長はクラーケンの倍近くあるだろうこのリヴァイアサンはSSSランクの魔物だ。
それがこの場に5匹もいるのかよ…。小さい3匹に関してはランク的にはクラーケンと変わらずSS程だろうが、SSSランクが2匹いることには変わりない。
(クラーケンが上層に来た理由が分かったよ)
恐らく、リヴァイアサンは子供に餌を上げるために深層から下層へクラーケンを狩りに向かったのだろう。そのクラーケンはリヴァイアサンから逃げるために上層まで来たのだと思う。クラーケンは逃げるのに必死だったから船に攻撃しなかったのか。
(どうする…)
今は俺の纏っている神雷を警戒してなのか無闇に近付いてこない。しかし、俺が海から出ようと上へ泳ぎ出したら、その隙をついて攻撃してくるだろう。息が続くのは激しく動くことも考慮すると、最大でも10分くらいだろうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます