第288話 湖の主
「…サーペントか?」
「そのようですね」
水の中にいる龍のような姿形の魔物は大きく分けて2種類居るとされている。それがサーペントとリヴァイアサンだ。サーペントは川や湖などの中にいるS-ランクの魔物だ。ちなみにサーペントもサハギンと同様の理由で他の同ランクの魔物と比べてステータスは少し劣る。
そんなサーペントに似た魔物のリヴァイアサンだが、これはSS+ランクだ。こいつは海にいるとされている。さらに、天候を自由自在にできるとも言われている。ぶっちゃけこれらはおとぎ話に近い。現実にいるかどうかすらもわかっていない。
この魔物達からはSS+ランクの覇気を感じない。だから俺はこの魔物達をサーペントだと思った。もちろん、リヴァイアサンの幼体とかだったりしたかもしれない。ソフィの鑑定のおかげでサーペントだと確信できた。
「ソフィ、俺が気を引くから指揮をお願い」
「分かりました」
サーペントは高ランクなので、経験値を稼ぐにはもってこいだ。特にまだ進化していない2人にとってはかなりいいはずだ。
「ジール精霊化」
俺は少しサーペントに近づいて、ジールでの精霊化を行った。やはり、最後に落としたあの雷にかなりご立腹のようで、サーペント達の目の色が変わった。そして俺に攻撃を仕掛けようとしてきた。さっきの雷の犯人が俺だと気が付いたようだ。
「「シャーー!!」」
2人揃って俺に水の球を吐いてきた。それは魔法だったので、2本の剣で斬った。
「ほらこっちだ!」
「「シャッ!!」」
あえて普通に走って2匹の注意を引きながらみんなから少しずつ離れて行った。
「足場は私が作るから行きなさい!」
「防御は私がやります。だから好きに攻撃しててください」
「ん!」
「は、はい!」
エリーラの作った水の足場の上を走ってシャナとキャリナはサーペントに近付いていった。
「ふっ!」
「はーっ!」
ガキンッ!
2人がそれぞれサーペントに攻撃をした。しかし、ダメージが入っていない。サーペントの防御力はかなり高いようだ。2人の攻撃だけで倒そうかと思ったが、それは難しいようだ。
「雷縮」
俺はサーペントの元まで移動した。そして、剣を振って硬い鱗のようなものを剥いだ。さらに、追加で殴っておいた。これは再生系スキルを持っていたとしても、傷口を焦がして再生させにくくするためだ。それと、俺への追加のヘイト稼ぎだ。
「「キシャーーーーーッッ!!?!!!!!??」」
これはかなり痛かったのか、サーペントは水面で暴れ回った。
「雷縮」
俺は急いでエリーラが作った少し空中にある水の足場を利用して岸に戻った。ちなみに、シャナとキャリナは俺よりも早く避難していた。
「2人は俺が付けた傷から攻撃をして!」
「了解」
「わ、分かりました!」
そこから、2人は何度も同じ場所目掛けて攻撃を仕掛けた。ダメージが入るようになると、サーペントは2人のことをだんだん無視できなくなっていった。しかし、挑発のスキルを使ったり、攻撃させないように時々痺れて動けなくなるくらいの雷を放ったりしておいた。また、水中に逃げようとした時も同じように雷を放った。
「か、勝てた…」
「お疲れ様」
時間としては4時間程かかっただろうか?ほぼ2人だけでサーペントを倒す事ができた。俺達3人はかなり支援はしていたが、攻撃をしていたのはシャナ達なので、2人で倒したって事にしよう。
「もう暗くなってきてるし、早く帰ろうか」
もう辺りも薄暗くなっている。早く帰らないともう数分でアンデットが現れる。本当は2人には休憩をさせてあげたいのだが、仕方がない。今日の見張りを無しにして休ませようかな?不眠不休の称号もあるから今日は俺が徹夜すればいいか。そうすれば久しぶりにソフィと2人きりになれるしな。
サーペントを回収したので、俺達は湖から離れて帰ろうとした。
「やあ!ダーリン会いたかったよ!数週間ぶりだね!」
「なっ!」
俺は急に後ろから話しかけられた。その声の正体はすぐにわかった。
「雷しゅ…」
俺は雷縮で近付いていて剣で斬りかかろうとした。しかし、イムはその前にニコッと笑って指をパチンと鳴らした。
「こいつがゼロスでいいんだな!?」
「ああ、合っているよ」
「だそうですぜ、兄貴!」
「そうか」
一瞬にして景色が変わると、俺はみんなとははぐれていた。そして、目の前にはイムと見知らぬ3人の魔族がいた。
「俺は安全に人間を滅ぼしたいんだ。そのためにはリュウ様の協力は必須だ。だからお前は俺達に殺されてくれ。なに、死ぬのが少し早まっただけだ。お前の同族は全員殺してやるから安心しろ」
果たして俺の同族はいるのだろうか?いや、そんなことよりも今は目の前の魔族に集中しなくてはいけない。
最初に話していた魔族の首には、ライオンのようなたてがみがあり、蠍のような尾もある。仮にマンティコアとしよう。
そして、マンティコアに兄貴と呼ばれていたのは多分幹部だろう。そいつは顔に鳥のようなくちばしに、背には大きな翼が付いている。さらに、目はタカのように鋭い。こいつはタカとしよう。
もう1人は何も話さず、ただじっとしている。こいつはあまり特徴がない。ただの人型の魔族だ。そのせいで、何の魔物が元の魔族なのか検討も付かないな。
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