第56話 オーク討伐

「ファイアスピア」


「ウィンドスピア」


「ストーンスピア」


俺たちは昨日と同じオーク討伐の依頼を受けていた。

そして昨日と同じ森で物陰から3体のオークにそれぞれ魔法を放って倒した。


「昨日よりも多かったね」


「そうですね」


「ん」


そして今日は昨日とほぼ同じ時間で42体のオークを討伐することができた。


「それじゃあ今日も帰るk…」


「待って」


そろそろ帰ろうと提案しようとしたがシャナがそれに待ったをかけた。


「オークより強い何かが一直線にこっちに向かってきてる」


シャナがそう言って少しするとドンドンと強く地面を踏む音がこちらに向かってきているのを感じた。


「ブモォォォォォォォ!!」


そして現れたのは普通のオークよりも二回りほど大きく、色が赤黒っぽいオークだった。

そして手にはどこから奪ってきたか分からないが大剣が握られていた。


「風エンチャント」


そして俺はいつもの作戦通りに赤黒オークに向かっていった。


「ブモォォ!!」


オークよりも動きは速いし、パワーも強いが騎士団長ほどでは無いので余裕で攻撃を躱し続けることができる。


「ウィンドスピア」

「ウィンドスピア」


「ストーンスピア」


「ブモォ!!!!」


「火エンチャント」


「ブモォ!」


赤黒オークはソフィ達の魔法を躱せたのはいいが大きく躱し過ぎたため、隙だらけになっていたので風エンチャントから火エンチャントに変えて首を落とそうとしたが体勢を変えられて首ではなく胸あたりを斬った。


「ブモォォ!!」


「はっ!」


赤黒オークは俺に背を向けて、俺より厄介と判断したソフィとシャナに向かっていったので後ろから足の腱を斬った。


「ファイアスピア」

「ウィンドスピア」


「ストーンスピア」


「ブモォォ…」


そして足を斬られて倒れるとソフィとシャナから頭に魔法が放たれて絶命した。



「こいつはハイオークか?」


「いえ。きっとその上のオークウォーリアーでは無いでしょうか?」


ソフィの言う通りオークウォーリアーだったら普通のオークよりも2段階進化したオークということになる。しかしそれにしては弱い。と言うよりも人間との戦闘に慣れていないように思える。さっきも魔法なんて初めて見たと言わんばかりに魔法に驚いて過剰に避けていた。


「とりあえず戻って報告するしかないか?」


「そうですね」


「ん」


俺達には分からないことだらけなのでギルドに戻って報告をすることにした。



「依頼完了の報告です」


「はい。でしたらギルドカードの提示をお願いします」


まずは昨日と同じように依頼完了の報告をした。


「合計で43体?そのうち1体はオークウォーリアー?……申し訳ありません。少し別室でお話を伺ってもよろしいですか?」


「はい」


そして俺たちはギルド職員に別室で詳しい事情を話した。


「なるほど…これは明らかに異常事態のため、探索を得意としている冒険者に捜査依頼を出します」


「わかりました」


そして報酬の銀貨53枚をもらった。この依頼ではオークの上位種をいくら討伐してもオークと同じ金額にしかならないので申し訳ないとギルド職員が謝っていた。その後に解体所でオークとオークウォーリアーを売ってオークが全部で銀貨84枚、オークウォーリアーが銀貨50枚となった。オークウォーリアーをマジックポーチから出すと解体屋の人達はとても驚いていた。そして今日だけで銀貨187枚稼ぐことができた。


「じゃあ銀貨を分けようか」


銀貨187枚を4分の1にして1人あたり46枚に分けて残りの49枚をパーティ資金とした。

昨日と今日だけで銀貨73枚が手元に増えた。日本円にして73万だと思うととてもすごいと感じる。


「じゃあシャナ、また明日学校で」


「シャイナ、また明日」


「ん」


そしてシャナとは別れて俺とソフィは一緒に家まで帰ることになった。


「明日は学校か……」


「安心してください。必ず遅刻しないように起こしますので」


「サボっちゃダメ?」


「ダメです」


「ですよね…」


ソフィは俺にやりたい事は全部やらせてくれるという甘いところはあるが基本的に厳しいので明日は絶対に学校に行かなければならないのだろう。今日は明日のために少し早く寝ようと思いながら家に向かった。


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