第50話 入学式

「ゼロ兄様…起きてください」


「ん…ソフィ?」


「ソフィですよ」


「もう朝?」


「入学式に遅れますよ?」


「今起きる……」


早いもんでもう合格発表から3日たって入学式だ。起きてから届いたばかりの真新しい制服に着替えた。制服はベースが黒色でところどころに白色のラインが入っているブレザーに似ているような制服だ。もちろんこの制服に魔法的加工がされているなんてことはない普通の制服だ。ただ一応普通の服なんかよりは丈夫に作ってはあるらしい。


「遅刻しますよ!」


「もう準備終わった!」


「なら早く行きますよ!」


入学式から遅刻するのはまずい。そしてソフィはなんだか今日はやたらに嬉しそうにしているが学園に入学するのが楽しみだったのだろうか?


「新学園生はこちらに来てください!」


先生たちの案内に従って会場まで移動した。


「ん…」


「シャナおはよう」


案内された座席に座るともうシャナが来ていた。座席は俺の一つ左側が空席で右側にソフィ、シャナと続いているのでもしかしたら成績順なのかもしれない。


「え、えっと…えーっと…」


騒いで怒られても面倒なので静かにしていたら俺の左側の人が来た。その子の容姿は桃色のショートヘアで胸が大きく、目が大きくクリっとしていて少しおどおどした感じで庇護欲を掻き立てられるような子で胸が大きかった。大事なことなので2回言った。


「いっ!」


「どこを見ているのですか?」


「ごめんなさい…」


ソフィに腿を思いっきり抓られた。これはしょうがないでしょ…男の習性みたいなものなんだよ。つい大きくて揺れるものには目がいってしまうのは本当にしょうがない。



「私はこの学園に入学できてとても光栄で…」


そしてその子は俺なんかに目もくれずに答辞の練習をしていた。



「これより入学式を執り行う」


そしてソフィの冷たい目に晒されて身を縮めていると入学式が始まった。


「まず新入生代表答辞、新入生代表実技試験の魔法部門で的を5つも壊したクラウディア・アレオーラ」


「は、はひ!」


すると少しカクカク動きながら壇上に上がって行った。そして俺とソフィとシャナは同時に目を合わせた。うん…。後でみんなで謝りに行こうか。



「わ、わた、わた、私はこの学園に入学できてと、とて、とても光栄で……………

ど、同級生たちと切磋琢磨してこ、今後よりいっそう成長していきたいです」


最初はどもってはいるが最後の方は最初と比べてしっかりと読めていて無事に答辞を終えることができていた。


「ありがとうございました。続きまして学園長挨拶。学園長お願いします」


「ほーい!」


するとダンディな髭を生やした大柄なワイルドイケメンが壇上に上がった。


「まず一つ言いたいことがある。今回の入試で一番目立っているのは的を5つ壊したさっきの嬢ちゃんだ」


そこで周りの反応を見るように少し間を開けた。すると周りが少しざわざわし始めた。


「お前らもう一つ気が付くことがなかったのか?2位のやつも得点がおかしかったよな?」


ここで俺は心の中でやめろ、黙っていてくれと思っていたがその心の声は届かなかった。


「そいつは誰よりも早く筆記試験を満点で終えて実技試験の武器部門で簡易闘技場を粉々に粉砕した。お前らも粉々の残骸になった闘技場は見ただろう?」


すると周りはさらに騒がしくなった。だから!壊したの俺じゃないって!!


「今年は優秀な生徒が多くて嬉しい。より一層の成長を楽しみにしている」


そう言って壇上を降りて行った。こいつは何がしたいんだよ…。そしてその後の式は滞りなく終わった。そしてその後に各クラス事にオリエンテーションがある。クラス分けはこの会場を出てすぐのところに貼ってあるらしい。クラス分けが貼ってある前は人が大勢いるので人がいなくなってから行くことにして少しこの場に留まった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る