第146話 精霊降臨とは
「じゃあ今日から精霊魔法を教えていきます」
「お願いします!」
1週間の寝たきり生活が終わり、ついに精霊魔法の特訓が始まった。とは言ってもまだ外には出たことがなく、城?の中にあるサッカーコートくらいある訓練場に来ている。
「とりあえず普通の精霊魔法は使えるみたいだから精霊降臨の説明をするぞ?」
「お願いします」
まず精霊降臨の話からされるようだ。
「精霊降臨って具体的にどういうことか分かる?」
「精霊を体に宿すこと?」
「違うよ」
「え?」
「精霊降臨」
普通の精霊降臨は読んで字のごとく精霊をその身に降ろすということでないのか?そして説明をしてくれるためにティヤさんが精霊降臨をした。しかし、俺の時とは違って見た目に全くと言っていいほど変化はなかった。
「普通はこうやって影に覆われるよね?」
「うん」
そして分かりやすく、ティヤさんは影に覆われていった。影に覆われているので、ティヤさんの姿形は見えない。
「これも隠れるとかにはいいかもしれないけど、それだと無駄な魔力を多く使っちゃう。だからこれはダメな例」
そう言うと、また影が消えていった。そして精霊降臨しているのにも関わらず、普段通りの姿になった。
「精霊降臨が何なのかって話に戻すよ?」
「あ、はい」
「ちょっとごめんね」
「え?」
謝られたから何か変化があるかと思ったが、俺の体に違和感は何も無かった。しかし、周りを見ようと体を動かそうとしたら全く体が動かなかった。
「あれ?え!?」
しかし、普通に話すことはできる。一体どうなってるんだ!?
「精霊降臨は降臨した精霊の属性を好きに扱えるの」
「というと?」
「ティヤだったら周りにある影を好き勝手に動かせる」
そう言うと、勝手に俺の体が動き出した。どうやら俺の影を使って俺の体を操っているみたいだ。
「これが本来の精霊降臨の力」
「わぁ!」
急に体が自由に動くようになってびっくりした。思わず転びそうになった。
「だから精霊降臨は精霊を宿すと言うより、精霊の属性と一体化するって感じ」
「なるほど…」
「ちょっとティヤを殴ってみて」
「え!?」
「思いっきりでいいよ」
腕を広げてさあ来い!と言うような感じになっている。ティヤさんは俺よりもずっと強いので信じて思いっきり腹を殴ってみた。
「うぇっ!?」
殴ったのに腕がドボンッ!という音と共にティヤさんに吸い込まれた!?俺も状況がわかっていない。慌ててティヤさんの後ろを見ても俺の腕は貫通していない。俺の手はどこに行ったの!?
「応用すると、自分自身も精霊と同じ属性になれる。私で言うと影になれる」
ティヤさんが下がると、俺の腕が出てきた。また腕が無くならなくてよかった…。
「でもこれは魔力を多く使うからあまり多用は出来ないからね?」
「は、はい」
なんか精霊降臨の奥深さに圧倒されているのだが…。俺がやった精霊降臨は本当に未熟だったというのがよく分かる。
「ちなみに周りの自分の属性を好きに弄れるのは、人それぞれの範囲があるからね?」
「え?」
分かりやすくティヤさんで言うと、周りの影を好き勝手にできる範囲とかは決まっているらしい。まあ確かに、全世界全ての影を操れたらチート過ぎるな。
「私の範囲は15メートルくらいですね」
「俺は5メートルだな」
「ティヤは30メートル」
いや…十分チートですやん…。と思ったが、そうでも無いらしい。俺の影くらいなら簡単に操作できるが、強い魔物とかになると中々操作するのは難しいらしい。ただ、操作出来さえすれば、どんな敵でも首をくるっと一回転させたり、影を切断するだけで終わらせられるらしい。絶対に敵にはしたくないな…。
「だから私や精霊王様は周りに操れるものがいつでも沢山あるから強いんだよね!その点雷野郎は…」
「ちっ!」
エミリーさんの精霊であるネイがジールに文句を言ってジールが悔しがっている。確かに雷が周りにある状況の方が珍しいよな。しかし、周りにいくらでも静電気はあるだろう。ただ、それをどう使えばいいのかというのが問題だが…。それよりも、もし俺がユグで精霊降臨できるようになったら、効果範囲内全ての事象を操ることが出来るのだろうか?
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