第399話 デート
「え?本当にいいのか?」
「ああ!海への準備などは全部俺らがやるぜ。旅費に関しても俺らが全額負担するからな!これはゼロスの魔族の対処やソフィア達の警備の礼も兼ねてるから気にするなよ!これをしてようやく貸し借りが0になるんだ」
俺らの海の旅行の全てを獣人国が支援してくれるそうだ。正直、これはかなり助かる。それに、元々魔族の件で貸しを作る気は特に無かったので、旅行で貸し借りが0になるなら好都合だ。
「それで昼はいつものところでいいか?」
「ああ。ソフィ達にも食べて欲しいからな」
ちなみに、今は6人揃って常連となりつつある大会の間通っていた美味しい肉が食べれる店に向かっている。ちょうど昼過ぎだし、いい時間帯だろう。
「どうだった?」
「美味しかったです」
「美味かった」
「いい店ね」
どうやら、ソフィ達3人にもその店は好評だったようだ。
「じゃあ、俺は海への準備があるから王城に帰るぜ。明後日の朝に迎えに行くから、宿で待っていろよ!」
昼食をとると、ベクアはそう言い残して王城へと走って帰っていった。
「私とエリーラは、ちょっと外で訓練してくる。キャリナも来る?」
「い、行きます!」
そして、シャナとエリーラとキャリナは首都の外で強くなるための特訓をするようだ。
「2人っきりになりましたね」
「そうだな」
なんか、謀らずしてソフィと2人っきりになってしまった。何だかんだ最近では珍しい時間かもしれない。
「この後まだ時間ありますよね?」
「あるね」
まだ昼過ぎなので、まだ時間はかなりある。
「じゃあ、一緒に買い物でもしようか」
「はいっ!」
俺はソフィを誘って2人で露店を見て回ることにした。
「誘ってくれアピールが露骨過ぎたよ」
「だって、そうしないとお兄ちゃんは俺達も特訓しようとか、宿に帰って寝ようとか言い出しかねないでは無いですか」
まあ、確かに選択肢にその2つはあった。だが、ソフィと2人っきりになる機会はそんなに無いし、今日はもう充分動いたからな。だったら、こうしてのんびりした時間を2人で過ごすのも悪くないと思う。
「でも、なら自分から誘えば良かったじゃん」
ソフィが自分から誘えば、さっきのようなアピールをする必要はなかった。
「お兄ちゃんは女心ってものが分かっていませんね。こういうのは誘って欲しいと思うものなんですよ」
「そういうものなのね」
前世ではあまり異性に恵まれて居なかったので、その辺の女心というのは未だによく分からない。
「そんなことよりも、今は楽しみましょう!」
「ちょっ…!」
俺はソフィに手を引かれて足早に露店を見て回った。首都ということもあり、武器や防具だけではなく、アクセサリーや魔導具なんかも多くあった。俺とソフィは品定めをしてた。
「あ、これ面白くないですか?」
「えっと…浮気防止婚約指輪?…何だこれ?」
浮気防止婚約指輪と書かれた鎖のような模様の入った指輪の詳細を見てみると、相手がその日に何度異性と触れたか、話したかを対になっているもう1つの指輪から見れるそうだ。さらに、一日に何回まで触れていいのか、話していいのかを設定することができて、設定値以上触れたり話したりすると、指輪が徐々にキツく閉まるそうだ。
「プレゼントしますか?」
「絶対にいらない」
別に俺はソフィと婚約している訳でもないので、この指輪は必要ない。別にやましい事は無いが、常に相手から何度異性と触れたか、話したかを確認されるのは何か嫌だ。
他にも露店には、着けると30分だけ獣人のような耳と尻尾が生えてくるチョーカーや、魔力を注げば注ぐだけ激しく1分だけ光る水晶など面白いけど、使いどころがないような魔導具が多くあった。
欲しいと思うほど実用的なものはあまり無かったが、見て回る分にはとても面白かった。
「お兄ちゃん、もう露店は一通り見たと思うので、お互いにプレゼントを買うっていうのはどうですか?」
「あ、面白そうだね」
ソフィのその提案は面白そうなので賛成した。
俺達は予算は金貨1枚以内でプレゼントを用意することにした。ちなみに、制限時間は1時間だ。
「ソフィが喜ぶようなもの…」
俺は意外とプレゼントを探すのに苦戦していた。俺があげたものならソフィは大抵のもので喜んでくれると思う。だからこそ、どうせあげるなら実用的なものをあげたい。
「あっ!これ下さい!」
制限時間まで残り10分というところで、やっといいものを見つけることができた。俺はそれを買って急いで集合場所まで向かった。
「お待たせ。時間間に合った?」
「大丈夫でしたよ」
俺が集合場所に着くと、ソフィは既に待っていた。遅れてしまったかと心配したが、ギリギリ大丈夫だったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます