対校戦
第82話 メンバー発表
「あ、シャナおはよう」
「おはようございます」
「ん」
2日間ジールに特訓してもらうと、対校戦のメンバー発表日になったので学園に向かうと同じくメンバー発表を聞きに来たシャナと出会った。
「あ、クラウディアさん!」
「あ、ゼロスさん!」
そしてシャナも一緒に発表される学園のグランド向かうとそこではクラウディアさんに出会った。
「もう怪我は大丈夫ですか?」
「怪我?」
「本選の決勝の怪我ですよ」
「いや、そんな怪我してなかったから大丈夫だよ」
きっとところどころ骨にヒビくらい入っていただろうが心配かけるのも悪いので大丈夫と言っておこう。
「何言ってるんですか!全身打撲に全身凍傷に骨のヒビが17本、折れている骨が9本あったのに大丈夫なわけないじゃないですか!」
「えっ?」
「あっ……」
「もしかしてクラウディアさんが治してくれたの?」
「え、えっと…はい…」
「あ、ありがとうございます?」
「ど、どういたしまして?」
なんと俺の怪我を治してくれたのはクラウディアさんだったようだ。なんでクラウディアさんが治療をしたのか聞きたいが、言ってしまったと慌てているクラウディアさんを見ると聞かない方がいい気がするので聞かないでおいた。そしてそれよりも俺はそんな怪我をしていたとは知らなかった。試合中のことなので別にいいのだが何となくソフィを軽く睨んだ。すると見られていることに気がついたソフィがこちらを見て、にこっと笑った。しょうがない…その可愛さに免じて許そう。
「ではこれより対校戦メンバーを発表する!」
ザワザワと賑わっていたグランドがその声で静まり返った。グランドにはなんとも言えない緊張感が漂い始めた。
「ジャンパ・カルレロ!」
「はい!」
「タッカー!」
「はい!」
「リーゼル!」
「はい!」
「エーミィ・エスティル!」
「はい!」
「シャイナ・リンガリア!」
「はい」
「マーケル・ドーキンス!」
「はい!」
「サロナ・ヴィーナス!」
「はい!」
「ワッツ・コールキン!」
「はい!」
「ゼロス・アドルフォ!」
「はい!」
「ソフィア・アドルフォ!」
「はい!」
「以上10人!」
そう言うと今度はグランドがさっき以上に騒がしくなった。そして苗字が無い人がいたということは貴族でない人も選ばれているということだ。どうやら完全に実力主義で選んでいるらしい。
「ではこの10人の中のリーダーと副リーダーを発表する!」
そう言うと再び静まり返った。きっと誰かは何となくわかっているがやはり気になるらしい。
「副リーダー!ソフィア・アドルフォ!」
「はい!」
あれ?ソフィが副リーダーなの?普通は本選で優勝したソフィがリーダーになるんじゃないか?周りからもなぜ?と話す声も聞こえてくる。
「リーダー!ゼロス・アドルフォ!」
「はい!」
まあソフィが副リーダーなら俺がリーダーになるだろう。
「なぜリーダーを準優勝のゼロスにしたかを説明する!」
多分みんな説明してほしいだろう。いや…ソフィは説明要らないな?これは絶対にソフィが仕組んだ気がする。
「今年の対抗戦は優勝を狙う!」
「「「!!?」」」
みんなが驚いている。万年ドベ争いをしているのに急に優勝を狙うと言ったら驚くだろう。
「しかし今年は王族最強と言われている獣人の第2王子と最上位精霊と契約したエルフの第1王女も参加するというと言われている!」
「「「!?!?!」」」
対戦相手はいつもよりも強敵になっているということにさらに驚いている。
「そして今年から代表者5人による対戦の5人目最後の大将の勝利得点を3点にするという話もある!」
「「「………」」」
もう驚きを通り越して放心状態のようになっている。どうやら1番強い人を最後にしない国があるようで最後だけ得点を上げれば最後に1番強い人を持って来るしかないのではないかという話のようだ。ちなみにその1番強い人を最後にしない国というのがこの国らしい。しかしこれはほぼ言いがかりで実際は大将同士の戦いの時に3点対1点とかになっていると大将同士の戦いがつまらないという声が多いかららしい。
「そうなってくると私たちが優勝するには大将戦で勝たなければならない」
「「「………」」」
「獣人に武術のみでは勝てない。そしてエルフに魔法のみでは勝てない。そのため勝つには両方トップクラスにできる人でないといけない」
「「「!」」」
「しかしソフィアは魔法はこの学園の誰よりも得意だが武術は苦手である。だが!ゼロスは武術も魔法もこの学園でトップ3以上に入る実力がある!」
「「「!!!」」」
「そして私はゼロスならその2人にも勝てる可能性があると思っている!」
「「「ゼロス!ゼロス!ゼロス!」」」
「ゼロ兄様…?大丈夫ですか?」
「………」
全力で隠密を使っている。居場所がバレたら絶対に面倒なことになる。しかし学園長は無駄に演説が上手いせいで厄介なことになった。というか俺の前に4連勝してくれたら俺が負けても問題ないんだよ?
「帰ろうか…」
「はい」
「ん」
そしてもう発表は終わったのでバレないうちに帰ることにした。期待されて嬉しくない訳では無いがプレッシャーが重い……。
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