第261話 今年のサバイバル戦ルール

「最終目午後の部!勝者!リンガリア王国!」


代表戦は結局ベクアの出番は無く、エリーラまでの4連勝で終わった。


「代表戦は1位リンガリア王国、2位武国ガラテイン、3位アナタイト鉱国、4位神聖タグリオンとなりました!」



「じゃあ俺達も行くか」


「そうですね」


試合も終わったのでベクア達の元へ行った。

なぜなら、この後にサバイバル戦のルールが発表されるからだ。



「4人ともお疲れ」


「お疲れ様です」


俺達が控え室に行くと、代表戦参加メンバーが揃っていた。そして俺達の後にその他の対校戦メンバーもやってきた。



「結局俺の出番は無かったぜ…」


「それは前が4連勝してるってことだからいいことだろ」


「そうなんだけどな…」


ベクアは出番が無くて不完全燃焼のようだ。


「ならサバイバル戦で頑張ればいいだろ」


「そうだな!」


そんな感じの会話を30分ほどしていると、舞台へ入場してくださいと、アナウンスがかかった。それに従って俺達は舞台へと上がった。



「皆さん代表戦お疲れ様です。これより今年のサバイバル戦のルールを説明します」


全員が入場すると、ルール説明が始まった。今回は勇者も入場してきた。勇者が入場すると、会場は盛り上がっていた。勇者は俺達の方をずっと見ていたけど、気付いてないフリをして無視した。

そして今年のサバイバル戦のルールは纏めるとこんな感じだ。



サバイバル戦ルール

・1辺約600mの正方形の岩の多い荒地を闘技場に魔道具を使って生成し、そこを舞台とする。

・正方形の4つ角に各国をランダムに配置する。なので、どこの国が隣でどの国が対面なのかは完全なランダムとなる。

・制限時間は8時間で、制限時間終了後により多くの人数が残っていた国の勝ちとなる。

・チーム全員舞台から退場した国は4位となる。また、その次以降もチーム全員舞台から退場した国は3位、2位となる。

・制限時間が終わる前に舞台に残っている人が一国だけになった場合はその時点でサバイバル戦は終了となる。

・制限時間が終わって残りの人数が同数の場合は、同率順位とする。その際の対校戦の順位は代表戦の結果で決める。

・各チーム1つ渡した魔道具で、舞台のどこに人が居るか1時間に1回、5分間舞台のマップと共に表示される。なお、その際には、人が居るのが分かるだけで、どこの国の所属の誰かなどの個人情報は分からない。

・また、制限時間が残り1時間になったら魔導具は常にマップと人の位置を表示する。

・各国に3つずつ遠距離で会話が可能の魔道具を配布する。

・なお結界で死亡するほどのダメージを負うとそのダメージを魔道具が削減し、その者を舞台から強制退場にする。

・退場となった者のサバイバル戦再参加は不可能とする。




「何か質問があるものは挙手をお願いします」


特に質問は無いのか、誰の手も挙がらなかった。

今回のサバイバル戦は去年よりもシンプルだ。とにかく勝つためには敵を倒しまくればいいのだ。その時に全員全滅させられたらベストだ。

舞台が岩の多い岩場というのは隠れやすいようにしているのだろう。しかし、ずっと同じ場所に隠れていたら、魔導具で動いていないとバレて見つかるかもしれない。

ルールでは誰かを退場させてもポイントなどは入らない。だから逃げ続けても生き残れば問題は無いのだろう。



「これにてサバイバル戦のルール説明を終わります」


これでルール説明は終了した。俺達は勇者に絡まれないうちにさっさと舞台から退場していった。そして今日はもう解散とした。明日から本格的にサバイバル戦に向けて動き出す。サバイバル戦の開催は今日から3日後の明明後日だ。




「今年のサバイバル戦は去年よりもシンプルだね」


「そうですね」


俺とソフィは帰ってから会議を始めた。


「このルールなら予定していたチーム分けで良さそうですね」


「だね」


会議と言っても話す事は特にない。チーム分けも決まっているし、決めることは無い。


「恐らく勇者達は4人で行動すると思われます」


「だよね…」


勇者と聖女はセットで動くと予想できる。なぜなら別々に分かれるメリットがないからだ。


「勇者については臨機応変に対応するとしか現時点では言えませんね」


「そうだよね」


勇者がどれくらいの力を持っているのかは全く分からないので、今の時点でどうするか話す事はできない。



「そうだ、ソフィは今日初めて聖女と話してみたけどどうだった?」


「気持ち悪かったです」


「気持ち悪いって…」


どうやらソフィも俺が聖女に感じたゾワっとした気味悪さを感じたようだ。俺も感じたと言ったらソフィは驚いていた。


「もしかしたら聖女には勇者達を焚き付ける以外の目的があったのかもしれません」


「何の目的だろう?」


「それは分かりません」


結局この後も聖女が何をしたかったのかの答えは出なかった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る