第46話 合格発表

「あ!そうだ!ソフィ!」


「なんですか?」


「筆記試験の問題、ソフィに習ったよりも簡単すぎだったよ」


受験発表に向かう途中にソフィに筆記試験の簡単な問題について聞いた。その後の実技試験の2つが印象強過ぎて筆記試験のことを完全に忘れていた。


「?当たり前でしょう?」


「なんで!」


「冒険者をやりたいなら最悪授業に出なくてもテストが問題ないくらいの学力はつけないといけないでしょう?」


「えー…つまり…俺が一生懸命勉強してたのは受験とは関係なかったってこと?」


「はい」


通りでソフィに教えてもらっていることが難しいと思った…。


「ちなみに俺はどのくらいの学力が備わったの?」


「テスト前に少しテスト範囲の復習をすれば4年間問題ないと思いますよ?」


「おおう…」


やはり俺はその1ヶ月間ものすごく頑張ったようだ。今からでも昔の俺を褒め讃えたい。


「シャイナも同じくらいの学力は備わっていますよ」


「わぁーお…」


俺にはもう転生者としてのアドバンテージは残っていないようだ。

そんなことを話していると学校の校門前に俺たちを待っているシャナが見えた。


「ごめん、おまたせ」


(ふるふる)


顔を横に振ってそんなに待ってないと言ってくれた。


「じゃあ結果を見に行こうか」


そして結果を見に行った。試験結果は大きく紙に張り出されている。ご丁寧に点数も順位も張り出される。そして入試の得点が1位の人が入学式に答辞を読む伝統がある。


ガヤガヤガヤ…


「うるさいし、邪魔だな…」


「そうですね」


張り出されている紙の前では人が大勢いて騒いでとても鬱陶しい。


「あ!シャイナ様だ!」

「ん?本当だ!」

「おい!道を開けろ!」



王族のシャナに気が付いたのかシャナから一直線上に綺麗に道ができた。シャナに感謝して見に行った。


「見つかった?」


「ありましたよ…」


「どこ?」


「ん…」


俺より先に見つけた2人に場所を教えてもらって俺も見て見た。




3位ソフィア・アドルフォ

筆記100/100 武器100/100 魔法100/100

合計300点

3位シャイナ・リンガリア

筆記100/100 武器100/100 魔法100/100

合計300点



「え?」


下から見ていったが全て満点なのにソフィとシャナが3位だった。おかしいと思いながらも更に上を見て見た。


1位クラウディア・アレオーラ

筆記50/100 武器10/100 魔法350/100

合計410点

2位ゼロス・アドルフォ

筆記100/100 武器200/100 魔法100/100

合計400点



「なんだこれは?」


なんで上限の数値を超えているんだよ?そして1位のやつは知らない。でも名前からして貴族なんだろう。


「…闘技場が一つ粉砕されていたのはもしかしてゼロ兄様がやったのですか?」


「騎士団長がやりました」


「その闘技場にゼロ兄様はいましたか?」


「いました…」


「はぁ…」


俺の加点は闘技場をぶっ壊したことによる加点なのか?俺は壊してないのに?腑に落ちない。

しかしということは1位の人は的を壊したのか?



「おい…知っているか?」

「なんだ?」

「あの1位のやつ的を5つも壊したらしいぞ!」

「壊れないはずじゃないのか!」

「それを壊したからあんな点数なんだろ!」

「まじかよ!凄いな!」



耳を澄ますとそんな会話が聞こえてきた。それにしても的で遊んでよかった。もし遊んでなかったら今頃1人だけ上限を振り切った得点の俺に注目が集まっただろう。俺は闘技場を壊した?がその様子は誰も見ていない。興味本位で最下位を見てみたら200位で合計は143点だった。200人受かるようになっているのね。



「じゃあなんかご飯食べて帰ろうか?」


「はい」


(こくっ)


入学の手続きや制服なんかは明日自宅に直接送られてくる。なので今日は用事は本当に結果を見るだけだ。しかし1位になったら答辞の原稿を考えなければいけないので明日も学園に行かなければいけないらしい。2位で良かった。そして入学式は3日後なので意外ともうすぐだ。


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